カテゴリーエントリーポイント(CEPs)とは|5つの問いで見つける方法とSNSへの落とし込み
- CEPs拡張で指名検索が約1.8倍に伸びる業界実証
- 業界の63%がCEPs管理せず競合優位を作りやすい
- 月次5〜10シーンずつCEPsを追加するのが王道
- TATAP理論で5ステップにCEPsをマッピング
- AI時代はCEPs多角化でAI経由流入が2.4倍化
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結論:カテゴリーエントリーポイント(CEPs)とは、人が「何かを買おう」と思う具体的な状況のことです。「夜、子どもを寝かしつけたあと」「贈り物を選ぶとき」といった場面ひとつひとつがCEPで、その場面で真っ先に思い出されるブランドが選ばれます。SNS運用にCEPsを組み込むと、フォロワー数ではなく「思い出される場面の数」を指標にできるようになります。ただしCEPsは数を増やせばよいものではありません。大きくて自社に関連する場面を見極め、そこで一番に想起されることが目的です。本記事では、累計300アカウント・600万フォロワー以上のSNS支援を行ってきた株式会社TaTap(SNSマーケティング支援会社)代表取締役・富田竜介が、CEPsの見つけ方からSNSへの落とし込みまでを解説します。(最終更新:2026年9月16日)
この記事の要点
- CEPs(カテゴリーエントリーポイント)とは、人がカテゴリーを思い出す具体的な状況・場面のこと。
- 提唱したのはエーレンバーグ・バス研究所のジェニー・ロマニウクとバイロン・シャープ。
- CEPsは「Why・When・Where・With whom・With what」の5つの問いで洗い出す。
- 数を増やすのが目的ではない。大きくて自社に関連する場面に絞るのが原典の考え方。
- SNSはCEPsを「見える形」にする場所。投稿をシーン単位で設計する。
- KPIはフォロワー数ではなく、指名検索数と保存数で見る。
カテゴリーエントリーポイント(CEPs)とは?
結論:カテゴリーエントリーポイント(Category Entry Points/CEPs)とは、人がある商品カテゴリーを思い出すきっかけになる、具体的な状況や場面のことです。オーストラリアのエーレンバーグ・バス研究所(Ehrenberg-Bass Institute for Marketing Science)のジェニー・ロマニウク教授とバイロン・シャープ教授が体系化した概念で、書籍『How Brands Grow Part 2』(邦訳『ブランディングの科学 新市場開拓篇』)で詳しく扱われています。
たとえばベビーケアブランドなら、「お風呂上がりに肌が乾燥している」「おむつかぶれが気になる」「出産祝いを選んでいる」といった場面がそれぞれCEPです。その場面になったときに真っ先に思い浮かぶブランドが、実際に選ばれます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | Category Entry Points(カテゴリーエントリーポイント) |
| 略称 | CEPs(単数形はCEP) |
| 提唱 | エーレンバーグ・バス研究所(ジェニー・ロマニウク/バイロン・シャープ) |
| 主な書籍 | 『How Brands Grow Part 2』(邦訳『ブランディングの科学 新市場開拓篇』) |
| 概念の位置づけ | 「メンタルアベイラビリティ(思い出されやすさ)」を構成する要素 |
| 目的 | 買う場面とブランドの結びつきを強くすること |
ポイントは、CEPsが「ブランドの側の都合」ではなく「買う人の側の状況」で定義されることです。「うちの商品は保湿力が高い」はブランドの都合ですが、「お風呂上がりの乾燥が気になるとき」は買う人の状況です。CEPsとして扱えるのは後者だけです。
CEPsは「数を増やす」ものではない|よくある誤解
結論:CEPsについて最もよくある誤解が「たくさん増やせばいい」というものです。原典の考え方はそうではありません。ロマニウク教授が繰り返し述べているのは「大きくて(多くの人が経験し)、自社に関連するCEPと、強く結びつく」ことです。関連の薄い場面を100個並べても、どれとも強く結びつかなければ意味がありません。
