SNS採用代行に任せられる業務の線引き【2026】
読了目安:約分
結論:SNS採用代行を選ぶとき、費用より先に業務範囲を確認してください。投稿の企画や制作、分析までは媒体運用の範囲ですが、候補者を探してDMで勧誘し応募につなげる業務は、職業紹介事業の許可が関わります。見積書に「採用支援一式」とだけ書かれている場合は、項目を分けて出し直してもらってください。
株式会社TaTap(SNSマーケティング支援会社)は、累計300アカウント以上のSNS運用を支援してきました。本記事は業務範囲と法令の線引きに絞って解説します。料金相場と選び方の比較は既存の記事で扱っているため、そちらへ送ります。
この記事の要点
- 投稿の企画・制作・分析までは、通常は媒体運用の範囲として任せられます。
- 候補者を探索して勧奨し、あっせんするスカウト行為は職業紹介事業に含まれるとされています。
- 職業紹介事業を行うには、職業紹介事業の許可が必要です。
- 被用者以外の者に募集に従事させる形態は、委託募集と定義されています。
- 報酬を与える委託募集は許可、与えない場合は届出が必要とされています。
- 報酬は支払われた賃金額の100分の50を超えると、原則として認可されません。
- 見積書の業務範囲を1行ずつ分けて確認することが、最初の作業になります。
SNS採用代行に頼める業務と、頼めない業務は何ですか?
結論:媒体運用は任せられます。候補者への接触を含む業務は、許可の確認が必要です。
図:SNS採用代行に任せられる業務と、許可の確認が必要な業務
同じ「SNS採用代行」という名前でも、会社によって業務範囲がまったく違います。投稿を作って出すだけの会社もあれば、候補者を探してDMを送る業務まで含める会社もあります。後者は法令上の位置づけが変わります。
| 業務 | 位置づけ | 確認すること |
|---|---|---|
| アカウント設計と初期設定 | 媒体運用です | 特にありません |
| 投稿の企画・撮影・編集 | 媒体運用です | 成果物の権利を決めます |
| 投稿の代行と分析 | 媒体運用です | アカウント権限を決めます |
| 広告の運用 | 媒体運用です | 広告アカウントの保有先です |
| 候補者の探索とDMでの勧誘 | 職業紹介の論点があります | 許可の有無を確認します |
| 応募者の選別とあっせん | 職業紹介の論点があります | 許可の有無を確認します |
境界を自社で判断する必要はありません。相手に「この業務は媒体運用として行うのか、候補者への接触を含むのか」を書面で答えてもらえば、確認すべき点が見えます。答えを渋る相手であれば、その時点で判断材料になります。
発注側が最初にやるべきことは、見積書の業務範囲を項目ごとに分けてもらうことです。「採用支援一式」のままでは、何を任せたのかが後から確認できません。トラブルになったときに、どちらの責任かも判断できません。
スカウトをDMで代行してもらうのは問題ないのですか?
結論:相手の許可を確認してください。スカウト行為は職業紹介事業に含まれるとされています。
厚生労働省の委託募集に関する業務取扱要領には、次のように示されています。求人者に紹介するため求職者を探索した上で当該求職者に就職するよう勧奨し、これに応じて求職の申し込みをした者をあっせんするいわゆるスカウト行為を事業として行う場合は職業紹介事業に含まれるものであり、当該事業を行うためには職業紹介事業の許可を取得する必要があるとされています。
SNSの運用では、これに近い業務が提案されることがあります。ターゲットの条件に合う利用者を探し、DMで応募を勧め、面談につなげるという流れです。媒体運用の延長に見えますが、内容としては候補者の探索と勧奨、あっせんに当たり得ます。
| 提案の内容 | 確認すべき点 |
|---|---|
| 条件に合う人を探してDMを送ります | 探索と勧奨に当たり得ます |
| 反応した人を面談まで案内します | あっせんに当たり得ます |
| 候補者を評価して推薦します | 選別に当たり得ます |
| 投稿を見た人が自社フォームへ応募します | 媒体運用の範囲です |
| 質問への一次回答を代行します | 範囲と文面を決めておきます |
要領には、事業として反復継続して労働者募集の受託を受ける場合について、複数の募集を同時並行的に取り扱い、募集に応じようとする労働者を選別して最も適切と思われる募集にあっせんするという職業紹介の実態に該当することが通常であるとも示されています。継続的に多数の企業の募集を受けている相手ほど、この論点が関わります。
依頼したい場合は、相手が有料職業紹介事業の許可を持っているかを確認してください。許可番号は事業者が掲示しているのが通常です。許可を持たない相手に依頼する場合は、契約書で業務範囲からスカウトを外し、その旨を明記しておくほうが安全です。
委託募集にあたるのはどんな場合ですか?
