指名検索数は昨対比で117%に増加。ブランドの認知拡大に貢献したSNS運用の舞台裏
Point
この実績のポイント
- SNSマーケティングのKPIやKGIを明確な数字を使って論理的に提案
- インフルエンサーとのコラボとUGC活用で認知度拡大
- オンラインとオフラインの垣根を超えた指標の提案
- 定量的な成果レポートを提供し、SNSの効果を可視化して社内の意識向上
「自分らしくいられる心地良い空間づくり」をコンセプトに、ライフスタイルショップ「unico(ウニコ)」を全国に展開、運営する株式会社ミサワ。同社では2015年頃より自社ブランドの商品と世界観を発信することを目的にInstagramの運用に本格的に取り組みはじめ、現在弊社のSNSコンサルティングにてご支援しています。
今回は同社でSNS運用を担うデジタルコミュニケーション部マーケティングチームでコミュニケーションプランナーを務める張さまと、広報・PRを担う板垣さまにお話を伺い、これまでの取り組みを振り返りました。
60万近くのフォロワー数を抱えていたものの、ブランド想起や認知度の低さに課題を感じていた
富田:今回のお取り組みでは、貴社のInstagramマーケティングとX(Twitter)マーケティングのご支援をさせていただきました。弊社との取り組み以前は、どのようにSNSを運用されていたのでしょうか?
板垣:unicoというブランドは、20代後半から40代前半の、ご夫婦やファミリーがメインのお客さま層から支持をいただいています。たとえば、ご結婚やご出産といったライフステージの節目にunicoを選んでいただくお客さまが多いのです。その一方でInstagramのフォロワーさんは、ブランドのターゲット層よりも女性の割合が70%ほどと高くなっていることが特徴です。
張:弊社が本格的にSNS運用に取り組み始めたのは、新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年頃のことです。社会全体で外出自粛が求められ、店舗とお客さまの接点を維持することが難しくなったことをきっかけに、お客さまとunicoの接点をオンライン上で創出するためにSNSの運用を本格的にスタートさせました。
基本的な投稿として、新商品の情報や店頭のイベント情報などを発信し、unicoの認知拡大を指標に取り組んできました。ただSNSマーケティングによる効果は売上げにどれだけ貢献しているかなかなか可視化しにくいこともあり、当時はフォロワー数やリーチ数、保存率といったわかりやすい数値を目標として設定していました。
その一方で、unicoのブランディングや世界観の情報発信も社内からは期待されています。Instagramアカウントのフィードには、unicoのブランドを印象付けるような、統一されたトーンの写真が並ぶよう意識しており、これは他社ブランドとの差別化の意味合いもあります。
富田:弊社にSNS運用についてご相談いただいた背景と課題についてお聞かせください。
張:TaTapさんにご相談した2024年の3月時点で58〜59万フォロワーを抱えるInstagramアカウントには成長していたものの、果たしてこのままのSNS運用でお客さまを店舗へ送客できているのか、ブランド想起につながっているのか不安に感じるようになりました。社内に対しても、最適な数値で定量的に振り返れていない状況が続いていたのです。
広報やマーケティング、販促物制作などの業務をこなしながら並行してSNS運用に取り組んでいたこともあり、どこかでSNSの知見を持つ第三者に意見をいただき、ブラッシュアップしなければと考えていました。
板垣:ぼんやりとSNS運用に課題を感じていた中で転機になったのが、unicoのブランド認知度調査でした。調査の結果、想定していた以上に認知度が低いことが判明し、特にInstagramにおいては一度フォローしたもののその後はunicoの投稿を追っていない、つまり休眠ユーザーが多い状態であると判明しました。
カスタマージャーニーの視点から考えても、まずはブランドの認知度を底上げしなければ店舗に来店してくださるお客さま数を向上させることはできません。そこでいよいよ本腰を入れてInstagramの運用に力を入れ、認知度の向上に取り組むことになったのです。
決め手は定量的かつ論理的な提案。オンラインとオフラインの垣根を超えた指標の提案も高評価
富田:SNS運用のパートナー企業に弊社を選んでいただいた決め手を教えてください。
板垣:パートナー企業の選定にあたっては、SNSマーケティング支援を手掛ける複数社と比較検討しました。他社さんと比較し、TaTapさんはSNSマーケティングのKPIやKGIを明確な数字を使って論理的に提案してくださいました。
SNSマーケティングの成果は数値でなかなか表せない部分も多く、さまざまな数字を上手く組み合わせて指標を組み立てる必要があることを教えていただき、実際に提示いただいた指標は納得感がありましたね。
張:一般的な営業の場合、困りごとのヒアリング前に「私たちはこういうことができます!」と全面的にサービスを押してくることがあります。しかしTaTapさんの営業は、最低限の会社説明の後は真摯に私たちの課題や困りごとの把握に努めていただき、それを受けて最適な提案をいただけました。私たちと同じ目線で課題を捉え、肩ひじを張らずにディスカッションできたことはすごくありがたく、心強いなと感じたことを覚えています。
富田:InstagramといったSNS運用はデジタル施策であるため、成果についてもオンラインショップの売上げやフォロワー数、リーチ数などオンライン内に閉じた指標を設定しがちです。しかし貴社のunicoのように実店舗を展開されている企業において重要なのは、オフラインである店舗の来客数や売上げであり、ここにオンラインとオフラインの溝があると考えています。
そこで弊社では、さまざまな角度から仮説を立て、指標を設定することでオフラインに対するInstagramの貢献度を可視化できるよう、今回のご提案では工夫させていただきました。
インフルエンサーとのコラボ施策やアカウント運用体制の変更。UGCを増やすことで認知を拡大