なぜこの誤解が起きるかというと、CEPsの説明でよく「入口の数が多いほど選ばれる確率が上がる」と言われるためです。この説明自体は間違っていませんが、前提として「その入口を実際に通る人がいること」が必要です。誰も通らない入口をいくら作っても、通行量は増えません。
| よくある誤解 | 原典に近い考え方 |
|---|---|
| CEPsは多いほどよい | 大きくて関連するCEPに絞る。結びつきの強さが本質 |
| 毎月シーンを追加し続ける | まず洗い出し、優先順位をつける。追加は必要に応じて |
| シーン数をKPIにする | 各CEPでの想起率と、その結果としての指名検索数を見る |
| 思いついた場面を並べる | 買った人への調査から実際の場面を拾う |
| 競合と違うCEPを狙う | 大きいCEPは競合と重なって当然。そこで勝ちにいく |
実務では、まず20〜30の候補を洗い出し、そのうち「規模が大きい×自社が勝てる」ものを5〜10に絞るのが現実的です。絞った場面については、投稿・UGC・広告のすべてで一貫して発信します。
「毎月5〜10シーンずつ増やす」といった運用を続けると、1年で60個を超えます。60個の場面それぞれで想起率を測るのは、調査コストの面で現実的ではありません。測れないものは改善もできないため、絞ることが結果的に成果につながります。
絞り込むときに落としてよい候補の見分け方は次のとおりです。
- 年に1回しか発生しない場面:機会が少なく、投資に対する回収が合いにくい。
- 自社の商品でなくても成立する場面:「なんとなく使える」程度なら、想起で勝てません。
- 説明が長くなる場面:一言で伝わらない結びつきは、投稿でも記憶されません。
- すでに他の場面と重なっている:「朝の支度」と「出勤前」のような重複は1つにまとめる。
CEPsの見つけ方|5つの問いで洗い出す
結論:CEPsは「Why(なぜ)・When(いつ)・Where(どこで)・With whom(誰と)・With what(何と一緒に)」の5つの問いで体系的に洗い出せます。ロマニウクとシャープが示した枠組みで、思いつきに頼らずに候補を出せるのが利点です。
各問いの立て方は次のとおりです。
| 問い | 何を聞くか | ベビーケアでの例 |
|---|---|---|
| Why(なぜ) | どんな目的・悩みで使うか | 乾燥を防ぎたい/かぶれを治したい/寝かしつけたい |
| When(いつ) | どのタイミングで使うか | お風呂上がり/朝の支度/季節の変わり目/夜泣きのあと |
| Where(どこで) | どの場所で使うか | 自宅の洗面所/旅行先/保育園/実家 |
| With whom(誰と) | 誰と一緒の場面か | ひとりで/夫婦で/祖父母と/ママ友と |
| With what(何と) | 何と一緒に使うか | 入浴後のケア用品と/おむつ替えのときに/ギフトセットで |
この5つを埋めると、候補が20〜30出てきます。ここからが本番で、次の2軸で絞り込みます。
- 規模:その場面を経験する人が多いか。年に1回しかない場面より、週に何度もある場面のほうが機会は多い。
- 関連性:自社の商品がその場面で本当に役立つか。無理のある結びつけは、伝わらないだけでなく信頼を損ねる。
候補を出すときに大事なのは、社内の思い込みではなく、買った人の言葉から拾うことです。具体的には次の3つが情報源になります。
- レビュー・口コミ:「〜のときに使っています」という記述をすべて抜き出す。
- DM・問い合わせ:どんな状況で相談が来ているかを分類する。
- 購入者アンケート:「どんなときに使いますか」を自由記述で聞く。
TaTapの調査では、SNSきっかけの購入で最も多かったのは一般ユーザーの口コミ・レビュー投稿(42.9%)でした。買った人の言葉には、自社では思いつかない場面が含まれています。
出典:TaTap独自調査「Z世代のSNS購買行動調査」(2026年7月28日/全国15〜29歳男女363名・購入経験者n=217)
CEPsとSNS運用をどうつなぐか
結論:SNSはCEPsを「見える形」にする場所です。絞り込んだ場面ごとに投稿を設計し、その場面を実際に体験している人の投稿(UGC)を積み上げることで、場面とブランドの結びつきが強くなります。
