Point | この事例のポイント
● 休止状態だった公式Instagramを再起動し、約10ヶ月でフォロワーを5,000人から1万人へと2倍に
● 専任者を置かず、PR・マーケティング横断の少人数体制で運用を仕組み化
● ブランドの世界観を守りながら、「質の高いディスカッションができるパートナー」として伴走
家族・カップル・サークル・チームなど、大切な人と予定を共有するためのカレンダーシェアアプリ「TimeTree」を運営する株式会社TimeTree様。グローバルで多くのユーザーに利用される一方、ユーザーとつながる手段がアプリ内通知とメールにほぼ限られていたことから、休止状態にあった公式Instagramの再起動を決断。弊社TaTapが、Instagram運用支援とSNS全般の社内研修でご支援させていただきました。
今回は、PRチームに所属しSNS運用チームを立ち上げたバーニー様と、マーケティングチームでユーザー数の拡大を担うマルコ様にお話を伺い、約1年間の取り組みを振り返りました。聞き手は弊社代表の富田、Instagram運用を担当する長島も同席しています。
はじめに:なぜ、ニックネームで呼び合うのか
「Berney(バーニー)」「Marco(マルコ)」「Fred(フレッド)」——本記事に登場する名前は、実はすべてニックネームです。TimeTreeには、役職や「さん付け」を使わず、社員同士がニックネームで呼び合う文化があります。本編に入る前に、まずはその背景から伺いました。
富田:そもそも、お互いをニックネームで呼び合う文化は、どのようにできたのでしょうか。
Marco(マルコ)様:もともとはTimeTreeの代表の前職の文化が起点で、それをFredが『いいな』と思って持ってきた、という経緯です。今のTimeTreeでは、上下関係なくフラットに会話できることが一番大きいと思います。組織が大きくなってポジション上の役割は作らなきゃという話も出ていますが、それでも代表をFredと呼び、フラットに会話ができる。ポジションの違いをあまり感じずに話せるのは、すごくいい文化だなと思います。
Berney(バーニー)様:「さん」を付けないのもいいなと思っていて。入社時はびっくりするんです。人事の『Sora(そら)』というメンバーから『僕はSoraなので、さんを付けないでください』と言われて躊躇しました。最初は『本当にこの文化に慣れるのかな』と不安な気持ちがありましたが、不思議なことにすぐに慣れました。TimeTreeの文化として徹底しているのが、うちの強みだと思います。フラットだからこそ、ストレートで質の高いディスカッションができるんですよね。
「自分らしい豊かな時間」を届ける。TimeTreeがSNSで体現したい世界観
富田:まずは、お二人の現在の業務内容とTimeTreeでの役割をお聞かせください。
Berney(バーニー)様:私はPRチームに所属していて、広報として一般的なメディアリレーションなどを担当しながら、ToC領域のコミュニケーションとしてSNSや公式note、「TimeTree Park」などのユーザーリレーション施策も含めて横断的に担当しています。Instagramを中心としたSNSチームを立ち上げて、そのプロジェクトオーナーのような立場で、メンバーの相談窓口にもなっている、という感じですね。
Marco(マルコ)様:僕はマーケティングチームに所属していて、TimeTreeのマーケティング全般を担当しています。Instagramに関しては企画・広告・効果測定のあたりを見ていて、最近はリール動画にも出演しています。
富田:SNS運用チームが発足して、形ができてきていますよね。チームのミッションや、現在追っているKGI/KPIを改めて教えてください。
Berney(バーニー)様:目的は大きく二つあって、ひとつ目がブランディングコミュニケーション、ふたつ目が認知拡大・理解促進によるユーザー数の拡大です。単なる認知施策というよりは、ユーザーへの情報伝達のインフラとして育てていきたいと思っています。
