TaTap SNS調査 第3回(2026年9月)

買う場面(CEP)とSNSの関係調査(TaTap SNS調査 第3回)

公開日:2026.09.07

SNS施策の成果は、これまで「どれだけ見られたか」「どれだけ押されたか」「その場でいくら売れたか」で語られてきました。しかし買い物は、投稿を見たその瞬間に起きるとは限りません。「疲れたとき」「自分にごほうびをあげたいとき」──そうした場面が訪れたときに、何が思い浮かぶか。マーケティングではこれをカテゴリーエントリーポイント(CEP/買う場面)と呼びます。

株式会社TaTap(東京都千代田区/SNSマーケティング支援)は、全国の20〜49歳の男女435名を対象に、この「買う場面」とSNSの関係を9問にわたって調査しました。

結果は明確でした。SNSで商品情報を見かける人のうち69.6%が、「見たときは今すぐ必要ない」と思った商品を、後日その場面が訪れたときに思い出して購入していました。58.6%はSNSで商品の新しい使いどころを知った経験があり、79.5%が「何を買うか」を決める場面でSNSの情報が役に立ったと答えています。一方で、SNSに情報や口コミが見つからないとき、37.8%が別の商品に変えるか、購入をやめると回答しました。

本記事では、買う場面とSNSの関係を14のグラフで解説し、企業がSNS運用をどう設計し直すべきかを整理します。

調査結果サマリー(1分で読む要点)

  • SNSで商品情報を見かける人は77.2%。うち48.7%は1日1回以上目にしている。
  • 「こういうときはこれ」と思い浮かぶ商品がある人は67.4%。最多の場面は「自分にごほうびをあげたいとき」30.1%。
  • その場面で思い浮かんだ商品をそのまま買った人は26.6%。50.2%は思い浮かんだうえで調べており、うち14.0%は調べた結果ほかの商品を買っている。
  • 場面と商品を結びつけたきっかけは、店頭27.0%・テレビCM26.3%・SNS各項目22.5〜24.9%が横並び。ただしSNS3種の延べ選択数は211件で、テレビCM77件の2.7倍。
  • SNSで商品の新しい使いどころ・使う場面を知った経験がある人は58.6%。
  • 「見たときは今すぐ必要ない」と思った商品を後日購入した経験がある人は69.6%。SNSは需要を先に予約している。
  • SNSの情報が「何を買うか」の判断に役立った場面がある人は79.5%。最多は「自分にごほうびをあげたいとき」41.7%。
  • SNSに情報や口コミが見つからないと、37.8%が別の商品に変えるか購入をやめる。
  • SNSが効くのは裁量的な買い物。「ごほうび」「プレゼント」「新しいものを試す」でSNSの寄与が大きく、「疲れたとき」「家でひとり」では小さい。
  • 20代と40代では行動が違う。SNSで使いどころを知った経験は20代69.5%/40代48.6%と20.9ポイント差。
買う場面とSNSの関係の概念図
【図1】買う場面とSNSの関係(本調査より作成)

調査概要

調査名買う場面(CEP)とSNSの関係調査(TaTap SNS調査 第3回)
調査主体自社調査(株式会社TaTap)
調査手法インターネットリサーチ(外部モニターパネルを利用したセルフ型調査)
調査対象全国の20〜49歳男女(スクリーニングによる事前除外は行っていない)
有効回答数435名(20代150名/30代139名/40代146名、男性221名・女性214名)
調査期間2026年8月20日
設問数9問(単一回答・複数回答のみ、マトリクス設問なし)
集計全体集計および性別・年代別クロス集計

※本文中の数値は小数第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
※設問により集計ベースが異なります。Q1・Q2は全体(n=435)、Q3〜Q5は「こういうときはこれと思い浮かぶ商品がある場面」を1つ以上選んだ人(n=293)、Q6〜Q9は「SNS・動画で商品情報を見かける」と答えた人(n=336)をベースにしています。各グラフのキャプションにベースを明記しています。
※標本誤差は、n=435で最大±4.7ポイント、n=336で±5.3ポイント、n=293で±5.7ポイントです。年代別はn=86〜118で最大±10.6ポイントとなるため、年代差は15ポイント以上あるときのみ本文で「差がある」と表現しています。