結論:被用者以外の者に募集に従事させる形態です。報酬の有無で許可か届出に分かれます。
図:委託募集にあたる場合の許可と届出の区分
厚生労働省の要領では、委託募集を「労働者を雇用しようとする者が、その被用者以外の者をして労働者の募集に従事させる形態で行われる労働者募集」と定義しています。自社の従業員ではない相手に募集そのものを担わせる形が対象です。
手続については「被用者以外の者に報酬を与えて労働者の募集に従事させようとするときは厚生労働大臣の許可を得ること、被用者以外の者に報酬を与えることなく労働者の募集に従事させようとするときは厚生労働大臣に届け出ることが必要である」と記載されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 報酬を与える場合 | 許可が必要とされています |
| 報酬を与えない場合 | 届出が必要とされています |
| 報酬額の扱い | あらかじめ認可を受ける必要があります |
| 報酬の認可基準 | 賃金額の100分の50を超えると原則認可されません |
| 募集期間の要件 | 1年を超えないものとされています |
| 受託者の要件 | 労働関係法令と募集内容に十分な知識が必要です |
判断が分かれるのは、投稿の制作と配信だけを任せる形です。媒体の運用として整理できる場合もあり、個別の実態で判断されます。SNS運用の代行がすべて委託募集にあたるわけではありませんが、業務内容が募集そのものに踏み込む場合は確認が必要です。
なお要領には、許可を取得している人材スカウト型の職業紹介事業者に募集を委託する場合について、当該職業紹介事業者に求人を申し込んだものと解することが適当であり、委託募集の許可は基本的には不要と示されています。相手の許可の状況によって、取るべき手続が変わります。
契約前に確認する手順はどうなりますか?
結論:4つです。業務範囲、許可の有無、アカウントと個人情報、投稿の確認体制です。
図:SNS採用代行の契約前に確認する4ステップ
- 業務範囲を1行ずつ書き出してもらいます。企画、制作、投稿、分析、広告、スカウト、応募受付を分けます。
- 許可の有無を確認します。候補者への接触を含むなら、許可番号を確認します。
- 許可が不要な範囲に収めるなら、その範囲を契約書に書きます。口頭の取り決めでは残りません。
- アカウントの所有を自社にします。権限を付与する形にし、契約終了時に権限を外せる状態にします。
- 応募者情報の保管先と削除を決めます。契約終了後の返却または削除を明記します。
- 募集投稿の確認を自社で行う前提にします。記載事項の責任が曖昧になりません。
- 報告の頻度と項目を決めます。毎月同じ形で出てくる状態にします。
6番目は昨今の運用で特に重要です。募集情報を提供する広告等には、募集主の氏名(又は名称)、住所、連絡先、業務内容、就業場所、賃金の記載が必要とされています。代行会社が投稿を作る場合でも、表示の責任は募集を行う企業側にあります。投稿前に自社で確認する工程を入れてください。
手続の詳細は厚生労働省の募集・求人業務取扱要領にまとめられています。自社のケースが該当するかどうかは、実際の業務内容をもとに労働局や専門家へ確認してください。
費用の内訳と相場の考え方は採用SNS運用代行の費用相場と選び方【2026】ROIを高め、内製化で採用コストを下げる完全ロードマップで解説しています。
業務範囲ごとに比較すると、費用はどう変わりますか?
