SNSを頑張ってもEC売上が伸びない会社がはまっている「3つの罠」
- SNSは売上直結ではなく購買前意思決定を進める装置
- フォロワー数より購買フェーズとの接触設計が重要
- 洗練運用だけでは認知止まりで売上に結びつかない
- 否定や比較提示が信頼と納得を生む鍵になる
- 導線設計不足は成果を止める最大のボトルネック
- フェーズ別にSNSを設計する視点が成果を左右する
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「SNS運用に力を入れているにもかかわらず、なぜかECサイトの売上が伸びない」という課題を抱える企業は、無意識のうちに「3つの罠」に陥っている可能性があります。
SNSを頑張っているのに売果が出ないからといって、決して努力が足りないわけでも、センスがないわけでもありません。結論から申し上げますと、その熱量が「間違った方向」に向かってしまっている、ただそれだけのことなのです。
そこで、その「戦略のズレ」を3つの罠として具体的に言語化していきます。現状を打破し、SNSを真の「売上創出装置」に変えるためのヒントとしてお役立てください。
大前提:SNSは売上に直結する「装置」ではない|SNS EC売上

具体的な解説に入る前に、まずは避けては通れない大前提について整理しておきます。それは「SNSは果たして売上に直結するのか?」という本質的な問いです。
ズバリ、SNSは「投稿すれば即座に商品が売れる」という単純な販売装置ではありません。SNSの本質的な役割とは、以下のステップを通じてユーザーの心理を動かすことにあります。
- 商品やブランドを「認知する」
- 特徴や背景を「理解する」
- その価値に「納得する」
- 購入しても大丈夫だと「安心する」
つまりSNSの本質とは、消費者が実際に財布を開くその瞬間に至るまでの「購買前の意思決定を前に進める装置」なのです。次に何かを選ぶとき、自社のブランドが選ばれる確率を最大限に高めておくこと。これこそが運用の核心です。
もちろん、このプロセスを丁寧に行えば、結果として売上には確実に反映されます。しかし、技術的な側面から見ると、一つの特徴があります。 現在の解析ツール、例えばGA4(Googleアナリティクス4)などで分析を行う際、SNSは「ラストクリック(購入の直前に踏んだ媒体)」には反映されにくい性質を持っています。ユーザーはSNSでブランドへの信頼を深め、最終的には検索エンジンやブックマークから購入することが多いためです。
この性質を理解せずに「SNSから直接売れていないから意味がない」と短絡的に判断してしまうことは、大きな機会損失を招くことになります。
罠の1つ目:フォロワーが増えれば売上も伸びるという幻想|SNS EC売上

それでは、1つ目の罠について解説します。それは「フォロワーさえ増えれば、比例して売上も伸びていくだろう」という思い込みです。
かつて、フォロワー数こそが売上の先行指標だった時代もありました。しかし、情報の選択肢が無数にある現代において、その考え方はもはや通用しません。なぜなら、フォロワーという集団の中身は、驚くほど多種多様だからです。
その集団の内訳を冷静に分析してみると、以下のような層が混在していることがわかります。
・「今すぐ購入したい」と考えている顕在層
・「良いなとは思うが、いつか機会があれば」と考えている潜在層
・「ただ、流れてくる情報の雰囲気が好きだ」というファン層
・「将来のために今は情報収集だけをしておこう」というリサーチ層
これらの方々が、一つの「フォロワー数」という数字の中に混ざり合っています。さらに、消費者には個別のタイミングが存在します。金銭的な余裕がある時もあれば、別の大きな買い物をしてしまった直後で余裕がない時もあります。
つまり、フォロワー数がどれほど増大したとしても、一人ひとりの購買フェーズやタイミングはバラバラなのです。
たとえフォロワーが何万人いたとしても、ただ漫然と情報発信を続けているだけでは、ユーザーの感情は「有益な情報があるな」という感心の段階で止まってしまいます。その感情を「購入」という具体的なアクションに変えるためには、企業側が意図的に「買ってもらうための理由作り」を仕掛ける必要があります。
巨大なECモールに目を向けると、楽天の「スーパーセール」やAmazonの「プライムデー」などは、まさにモール側が「今、買わなければならない理由」を必死に創出しています。
しかし、自社ECサイトやD2C(Direct to Consumer)を展開している企業は、その理由作りを自らの手で行わなければなりません。期間限定のキャンペーンを企画するのか、SNS限定の体験価値を提供するのか。「母数」を増やすことに奔走する前に、そのフォロワーにどうやって「今、動く理由」を提示するか。その設計が不可欠です。
売れている企業が重視する「接触の質」という評価軸|SNS EC売上