Q. SNSで商品情報は、どれくらい目に入っているのか?

A. 77.2%が見かけており、48.7%は1日1回以上目にしています。

まず前提を確認します。商品・ブランドの情報をSNS・動画サービスで見かける頻度を聞いたところ、「1日に何度も見かける」25.3%、「1日1回程度見かける」23.4%で、合計48.7%がほぼ毎日、商品情報に接触していました。「週に数回」18.6%、「週に1回以下」9.9%を加えると77.2%が何らかの頻度で目にしています。

一方で「まったく見かけない」10.8%、「SNS・動画サービスを利用していない」12.0%と、接触のない層も22.8%存在しました。本調査はスクリーニングによる事前除外を行っていないため、この層も含めた20〜49歳全体の姿になっています。

SNS・動画で商品情報を見かける頻度。48.7%が1日1回以上
【図2】SNS・動画で商品情報を見かける頻度(全体 n=435/単一回答)

Q. そもそも「買う場面」を持っている人は、どれくらいいるのか?

A. 67.4%。最多の場面は「自分にごほうびをあげたいとき」30.1%です。

12の場面を示し、「こういうときはこれ」とすぐに思い浮かぶ商品・ブランドがある場面をすべて選んでもらいました。「あてはまるものはない/答えたくない」を選んだ人は32.6%で、裏を返せば67.4%が1つ以上の場面と商品を結びつけて記憶していることになります。

最多は「自分にごほうびをあげたいとき」30.1%、次いで「気分を変えたい・リフレッシュしたいとき」25.5%、「疲れているとき・元気を出したいとき」23.4%、「家でひとりでゆっくり過ごすとき」17.5%と続きました。上位を占めたのは、いずれも気分や体調をきっかけとする場面です。

一方で「プレゼント・差し入れを贈るとき」8.7%、「新しいもの・話題のものを試したいとき」6.0%、「肌・体調・髪などの悩みを解決したいとき」5.7%は1割を下回りました。ここは、まだブランドが押さえられていない空席です。

こういうときはこれと思い浮かぶ商品がある場面。ごほうび30.1%が最多
【図3】「こういうときはこれ」と思い浮かぶ商品がある場面(全体 n=435/複数回答)

延べ選択数は688件で、1人あたり平均1.58個の場面です。買う場面を持っている人(n=293)に限れば平均2.35個になります。1人の生活者が同一カテゴリで思い出せる場面は、多くても2〜3個しかないということです。この限られた枠を、どのブランドが取るかという競争になります。

直近で実際にあった場面も「ごほうび」と「疲れ」が二強

続いて、選んだ場面のうち直近で実際にあったものを1つ選んでもらいました。「自分にごほうびをあげたいとき」25.3%と「疲れているとき・元気を出したいとき」24.6%がほぼ並んで上位、「気分を変えたい・リフレッシュしたいとき」17.4%が続きます。想起の保有率(図3)とほぼ同じ順序で、思い浮かべやすい場面ほど実際にも頻繁に訪れていることが分かります。

直近で実際にあった場面。ごほうび25.3%、疲れ24.6%
【図4】直近で実際にあった場面(買う場面がある人 n=293/単一回答)

Q. 思い浮かんだ商品は、そのまま買われているのか?

A. いいえ。そのまま買ったのは26.6%で、50.2%は思い浮かんだうえで調べています。

直近で実際にあった場面について、そのときとった行動を聞きました。「思い浮かんだ商品・ブランドをそのまま買った」26.6%に対し、「思い浮かんだうえで、念のため調べてから買った」が36.2%で最多。「思い浮かんだが、調べた結果ほかの商品を買った」14.0%を加えると、50.2%が想起したうえで確認行動をとっています。

これは重要な発見です。想起されること自体はゴールではなく、想起されたあとに調べられ、そこで耐えられるかどうかが購買を決めています。実際、調べた人のうち相当数(全体の14.0%)は調べた結果ほかの商品に流れています。第一想起を取っていても、確認の段階で情報が薄ければ逆転されうるということです。

なお「思い浮かんだが、結局買わなかった」は12.3%で、購入に至った計は76.8%でした。

その場面で実際にとった行動。そのまま買った26.6%、調べてから買った36.2%
【図5】その場面で実際にとった行動(買う場面がある人 n=293/単一回答)