Marco(マルコ)様:数字としては、リーチ数・エンゲージメント・保存数、最終的にフォロワー数がどれくらい伸びたかを見ています。ただ理想としては、ブランドの世界観の浸透と、プロダクトへの接続が目的になっています。
富田:PR要素も含めて、プロダクト「TimeTree」とSNSを通じて届けたい体験をご紹介ください。
Berney(バーニー)様:TimeTreeは、家族やカップル、サークル、チームで予定を共有するためのカレンダーシェアアプリです。SNSで届けたいのは、機能の便利さはもちろんですが、時間の使い方や暮らし、自分らしい豊かな時間といった価値観の部分です。
予定をぎゅうぎゅうに詰めてほしいわけではなく、余白を含めた自分らしい時間を大切にしてほしい。その思想が投稿の軸になっていて、人やその思いが見える伝え方をInstagramで体現したいと考えています。
TimeTree様Instagramアカウント
伝える手段がアプリとメールしかなかった。休止状態からの再起動
富田:弊社の支援が始まる前、2025年6月以前のInstagramはどのような状態でしたか。
Berney(バーニー)様:以前はブランドエディターのような担当者がいたのですが、私の入社前にその人が退社してしまい、アカウント自体が止まっているいわゆる休止状態でした。
一方でユーザー数はとても多いのに、情報を伝えられる手段が自社アプリしかない。そこに大きな課題を感じて、マルコを誘って『何かしなきゃね』と話していたんです。
Marco(マルコ)様:ユーザーとのコミュニケーションチャネルがアプリ内とメールくらいしかなくて、マーケティングを行ううえでは弱いと感じていました。
『SNSをやりたい』という話はマーケの中でちらっと出していたんですが、やりたいこととリソースがうまく噛み合わず、一度ふわっと立ち消えになって。そこにバーニーがもう一度話を出してくれて、一緒にやることになりました。
Berney(バーニー)様:ちょうど社内でも、マーケティング、ユーザーサポートチーム、デザインチーム、PRチームが集まっている「コミュニケーション室」での活動を大事にしようという考え方が育ってきていたタイミングで、部署をまたいだ協業がしやすい状況になっていたんです。それで『いいシナジーになるよね』と一緒に進めることになりました。
富田:Instagram運用以外も含めて、SNSマーケティング全般で社内が抱えていた課題は何でしたか。
Marco(マルコ)様:ユーザーとのコミュニケーションチャネルが乏しく、既存ユーザーにも新規ユーザーにもタッチポイントを広げられていなかったのが一番の課題でした。
さらに運用にフォーカスすると、リソース不足とSNS未経験者ばかりという体制面の課題が大きくて。誰がどう進めればいいのか、クオリティをどう担保するのかが、社内の会話だけでは難しそうだと。そこから御社とコミュニケーションを取らせていただくようになりました
未経験でも、SNS運用のプロと「同じ目線」で走れるか
富田:実際に取り組みが始まるとき、弊社へ最も期待していたことを教えてください。
Berney(バーニー)様:私たちは本当に未経験でしたし、『自分たちにできるのかな』という不安もありました。だからこそ、Instagram運用のプロとしての知見と、深く伴走してくれることを強く求めていました。
スタートアップなので方針もよく変わるんですよね。それでも穏やかに伴走してくださることや、私たちが追いきれないアルゴリズムの変化をレポートで教えてくださることは、一番期待していたところでした。
KPI設計から伴走。フェーズごとに「型」をつくる
富田:取り組みが始まって約1年。フェーズごとの印象や変化をお聞かせください。
Marco(マルコ)様:そもそも『どんなKPIを置けばいいか』すら分からない状態だったので、そこから一緒に設計してもらえたのが本当にありがたかったです。運用の進め方や広告の活用といったナレッジを入れていただきつつ、こちらからの面倒な要望にもかなり寄り添ってくださって。フェーズによってKPIや検証も柔軟に変えてくださる印象は、当初からずっと変わりません。
富田:立ち上げから型をつくるうえで、長島さんが意識していたことは何でしたか?