結論:制作の本数と撮影の有無で決まります。運用は月300,000円からです。
| メニュー | 費用 | 含まれるもの |
|---|---|---|
| Instagramアカウント運用 | 月300,000円〜+コンサル費100,000円 | 企画・制作・投稿・分析 |
| ショート動画運用 | 月400,000円 | 月8本の撮影・編集・投稿 |
| コンサルティング(月1回) | 月200,000円 | 設計・レビュー・改善提案 |
| ショート動画制作(1本) | 30,000円〜 | 企画・台本・編集 |
| 静止画投稿制作(1本) | 30,000円〜 | 企画・制作・投稿文 |
| 初期対応費 | 100,000円/回 | アカウント設計・初期設定 |
金額を比べるときは、含まれる本数で割って1本あたりの単価に直してください。月額が安く見えても本数が少なければ、単価は高くなります。社員インタビューのように撮影が必要な内容は、制作の工数が大きくなります。
| 頼む範囲 | 費用の目安 | 自社に残る作業 |
|---|---|---|
| 設計と型づくりだけ | コンサルティングの費用です | 制作と投稿が残ります |
| 制作だけ | 1本あたりの単価です | 企画と投稿が残ります |
| 企画から投稿まで | 月額の運用費用です | 出演と確認が残ります |
| 広告も含める | 運用費用+広告費です | 予算の承認が残ります |
相見積もりを取る場合は、同じ本数と同じ範囲で条件を揃えてから比べてください。範囲が違う見積書を金額だけで並べると、安いほうを選んだ結果として自社の作業が増えます。
どの範囲でも、募集投稿の最終確認は自社に残ります。ここを外注先に完全に任せる形は、表示の責任の観点から避けてください。
SNS採用代行の発注でよくある失敗は何ですか?
結論:業務範囲を曖昧にしたまま契約することです。
| 失敗 | 起きること | やるべきこと |
|---|---|---|
| 「採用支援一式」で契約します | 何を任せたか確認できません | 項目ごとに分けます |
| 許可の有無を確認しません | 法令上の問題になり得ます | 許可番号を確認します |
| アカウントを相手名義にします | 解約時に引き継げません | 自社保有にします |
| 投稿の確認を任せます | 記載事項の漏れが公開されます | 自社で投稿前に確認します |
| 応募者情報の扱いを決めません | 契約終了後も残ります | 返却・削除を明記します |
| 応募数だけで評価します | 質が下がっても気づけません | 選考通過率も見ます |
最後の項目も見落とされがちです。応募数だけを目標にすると、条件を広く書いた投稿が増え、選考に進まない応募が積み上がります。応募数と選考通過率を必ず並べて報告してもらってください。
3番目は解約のときに問題になります。アカウントが代行会社の名義だと、契約終了時にフォロワーと過去の投稿を引き継げません。自社で開設し、権限を付与する形にしてください。
すでに運用を任せていて成果が出ていない場合は、業務範囲の見直しから始めます。選定基準は採用SNS運用代行とは?料金相場・選び方・失敗回避を完全解説【2026年最新】にまとめています。
外注は、どんな企業に向いていますか?
結論:採用担当が兼任している企業に向いています。ただし確認工程は自社に残ります。
| 状況 | 向いている進め方 |
|---|---|
| 採用担当が1人で兼任しています | 企画から制作まで外注します |
| 撮影できる社員がいます | 編集と設計だけ外に出します |
| 法令要件の確認が不安です | 投稿の型を作ってもらいます |
| 候補者への直接接触を考えています | 許可を持つ事業者に相談します |
| すでに媒体を使っています | SNSは認知の役割に絞ります |
| 通年で続けたいです | 運用として任せます |
自社に残る作業も見積もっておいてください。社員の出演調整、投稿前の確認、応募後の対応は外注できません。ここに割ける時間がまったくない状態では、外注しても止まります。
向いていないのは、応募をすぐに増やしたい場合です。SNSは検討期間が長い候補者に向けた施策で、短期の母集団形成には求人媒体のほうが速く動きます。
中途採用での媒体の組み合わせは中途採用×SNSの完全ガイド|X・LinkedIn軸の4媒体戦略とスカウト連動で採用単価を最適化【2026年版】を参照してください。
成果はどの期間で判断しますか?