Q. 場面と商品を結びつけたのは、どの媒体か?

A. 単独項目では店頭27.0%・テレビCM26.3%が首位。ただしSNS3種の延べ選択数は211件で、テレビCM77件の2.7倍です。

その商品を「この場面ならこれ」と結びつけて覚えたきっかけを複数回答で聞きました。単独項目で最も多いのは「店頭で見かけた・試した」27.0%、次いで「テレビCM・テレビ番組」26.3%です。SNS関連は「インフルエンサーの投稿」24.9%、「一般ユーザーの投稿・口コミ」24.6%、「企業アカウントの投稿・広告」22.5%と続きました。

ここは正確に読む必要があります。SNSの各項目と店頭・テレビCMの差は最大でも4.5ポイントで、標本誤差(±5.7ポイント)の範囲内です。つまり単独項目としては、店頭・テレビCM・SNSの3者はほぼ同水準にあり、「SNSがテレビCMを抜いた」とは言えません。

場面と商品を結びつけたきっかけ。店頭27.0%、テレビCM26.3%、SNS各項目が横並び
【図6】場面と商品を結びつけたきっかけ(買う場面がある人 n=293/複数回答)

しかし、SNS・動画という接触面全体で見ると景色が変わります。3項目の延べ選択数は211件で、店頭79件・テレビCM77件のいずれに対しても2.7倍です。生活者は「SNSで見た」という単一の体験ではなく、一般ユーザーの投稿・インフルエンサーの投稿・企業アカウントの発信という複数の経路が重なった結果として、場面と商品を結びつけています。1つの投稿が単独で記憶をつくるのではなく、面の重なりが効いているということです。

きっかけの延べ選択数。SNS3種211件はテレビCM77件の2.7倍
【図7】きっかけの延べ選択数(買う場面がある人 n=293/複数回答)

Q. SNSは「場面そのもの」を教えているのか?

A. はい。58.6%が、それまで知らなかった使いどころをSNSで知った経験があります。

SNSや動画を見ていて「この商品はこういうときに使えるのか」と、それまで知らなかった使いどころ・使う場面を知った経験を聞いたところ、「よくある」13.4%、「たまにある」45.2%で、合計58.6%が経験ありと回答しました。

これは前問とは質の違うデータです。前問が「既にある場面に商品を結びつけた」話であるのに対し、この設問は場面そのものを新しく生やした話です。図3で見たとおり、1人が持つ場面は平均1.58個しかありません。その限られた枠を奪い合うだけでなく、新しい枠そのものをつくれる媒体だとすれば、SNSは需要の総量に効いていることになります。認知度が確立していない新商品や、用途が伝わりにくい商材ほど、この機能の価値は大きくなります。

SNSで新しい使いどころを知った経験。58.6%が経験あり
【図8】SNSで新しい使いどころを知った経験(SNSで商品情報を見かける人 n=336/単一回答)

Q. SNSは、需要を先に予約しているのか?

A. しています。69.6%が「今は要らない」と思った商品を、後日その場面が来たときに買っています。

本調査でもっとも重要な数字です。SNSで見たときは「今すぐには必要ない」と思った商品を、後日その場面が訪れたときに思い出して購入した経験を聞いたところ、「何度もある」12.5%、「数回ある」36.3%、「1回はある」20.8%で、合計69.6%が経験ありと回答しました。

SNS施策の成果は、投稿から購入までを同一セッションで測る前提で評価されがちです。しかしこの結果は、SNSの主たる働きが「今すぐ買わせること」ではなく、「その場面が来たときに思い出される状態をつくること」にあることを示しています。投稿を見た時点で購入意向がなかったことは、施策が効いていない証拠にはなりません。むしろ、そこから始まる待機期間こそが本体です。

第2回調査「Z世代のSNS購買行動調査」では、SNSで保存・いいねした商品を後日購入した経験がある人が56.9%でした。今回の69.6%は年代も設問も異なりますが、保存という行為を経由しない場合でも、後日想起による購入が広く起きていることが確認できます。保存は待機列であり、場面はその発火装置だという整理になります。

今は要らないと思った商品の後日購入経験。69.6%が経験あり
【図9】「今は要らない」と思った商品の後日購入経験(SNSで商品情報を見かける人 n=336/単一回答)

Q. SNSは、どの場面で効いているのか?

A. 79.5%に役立った場面があり、最多は「自分にごほうびをあげたいとき」41.7%です。

図3と同じ12の場面を示し、「何を買うか」を決めるときにSNS・動画で見た情報が役に立った場面をすべて選んでもらいました。「あてはまる場面はない」は20.5%にとどまり、79.5%に1つ以上の該当場面がありました。延べ選択数は591件、1人あたり1.76個です。