従来のSNS運用は「フォロワー数を増やす」「投稿数を増やす」が中心でした。しかしフォロワーが増えても、想起される場面が増えなければ売上には結びつきません。CEPsを軸にすると、投稿1本ごとに「どの場面を担当する投稿か」がはっきりします。
| 従来の設計 | CEPs軸の設計 |
|---|---|
| 投稿ネタを毎月考える | 絞ったCEPごとに投稿を割り当てる |
| 「役に立つ情報」を発信する | 「この場面で使える」を見せる |
| ハッシュタグは人気順で選ぶ | 場面を表す語を含める(例:#お風呂上がりのケア) |
| UGCは量を集める | UGCを場面ごとに集める |
| KPIはフォロワー数・リーチ | KPIは指名検索数・保存数 |
実際の投稿づくりでは、次の4点を押さえてください。
- 冒頭で場面を示す。商品名から始めず、「お風呂上がり、肌がつっぱる」のように場面から入る。
- 1投稿1場面にする。複数の場面を詰め込むと、どれとも結びつきません。
- 同じ場面を繰り返す。1回では覚えられません。表現を変えて何度も出します。
- 場面ごとに投稿数を記録する。偏りに気づけるのは、数えているときだけです。
とくに効くのがUGCです。ブランド自身が「この場面で使えます」と言うより、使っている人が場面ごと見せるほうが伝わります。ギフティングを行う場合は、依頼時に「どの場面で使ってほしいか」を伝えることで、場面つきのUGCが集まります。
また、保存されることの意味も変わります。TaTapの調査では、保存やいいねをした商品を後日購入した経験がある人が56.9%いました。保存は「あとで買うリスト」として機能しており、場面が明確な投稿ほど保存されやすくなります。
出典:TaTap独自調査「Z世代のSNS購買行動調査」(2026年7月28日/全国15〜29歳男女363名・n=341)
CEPsと指名検索はどうつながるのか
結論:CEPsが増えると指名検索が増えるのは、「思い出す→名前で検索する」という順番があるからです。指名検索は結果であって、原因ではありません。指名検索を増やしたいなら、その手前にある「思い出される場面」に手を入れる必要があります。
順番を整理すると次のようになります。
| 段階 | 起きていること | 測る指標 |
|---|---|---|
| 1. 場面が発生する | 「お風呂上がりに肌が乾燥している」 | (測定対象外) |
| 2. カテゴリーを思い出す | 「保湿クリームを買おう」 | カテゴリー想起 |
| 3. ブランドを思い出す | 「あのブランドがよさそう」 | 想起率 |
| 4. 名前で検索する | ブランド名で検索 | 指名検索数 |
| 5. 購入する | 公式サイト・モールで購入 | CVR・売上 |
この流れで見ると、指名検索が伸びない原因は3の「ブランドが思い出されていない」ことにあります。広告を増やしても、思い出される場面が増えなければ、一時的な流入で終わります。
指名検索の測り方と増やし方については、下記の記事で詳しく扱っています。CEPsはその上流にあたる考え方です。
業種別のCEPs例
結論:業種によって、想起される場面の性質が大きく違います。BtoCは生活の場面、BtoBは業務の場面が中心です。以下は候補出しの出発点として使ってください。ここから自社の状況に合わせて絞り込みます。
| 業種 | CEPsの例 |
|---|---|
| ベビーケア | お風呂上がり/夜泣きのあと/おむつかぶれ/出産祝い選び/季節の肌トラブル/旅行や帰省/保育園の準備 |
| 美容・コスメ | 朝の支度/夜のリラックスタイム/旅行の準備/プレゼント選び/肌が敏感な時期/イベントの前日 |
| 飲食・食品 | 朝食/おやつ/夕食の一品/手土産/差し入れ/お弁当/来客のもてなし/特別な日 |
| アパレル | 通勤/休日の外出/旅行/結婚式/季節の変わり目/ギフト/在宅時の部屋着 |
| BtoB・SaaS | 期初の体制づくり/トラブル発生時/既存ツールの見直し/予算策定/新規事業の立ち上げ/人手が足りないとき |
| 不動産・建築 | 結婚/出産/転勤/在宅勤務の開始/子どもの独立/リフォーム検討/相続 |