結論:6か月から1年です。応募数の前に、認知と検討の指標を見ます。
| 期間 | 見る数字 | やること |
|---|---|---|
| 1〜2か月目 | 投稿本数、記載事項の適合率 | 運用が回るかを確認します |
| 3〜4か月目 | 保存数、プロフィール遷移 | 反応の良い型を増やします |
| 5〜6か月目 | 応募フォームへの遷移 | 導線を調整します |
| 7〜12か月目 | 応募数、選考通過率 | 継続の判断をします |
1〜2か月目に記載事項の適合率を見る点が、他の施策との違いです。募集情報の記載が漏れた投稿が出ていないかを、月内に一度は棚卸ししてください。代行会社に任せている場合でも、確認は自社の作業です。
応募数を初月から求めると、投稿が求人告知だけになります。会社を知らない人に向けた内容がなくなり、蓄積が残りません。
TaTapが全国の20〜49歳男女435名を対象に実施した「買う場面(CEP)とSNSの関係調査」では、SNSで見たときは今すぐ必要ないと思った商品を、後日その場面が訪れたときに思い出して購入した経験がある人は69.6%でした(SNSで商品情報を見かける336名ベース)。購買の調査ですが、転職を考え始めた時期に以前見た会社を思い出す構造は同じです。
立ち上げからの手順は採用SNSの立ち上げ方 完全ガイド【2026年最新】はじめかたと応募につながる作り方で解説しています。
よくある質問
Q1. SNS採用代行に候補者へのDMを頼めますか?
相手の許可を確認してください。厚生労働省の要領には、求職者を探索して就職を勧奨し、応じた者をあっせんするスカウト行為を事業として行う場合は職業紹介事業に含まれ、職業紹介事業の許可を取得する必要があると示されています。許可を持たない相手に依頼する場合は、契約書で業務範囲から外してください。
Q2. 委託募集とは何を指しますか?
厚生労働省の要領では、労働者を雇用しようとする者がその被用者以外の者をして労働者の募集に従事させる形態で行われる労働者募集と定義されています。報酬を与えて従事させる場合は許可、報酬を与えない場合は届出が必要とされています。SNS運用の代行がすべて該当するわけではなく、個別の実態で判断されます。
Q3. 委託募集の報酬に上限はありますか?
認可の基準が示されています。報酬が支払われた賃金額の100分の50を超えるときは、委託募集に必要となる経費が特に高額となる特段の事情がある場合を除き認可しないとされています。1年を超えて雇用される場合は、1年間の雇用に係る賃金額が基準になります。
Q4. 職業紹介事業の許可を持つ会社に頼む場合はどうなりますか?
手続の扱いが変わります。厚生労働省の要領には、許可を取得している人材スカウト型の職業紹介事業者に募集を委託する場合は、当該職業紹介事業者に求人を申し込んだものと解することが適当であり、委託募集の許可は基本的には不要と示されています。相手の許可の状況を先に確認してください。
Q5. 投稿の内容確認は代行会社に任せてよいですか?
自社で確認する工程を残してください。募集情報を提供する広告等には、募集主の氏名(又は名称)、住所、連絡先、業務内容、就業場所、賃金の記載が必要とされています。代行会社が投稿を作る場合でも、表示の責任は募集を行う企業にあります。投稿前の確認を契約に含めてください。
Q6. アカウントは代行会社に作ってもらってよいですか?
自社で開設してください。代行会社の名義で開設すると、契約終了時にフォロワーと過去の投稿を引き継げません。自社が所有者となり、代行会社には権限を付与する形にしておけば、解約時に権限を外すだけで済みます。契約書にも所有者を明記してください。
最終更新:2026年9月25日/執筆:株式会社TaTap 編集部(監修:代表取締役 富田竜介)
支援企業の成功事例
指名検索と情報の蓄積で成果を出したTaTapの支援事例を紹介します。自社の課題に近いケースを参考にしてください。