最多は「自分にごほうびをあげたいとき」41.7%で、2位の「気分を変えたい・リフレッシュしたいとき」25.3%に16.4ポイントの差をつけています。以下「疲れているとき」21.1%、「人に会う予定があるとき」13.7%、「プレゼント・差し入れを贈るとき」12.2%と続きました。

SNSの情報が何を買うかの判断に役立った場面。ごほうび41.7%が最多
【図10】SNSの情報が「何を買うか」の判断に役立った場面(SNSで商品情報を見かける人 n=336/複数回答)

SNSが効く場面と、効かない場面がはっきり分かれる

図3(思い浮かぶ商品がある場面)と図10(SNSが役立った場面)を場面ごとに並べると、SNSの得意分野が見えてきます。ベースが異なる(n=435とn=336)ため単純比較はできませんが、傾向として読める差は明確です。

SNSの寄与が大きいのは「自分にごほうび」(30.1%→41.7%)、「プレゼント・差し入れ」(8.7%→12.2%)、「新しいもの・話題のものを試す」(6.0%→9.2%)といった裁量のある、非日常寄りの買い物です。逆に「家でひとりでゆっくり過ごすとき」(17.5%→11.9%)、「疲れているとき」(23.4%→21.1%)、「季節や気温が変わったとき」(5.7%→4.5%)では、SNSの寄与が相対的に小さくなっています。

読み方はシンプルです。すでに定番が決まっているルーティンの買い物にSNSは入り込みにくく、何を買うか決まっていない裁量的な買い物でこそSNSが判断材料になっている。自社商材がどちらの性質を持つかで、SNSに期待できる役割はまったく変わります。

場面別に見た想起の保有とSNSの貢献
【図11】場面別に見た「想起の保有」と「SNSの貢献」(差の大きい順)

Q. SNSに情報がなかったら、どうなるのか?

A. 37.8%が別の商品に変えるか、購入をやめます。

買おうと思っている商品について、SNSで情報や口コミが見つからなかったときの行動を聞きました。「購入を先送りする・やめる」20.5%、「別の商品に変える」17.3%で、合計37.8%が購入から離れると回答しています。「気にせずそのまま購入する」は12.2%にとどまりました。

残りは代替の確認行動です。「店頭で実物を見てから決める」16.7%、「SNS以外の方法で調べてから購入する」16.4%と、SNSがなければ別の裏取り手段に移る層が33.1%います。裏を返せば、SNSに情報があれば、この確認コストを企業側が肩代わりできるということです。

第1回調査「AI検索時代の購買行動調査」では、SNSに口コミがないと購入をやめることがある人が34.4%でした。今回の37.8%は、対象年齢も設問も異なるにもかかわらずほぼ同水準です。SNS上の情報の不在が3〜4割の取りこぼしにつながるという構図は、時期や設問を変えても再現されています。

SNSに情報や口コミが見つからなかったときの行動。37.8%が離脱
【図12】SNSに情報や口コミが見つからなかったときの行動(SNSで商品情報を見かける人 n=336/単一回答)

20代と40代では、SNSの役割が違う

本調査は20〜49歳を対象としていますが、20代(n=118)と40代(n=107)を比べると、SNSの効き方に明確な差がありました。差が15ポイント以上あった項目は次のとおりです。

  • SNSで新しい使いどころを知った(計):20代69.5%/40代48.6%(20.9ポイント差)
  • 「今は要らない」と思った商品を後日購入した(計):20代77.1%/40代59.8%(17.3ポイント差)
  • SNSが役立った場面がある(計):20代87.3%/40代66.4%(20.9ポイント差)
  • SNSに情報がないと別商品・購入中止(計):20代45.8%/40代30.8%(15.0ポイント差)

一方、「こういうときはこれと思い浮かぶ商品がある」割合は20代72.7%/40代58.9%(13.8ポイント差)、SNSで商品情報をほぼ毎日見かける割合は20代52.7%/40代43.8%(8.9ポイント差)で、いずれも本調査の基準(15ポイント以上)では差があるとは判断していません。接触量そのものには大きな差がないのに、SNSが購買判断に果たす役割には差がある、という構図です。