実際にSNS経由で大きな売上を立てているEC企業を分析すると、共通点が見えてきます。彼らは「フォロワー数」という表面的な数字をそれほど重要視していません。
彼らが注力しているのは、「どのような文脈で自分たちをフォローしてもらうか」であり、「どのような状況で、どれだけ深くブランドと接触してもらうか」という設計の精度です。
単にプレゼントキャンペーンで集まった、商品に興味のない1万人よりも、悩みを解決するノウハウを熱心に読み、信頼を寄せている1,000人のほうが、圧倒的に売上への貢献度は高くなります。 フォロワー数という見かけのボリュームに惑わされるのではなく、ユーザーとの「接触の質」をどこまで高められるかが重要なのです。
罠の2つ目:洗練された運用が招く「認知止まり」の弊害|SNS EC売上

次に2つ目の罠です。それは、運用しているアカウントが「認知止まり(にんちどまり)」という状態に陥っているケースです。これも非常に多くの現場で見受けられる問題です。
現在のSNS担当者は非常に優秀であり、プロの手によるおしゃれな写真や洗練された動画を投稿し、見事な世界観を構築しています。画面をパッと見る限りでは、これ以上ないほど「完璧に運用されている」ように見えるでしょう。
しかし、ここに落とし穴があります。洗練されたコンテンツを見て「素敵だな」「良さそうだ」という感想を抱くものの、そこで思考が停止してしまっているのです。
なぜなら、おしゃれな投稿だけでは、ユーザーの心理にある次のような疑問への「答え合わせ」が完了していないからです。
「この商品は、本当に今の自分に合うものだろうか?」 「他社の商品と比べて、結局何が違うのだろうか?」
人は、本質的に理解できないものや確信を持てないもの、そして安心できないものにはお金を払いません。
特に対面販売ではないECサイトにおいて、商品を購入するというアクションは、ユーザーにとって一定の失敗リスクを伴う行為です。届いた商品がイメージと違ったり、自分には合わなかったりして後悔した経験は、誰しもが一度は持っているものです。
その失敗を恐れる心理があるからこそ、現代のユーザーは「リスクヘッジ購買」と呼ばれる行動を取ります。購入を決める前に、「本当に想像通りのものか」「後悔しないか」を、SNSや口コミを通じて徹底的に確認し、自分自身を納得させようとします。
施策全体が単なるブランド認知に特化してしまい、この「納得」と「安心」のプロセスを軽視しているアカウントは、どれだけ「いいね」を集めても売上にはつながりません。
「否定」の提示が強固な信頼を生む|SNS EC売上

では、売れているECアカウントはどのような工夫をしているのでしょうか。彼らは、美しい世界観を見せる一方で、非常に具体的に「答え合わせ」の材料を提供しています。
例えば、自社の商品と他社商品を並べてメリット・デメリットを冷静に比較する。あるいは「このような悩みを持っている人には、自社の商品はおすすめしません」といった、明確な「否定(ターゲットの除外)」を提示したりします。
一見、売り口を狭めるようにも見えるこの「否定」というアクションこそが、実はターゲット層に対して「このブランドは誠実だ。私には確実に向いているのだ」という、強固な信頼を生むことになります。
「ただ知ってもらう」という認知の段階を抜け出し、いかにユーザーの「頭の中の答え合わせ」に寄り添えるか。この設計ができているかどうかが、成果を分かつ分岐点となります。
罠の3つ目:出口なき迷宮を作る「導線設計の欠如」|SNS EC売上