長島:数値を1週間ごと・1ヶ月ごとに追って、結果として見える部分と通過点のあいだをなるべく取るようにしています。ただ、皆さんの反応は時期によって全然変わるので、『これは伸びる』と思った投稿が伸びないこともあって。
私自身も勉強させていただきながら、なるべくアルゴリズムに沿った形で、皆さんの反応を敏感に拾い上げることを意識しています。
富田:Instagram運用で、特に効果があったと感じる施策やコンテンツの型はありますか。
Berney(バーニー)様:まだ模索中で、フェーズごとに本当に違うなと感じています。それでも機能の紹介や、季節に応じたテーマ設定は大事だと実感しました。少し攻めた結婚式の投稿では、社員が疲れたときに何気なく見ていたら自社の投稿だった、と驚いたという声もあって。日常に溶け込む投稿ができてきているのかもしれない、と感じた出来事でした。
長島:コンテンツ面では、最近は言い切りタイプの表現や、サムネイルの文字を大きくすること、『方法』『正解』といった切り口を掛け合わせたりしています。デザインも含めて幅広く融通をきかせていただけるので、検証のしがいがあります。
ただ、ずらしてはいけない根本の軸はあるので、そこをずらさないよう密にコミュニケーションを取りながら進めています。
社内研修が、X・YouTube立ち上げのターニングポイントに
富田:実施したSNS全般の社内研修で、印象に残っている内容や、その後のメンバーの変化があれば教えてください。
Berney(バーニー)様:ちょうどSNSチームが発足し、XもYouTubeも動かそうとしていた時期だったので、Xを始めるうえで、とてもいいターニングポイントになりました。経緯やノウハウをここで学んで、『こうしよう』とユーザーハピネス(カスタマーサポート)のチームに持ち帰ってもらえたのはいい刺激でした。YouTubeも『こういう視点で作ったほうがいい』『効果測定はこうしよう』と、自分たちでリファレンスを集めてベンチマークを決める起点になって、ありがたい時間でした。
富田:デザイン提案・クリエイティブ制作について、評価いただいているポイントはありますか?
Berney(バーニー)様:クリエイティブを担当する川原さんが、ものすごく柔軟に対応してくださることです。私たちは文言チェックやトーンの方向づけはできても、社内のブランドデザイナーの意向を汲むとなると文化やバックグラウンドが違う。
見てきたクリエイティブが全然違うなかで、ゼロから合わせてくださっていて、ギリギリまで対応いただいて大変助かっています。
Marco(マルコ)様:同じく、対応スピードがとにかく速いです。むしろ僕らのチェックが遅いくらいで、そこをもっと早くできればもっとPDCAを回せそうだなと思うほどに満足しています。
専任者ゼロで、フォロワー1万人。社内からの評価も
富田:止まっていたアカウントから、10ヶ月ほどでフォロワーが5,000人から1万人に到達しました。この成果をどう受け止めていらっしゃいますか。
Berney(バーニー)様:Instagramの専任者は今もいない状態なんです。そのなかで運用体制を模索し、いろいろなところから協力を得ながらフォロワーが倍になったのは、TaTapさんをはじめ、リール動画を作ってくれているチームも含めた積み重ねが効いてきたと感じています。フォロワーの方だけでなく、フォロワー外の人にも『いいね』と思ってもらえる投稿を積み上げられたのが一番うれしかったです。SNSに関わっていない開発メンバーやデータアナリストからも『企業アカウントで1万人いくのは簡単じゃない』と評価してもらえて、『いつも見てるよ』と言ってもらえるのはありがたいですね。
富田:マルコさんは、フォロワー数以外で定量・定性の変化を感じている指標はありますか。
Marco(マルコ)様:企業アカウントの数字が全体的に伸びにくくなっている傾向は痛感しているのですが、海外からもコメントをいただけるようになったのは大きな変化です。
フォロワーを伸ばしにくいなかで1万を超えられたのもいいですし、母数が増えてもエンゲージメント率を一定に維持できているのもいいポイントだと思っています。(運営の)慣れとある程度の型ができてきて、運用のしやすさも少しずつ出てきました。