主要指標の年代別比較
【図13】主要指標の年代別比較(20代 n=118/30代 n=111/40代 n=107)

媒体の役割が世代で逆転する

場面と商品を結びつけたきっかけを年代別に見ると、逆転が起きています。20代ではSNS3項目(一般ユーザー32.1%、インフルエンサー30.3%、企業アカウント26.6%)がいずれもテレビCM22.9%を上回りますが、40代ではSNS3項目(17.4%/15.1%/10.5%)がすべてテレビCM29.1%を下回ります。

特に差が大きいのは「企業アカウントの投稿・広告」で、20代26.6%に対し40代10.5%(16.1ポイント差)。「インフルエンサーの投稿」も20代30.3%/40代15.1%(15.2ポイント差)で基準を超えました。SNS3項目の延べ選択数を100人あたりに換算すると、20代89件に対し40代43件と半分以下です。

テレビCMの数値自体は20代22.9%/40代29.1%で6.2ポイント差にとどまり、世代間で大きく変わっていません。つまり40代でテレビが強いのではなく、20代でSNSが上乗せされている構図です。ターゲットが20代中心の商材であれば、記憶形成の主戦場はすでにSNS側にあります。

場面と商品を結びつけたきっかけの年代別比較
【図14】場面と商品を結びつけたきっかけの年代別比較(20代 n=109/30代 n=98/40代 n=86)

※Q3〜Q5のベースは「買う場面がある人」であり、年代別では40代がn=86と小さく、標本誤差は最大±10.6ポイントです。この層の設問別数値は参考値としてお読みください。

調査からの示唆:SNSは「刈り取り」ではなく「予約」の媒体である

本調査の結果を、企業のマーケティング施策に翻訳すると次の3点になります。

① 評価指標を「その場の転換」から「後日の想起」に移す

69.6%が「今は要らない」と思った商品を後日購入しています。投稿を見た時点で購入意向がないことは、施策の失敗ではありません。にもかかわらず多くのSNS運用は、投稿からの直接コンバージョンで評価されています。この設計では、本来効いている働きがまるごと計測外に落ちます。

実務的には、投稿単位のCVだけでなく、指名検索数・ブランド名を含む口コミ量・リピート購入率といった遅効性の指標を並べて見ること。そして、投稿内容を「今すぐ買う理由」だけでなく「どんなときに使うか」を明示するものに寄せることです。使う場面が書かれていない投稿は、思い出されるためのフックを持たないまま流れていきます。

② 想起されたあとに「調べられる」前提で情報を置く

思い浮かんだ商品をそのまま買った人は26.6%にとどまり、50.2%は思い浮かんだうえで調べています。しかも調べた結果ほかの商品を買った人が14.0%います。第一想起を取っていても、確認の段階で情報が薄ければ逆転されるということです。

さらに、SNSに情報や口コミが見つからないとき37.8%が別の商品に変えるか購入をやめます。第1回調査の34.4%とほぼ同水準で、この構図は再現性があります。ハッシュタグ検索やアカウント検索で自社商品名を調べたとき、一般ユーザーの投稿が存在するか。存在しないなら、それは露出の不足ではなく、購買の前提条件が欠けている状態です。UGCの少ない新商品・BtoB商材・地方の店舗ほど、この欠落は深刻に効きます。

③ 狙う場面を選び、そこにSNSが効くかを先に判断する

SNSの寄与は場面によって大きく異なります。「自分にごほうび」41.7%、「プレゼント・差し入れ」12.2%、「新しいもの・話題のものを試す」9.2%といった裁量的な買い物では貢献が大きく、「家でひとりでゆっくり」11.9%、「季節や気温の変化」4.5%といったルーティン寄りの場面では小さくなります。

加えて、1人が持てる場面は平均1.58個しかありません。すべての場面を等しく狙うのは現実的ではなく、自社商材がどの場面で選ばれたいのかを1〜2個に絞り、その場面がSNSの効く領域にあるかを先に確認する。効きにくい場面が主戦場であれば、SNSに求める役割は記憶形成ではなく確認材料の供給に切り替えるべきです。

なお、まだ空席の場面もあります。「プレゼント・差し入れを贈るとき」で思い浮かぶ商品がある人は8.7%、「新しいもの・話題のものを試したいとき」は6.0%、「肌・体調・髪などの悩みを解決したいとき」は5.7%。いずれも1割を切っており、かつSNSの貢献が伸びている領域です。競合が押さえきれていない場面を取りにいく余地が残っています。