最後にお話しする3つ目の罠、これは最も致命的です。それは「SNSからECサイトへの流し方(導線)」が極めて不十分になってしまっていることです。
「プロフィールのリンクを貼っているから導線は作ってある」と考えるのは、大きな間違いです。SNS運用の世界において、それは最低限の準備であり、戦略的な導線とは呼びません。
ユーザーは、想像以上に手間を嫌います。投稿を見て心が動いたその瞬間に、指先が自然と次へ進めるようになっていなければ、熱量は一瞬で冷めてしまいます。
例えば、以下の細かな配慮ができているでしょうか。
・投稿の最後の1枚(ラストカード)に、購入までの流れを視覚的に示した画像を入れているか
・ストーリーズは24時間で消えてしまうため、重要な情報は「ハイライト」に整理し、いつでも辿り着けるようになっているか
・ユーザーが迷わずECサイトへ進めるよう、心理的な誘導を設計しているか
これらは単なるテクニックではなく、ユーザーの熱量を逃さないための思いやりの設計です。
さらに、自社からの発信だけでなく、実際に使った人の口コミが自然と溜まっていく仕掛けを作ったり、SNSの投稿を補完する形で広告を戦略的に組み合わせたりといった、多角的な設計も欠かせません。
ECサイトを「説得の場」から「確認の場」へ変える|SNS EC売上

成果を上げている企業の導線設計には、明確なステップが存在します。
まず「問題提起」でユーザーの悩みに共鳴し、「他社比較」で優位性を伝え、「具体的な使用シーン」を提示して未来をイメージさせ、最後に「不安解消」の情報で背中を押す。
これらのプロセスがSNS上で完結している状態でECサイトへと送り込むのです。こうなると、ECサイト側で改めて長々と商品説明をして説得する必要はありません。ユーザーにとってECサイトは「SNSで決意したことを最終確認し、決済をするための場所」に変わります。
この状態こそが、最も離脱が少なく、高い購買率を生む理想的な導線なのです。
逆に、これら3つの罠、フォロワー幻想、認知止まり、導線不足にはまってしまうと、悲劇が起こります。 「SNS上の数字は伸びているが、売上は伸びない」という状況になれば、社内から「SNS運用は本当に意味があるのか」という疑念の目を向けられることになります。担当者がどれだけ力を尽くしていても、戦略設計の不備一つで、プロジェクト全体の価値が問われてしまうのです。
Tatapが提唱する「SNSを売上創出装置に変える」思考法|SNS EC売上

私たちTatap(タタップ)が、SNSを「売上のための装置」として設計する際に最も重視しているのは、投稿本数でもフォロワー数でもありません。
常に問い続けるのは、「今SNSで行っている一つの接触が、顧客の購買プロセスのどのフェーズに作用しているのか」という一点です。
その投稿は、初めてブランドを知る「認知」のフェーズなのか。 それとも、価値を深く浸透させる「理解」のフェーズなのか。 あるいは、他と比較して迷っている人の背中を押す「比較検討の後押し」なのか。
これらを無計画に行うのではなく、戦略的に配置していく。この「フェーズに合わせた緻密な設計」こそが、SNS運用の本質です。
もし今、「SNSを頑張っているのに結果が出ない」と行き詰まっているならば、それは努力の量ではなく、3つの罠のどこかに足を取られているだけである可能性が高いといえます。
その際、焦って投稿数を増やしたり、新しい企画を立てたりといった「運用の改善」に走ってはいけません。まずは一度立ち止まり、戦略の地図そのもの、つまり「設計の見直し」を行うことをお勧めします。
SNSの力を正しく実を結ばせるために|SNS EC売上

SNSは、正しく設計されれば、これほど強力なビジネスの武器はありません。単なる宣伝媒体ではなく、ブランドと顧客との間に「信頼」という名の橋を架ける唯一無二の場所だからです。
フォロワー数という数字の幻に惑わされず、単なるイメージの発信を抜け出し、不十分な導線から卒業する。
その先には、数字を越えたファンの熱量と、それによってもたらされる確かな売上が待っています。日々積み重ねている努力が、正しい形で見を結ぶことを願っています。
戦略的な「設計の見直し」という小さな一歩が、数ヶ月後の結果を劇的に変えることになるはずです。
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