富田:事業への接続として、Instagramの役割はどう変化してきましたか。
Marco(マルコ)様:直近では、マーケで実施する施策のインタビュー協力者を募集するチャネルとして活用しました。目的としていた使い方・役割ができ始めています。プロダクトに接続できているフェーズとまでは言いづらいものの、情報伝達の場として、TimeTreeにとって大切なチャネルに育ってきていると思います。
富田:対応スピード以外で、弊社のここを評価しているという点があれば。
Berney(バーニー)様:Instagramは本当に1ヶ月単位でアルゴリズムが変わり、企業アカウントが冷遇されがちな面もあります。その変化を最前線で掴んでくださる安心感はとても大きいです。スタートアップで投稿準備が間に合わないこともあるのですが、いつも平常心で穏やかに対応してくださって、本当にありがたいです。
総合コミュニケーションの場へ。これからのSNS活用
富田:理想のSNSマーケティング像と、今後1〜2年で挑戦したいテーマをお聞かせください。
Marco(マルコ)様:プロダクトとしてのTimeTreeも、会社としてのTimeTreeも、もっと知っていただいて、より多くのファンが生まれることが理想です。キャラクターもできているので、そういったものも使いながら総合的なコミュニケーションの場として育てていきたい。マーケティングチャネルとしても活用し始めているので、そこを大きくして、ユーザーへのタッチポイントとしてさらに有効活用できるチャネルにしていきたいです。
富田:弊社の支援は、どのような企業に、どんな部分でおすすめできるとお考えですか。
Berney(バーニー)様:Instagram運営の経験がなくても、御社とご一緒することでその分野について惜しみなく意見をいただけるので、不安なく運営できています。専任者を立てなくても、スタートアップでもできると思っているので、悩んでいる企業さんがあれば、まずぜひ問い合わせてみるといいのではないかなと思います。
富田:最後に。今回の取り組みを総括して、TaTapは貴社にとってどのような存在ですか。一言で表すとしたら。
Berney(バーニー)様:質の高いディスカッションができるパートナーだと思っています。私たちはクライアントなので、厳しいことを言わない会社さんもいると思うんです。でも『いや、そうじゃなくて』というご意見をいつもいただける。そういうパートナーはなかなかいないので、すごく素敵だなと思っています。
Marco(マルコ)様:イメージは、24時間テレビのマラソンの“伴走者”ですね。一緒に走ってくれて、経験からいろいろアドバイスもくれる。いろんな面から、これがしっくりきます。
Berney(バーニー)様:TimeTreeのアカウントは、ブランディングに寄与していきたいと思っているため、制約も多くて、ただのプロダクト紹介ではない難しさがあるんです。世界観をとても大事にしていて、代表の哲学もある。やみくもにやればいいわけではない。そこに合わせて伴走してくださっているのが、本当にありがたいです。
TaTapは、SNSを活用したマーケティングの戦略設計から制作・運用までを伴走支援します。課題や要件が明確でなくても問題ございません。まずはお気軽にご相談ください。
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記事監修
富田 竜介
Ryusuke Tomita
株式会社TaTap 代表取締役|SNSマーケティングコンサルタント
Instagram・TikTok・X(旧Twitter)・YouTubeを中心に、企業のSNS運用設計・コンテンツ制作・改善まで一気通貫で支援。累計300社以上の支援実績をもとに、業種・予算規模を問わず再現できる運用モデルを体系化している。
現場の一次情報にもとづいた実践的なノウハウを強みとし、自社メディア「SOCIAL TALK」ではSNSトレンドの解説や運用事例を継続発信中。