企業がとるべき対応(実務チェックリスト)

  1. 自社商材が選ばれたい「場面」を1〜2個に絞って言語化する。1人が持てる場面は平均1.58個しかない。
  2. 投稿に「いつ使うか」を必ず入れる。使う場面が書かれていない投稿は、思い出されるためのフックを持たない。
  3. SNS運用のKPIに遅効性の指標を加える。指名検索数、ブランド名を含む口コミ量、リピート率。69.6%は後日購入である。
  4. 自社商品名でSNS内検索し、一般ユーザーの投稿が存在するか確認する。ゼロなら37.8%を取りこぼす状態にある。
  5. 想起されたあとに調べられる前提で、価格・サイズ・使用シーン・購入先をSNS上で完結させる。50.2%が確認行動をとる。
  6. 狙う場面がSNSの効く領域かを先に判断する。裁量的な買い物(ごほうび・プレゼント・新しいもの)では貢献が大きく、ルーティンの買い物では小さい。
  7. 空席の場面を狙う。プレゼント8.7%、新しいもの6.0%、悩み解決5.7%はまだ1割を切っている。
  8. 20代中心の商材はSNSを記憶形成の主軸に据える。20代ではSNS3項目がいずれもテレビCMを上回っている。

TaTapでは、買う場面に商品を結びつけるSNS設計から運用までを支援しています。UGCを増やす施策やインフルエンサーの起用はインフルエンサーマーケティング/UGC支援、使う場面を伝える投稿設計を含むアカウント運用はSNS運用代行、用途や使い方を詳しく伝えるYouTubeの整備はYouTube運用代行でそれぞれご案内しています。

本調査で確認できなかったこと

本調査は「SNS接触が多い人ほど、思い浮かぶ場面が多いか」という相関の検証を主要な目的のひとつとしていましたが、納品されたクロス集計の表頭が性別・年代などの基本属性のみで、SNS接触頻度(Q1)を軸としたクロス集計が含まれていなかったため、この検証はできていません。次回以降、集計指定時にSNS接触頻度を表頭軸として明示的に依頼します。

また、本調査で示しているのは回答者自身の申告に基づくデータです。「SNSがきっかけだった」という自己申告が実際の記憶形成の経路と一致している保証はなく、SNSの寄与を断定するものではありません。加えて、マトリクス設問を使わない設計のため、ブランド単位のメンタルシェア(どのブランドがどの場面を何%押さえているか)は測定していません。

スクリーニングによる事前除外を行っていないため、広告・調査・メディア関係者を除外していない点、および母集団が「SNS利用者」ではなく「20〜49歳一般」である点にもご留意ください。第1回・第2回調査とはベースが異なるため、数値の単純比較はできません。

株式会社TaTapについて

株式会社TaTapは、Instagram・TikTok・YouTube・Xを中心としたSNSマーケティング支援およびインフルエンサーマーケティングを提供する企業です。SNS運用代行、インフルエンサーキャスティング、ギフティング、EC・D2Cの売上グロース支援、AI検索対策(LLMO)コンサルティングまでを一気通貫で支援しています。

本調査は、生活者のSNS・AI利用実態を継続的に把握するために定期的に実施している「TaTap SNS調査」の第3回です。今後も、SNSと購買行動に関するテーマで調査結果を公開してまいります。

※本記事の数値は2026年8月20日に実施した調査に基づくものです。

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完全版レポート(全設問クロス集計付きPDF)

本記事では調査結果の一部を紹介しています。完全版では以下をすべてご覧いただけます。

  • 全9問の単純集計データ
  • 性別・年代別(20代/30代/40代)クロス集計表
  • 図表14点の高解像度版

    本調査の引用・転載について

    本調査結果の引用・転載は、報道・記事・資料等で自由にご利用いただけます。その際は下記の出典を明記のうえ、本レポートページへのリンクを設置してください。グラフ画像もそのままご利用いただけます。

    出典:株式会社TaTap「TaTap SNS調査 第3回(2026年9月)」 https://tatap.jp/research/cep-sns-2026/
    グラフ画像一式をダウンロード(zip・無償) 報道・記事作成用の素材です。出典明記のうえご自由にお使いください。

    詳細は調査データの引用についてをご覧ください。

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