富田:お問い合わせから1、2ヶ月後にはSNSコンサルティングのお取り組みがスタートしました。まずは認知拡大を狙い、インフルエンサーさんをアサインしてのコラボ投稿施策を最初のステップとして実施させていただきました。
張:新しい認知を獲得するには自社のInstagram運用だけではリーチできてこなかった層に、unicoに関する投稿を見ていただくことが最も効率的です。そこでTaTapさんにご提案いただいたのが、インフルエンサーさんにunicoの商品をご紹介していただくコラボ投稿でした。TaTapさんには、インフルエンサーさんの選定から直接の連絡対応まですべてご対応いただいています。
内藤:unicoではブランドの世界観をとても大切にされているので、インフルエンサーさんの選定には時間をかけました。フォロワー数が多く、影響力があったとしても誰でも良かったわけではないのです。また、寝具や家具、小物といったご紹介する商品の種類によっても、コラボ投稿を打診するインフルエンサーさんを別々にリストアップしています。
張:インフルエンサーさんとのコラボ投稿を実施しながら、並行して取り組んでいただいたのが、運用するInstagramアカウントの見直しでした。今まで運用してきた本アカウント「@unico_fan」に加え、弊社の店舗スタッフが独自に情報を発信する「@unico_staff」、unico公式にタグ付けしてくださった方の投稿をご紹介する「@unico_likes」と2つのアカウントを作成しています。
内藤:SNS上において、主語がブランドの発信はなかなか伸びず、第三者の口コミが消費者の意思決定に影響します。unicoに対して過去に自然発生的な口コミ投稿は生まれていたものの、ブランドイメージの兼ね合いからUGCを活用しきれていませんでした。そこでブランドのイメージを守りつつ、第三者によるUGCを最大限活用していくためにご提案させていただいたのが、店舗スタッフさんが発信するアカウントと、unicoに関するUGCをご紹介するアカウントの開設と運用です。
こうしたInstagramのアカウント運用のスタイルは他社ブランドでも成功事例があり、実店舗を持つブランドにとってスタンダードになりつつあります。
板垣:正直なところ、Instagramアカウントを増やすことはunicoに関する投稿が分散してしまうのではとの懸念から不安視していました。しかし、運用の目的やKPIが違うためにInstagramアカウントは分けたほうがいいことをお打ち合わせの場でしっかりご説明いただき、安心して施策に取り組めています。
指名検索数が増加し、特定の商品の売上げは倍に。Instagram運用でブランドの認知拡大を実現
富田:複合的なKPIをご提案させていただく中で特に重要な指標が、ブランドの認知度が強く影響するGoogleの指名検索数です。Googleアナリティクスを活用することで指名検索数がどのように変化しているか、定例会でご報告させていただきました。改めて、弊社との取り組みで得られた効果についてどのように感じていますか。
張:直近は、指名検索数が昨対比で117%に増加しており、Instagramの運用は認知拡大に寄与していると判断しています。Instagram上ではunicoに関するUGCの数は以前よりも格段に増加しました。
また、実際の売上げにも好影響が見られており、インフルエンサーさんにコラボいただいた商品は、投稿後にじわじわと売上数が増加しているという数値が出ています。商品によっては、投稿後の月間売上数が倍になったケースもありましたね。
板垣:こうした定量的な成果はレポート形式にまとめていただき、経営層にも報告しています。こうした努力のおかげもあってか、Instagram運用に対する社内の意識が高まってきたように感じます。店舗のスタッフはコンテンツ用に写真を積極的にアップしてくれたり、運用面で融通をきかせてくれたりと、少しずつ会社全体でInstagram運用をしている実感が沸くようになったのは、とてもよい変化かと思います。
富田:弊社のSNSコンサルティングの取り組みに対して、どのように評価いただいていますか。
張:私たちデジタルコミュニケーション部では、Instagramの運用以外にも販促活動や社内会議など、さまざまな業務を日々こなしているなかで、Instagramの最新トレンドやアルゴリズムのアップデートなど、本来自分たちでは追いきれない部分までしっかりサポートいただき、施策に落とし込んで提案いただけるのは本当に助かっています。
そして運用するアカウントを増やしたり、インフルエンサーさんとのコラボ投稿だったり、社内からは生まれてこなかったアイデアを提案し、実行までサポートいただけたことを社内でも高く評価しています。
Instagramに加えてXやTiokTokなど、媒体ごとの強みを最大限活かしたSNS運用を
富田:今後のSNS運用全般の展望についてお聞かせください。
板垣:Instagramの運用に加えて、XやTikTokの運用にもチャレンジしていきたいと考えています。今の時代、お客さまのファン化は重要なミッションであり、そのための有効な施策のひとつとして相互コミュニケーションの強化が挙げられます。Instagram上でもコメント機能などで相互コミュニケーションは可能ですが、フォロワーとの交流により向いているSNSがXです。Instagramとはまた別の、よりお客さまに寄り添ったコミュニケーションを模索していければと考えています。
Instagram、X、TiokTokそれぞれに強みがあり、フォロワー層も異なってきますので、TaTapさんから得られたノウハウを参考に、媒体ごとの運用目的や狙いをしっかり棲み分けた上でSNS運用に今後も取り組んでいきたいですね。
富田:取材の最後に、弊社のサービスはどのような企業におすすめできそうか、お聞かせください。
板垣:もともと弊社とTaTapさんの取り組みはInstagramの運用からスタートしましたが、現在はX、TiokTokについて、さらにSNS運用全体の視点からもアドバイスをいただいています。
SNS全般に対して、豊富な知見をお持ちの企業だと思っていますので、SNSマーケティング全体に課題を感じている、以前の弊社のようにそもそもどこに課題があり、どこから取り組めばよいか分からないという企業にはぜひ、業種業界を問わずにおすすめしたいですね。