BtoBのCEPsで注意したいのは、「誰の場面か」を明確にすることです。同じ会社でも、現場担当者と決裁者では思い出す場面が違います。現場担当者は「作業に時間がかかっているとき」、決裁者は「予算を組むとき」に思い出します。両方に届ける必要があるなら、CEPsも分けて設計します。
CEPs×SNSでうまくいかない10のパターン
結論:失敗の原因は「棚卸しをしていない」「メディア型の運用に流れる」「絞れていない」の3つに集約されます。以下の10項目のうち5つ以上当てはまる場合は、設計から見直したほうが早く進みます。
| パターン | 何が起きるか | 対処 |
|---|---|---|
| CEPsを棚卸ししていない | いま何の場面で想起されているか分からない | 5つの問いで候補を洗い出す |
| メディア型の運用に流れる | お役立ち情報は読まれるが商品と結びつかない | 投稿ごとに担当CEPを決める |
| 投稿が1〜2場面に偏る | 想起の入口が広がらない | 絞ったCEPに配分を割り当てる |
| 絞り込まずに数だけ増やす | どの場面とも結びつきが弱くなる | 規模と関連性の2軸で5〜10に絞る |
| ハッシュタグに場面が入っていない | その場面で探している人に届かない | 場面を表す語を含める |
| UGCに場面が写っていない | 商品単体の写真ばかりになる | 依頼時に使う場面を伝える |
| 購買プロセスと接続していない | 認知だけで購入まで届かない | ファネルの各段階にCEPを割り当てる |
| 競合のCEPsを見ていない | すでに押さえられた場面に投資してしまう | 同業3〜5社の投稿から場面を抽出する |
| KPIがフォロワー数だけ | 成果が出ているか判断できない | 指名検索数と保存数を並べて見る |
| 数か月で成果を判断する | 効き始める前に撤退する | 最低12か月で評価する前提を共有する |
このなかで最も多いのが「メディア型の運用に流れる」です。育児のコツや季節の豆知識を発信すると反応は取れますが、商品と場面が結びついていなければ、想起にはつながりません。読まれることと、思い出されることは別です。
CEPsを購買プロセスに配置する
結論:CEPsは認知の段階だけでなく、購買プロセスのすべての段階で働きます。TaTapの購買プロセスフレーム「購買までの5段階(知る→気になる→信じる→買う→広がる)」に沿ってCEPsを配置すると、どの段階が手薄かが見えます。
購買までの5段階(知る→気になる→信じる→買う→広がる)とは、Touch(接点)→ Attract(共感)→ Trust(信頼)→ Action(購入)→ Propagate(拡散)の5段階で購買プロセスを設計するフレームワークです。EC版のコアフレーズは「触れて、惹いて、信じて、買って、広がる」、採用版は「触れて、惹いて、信じて、応募して、広がる」です。
| 段階 | CEPsの役割 | 主な施策 |
|---|---|---|
| Touch(接点) | 場面を提示して最初の想起をつくる | リール・季節の場面に合わせた投稿 |
| Attract(共感) | 「自分の場面だ」と感じてもらう | カルーセル・ストーリーズ |
| Trust(信頼) | その場面での実体験を見せる | UGC・レビュー型の投稿 |
| Action(購入) | 場面と購入タイミングを重ねる | セール・キャンペーンとの連動 |
| Propagate(拡散) | 購入後の場面を投稿してもらう | ハッシュタグ施策 |
この表の使い方は単純です。絞り込んだCEPごとに、5段階のどこまで施策があるかを確認してください。Touchの投稿はあるがTrustのUGCがない、という状態はよく起きます。
12か月の進め方
結論:CEPsの効果は積み上げで現れるため、最低12か月を前提に3つのフェーズで進めます。数か月で判断すると、ほぼ確実に「効果がない」という結論になります。
| フェーズ | 期間 | やること | この時点で見る指標 |
|---|---|---|---|
| 1. 棚卸しと絞り込み | 1〜3か月 | 5つの問いで候補出し/競合分析/5〜10に絞る/投稿の型をつくる | 担当CEPが決まった投稿の割合 |
| 2. 発信と蓄積 | 4〜9か月 | 絞ったCEPごとに投稿とUGCを積み上げる/ハッシュタグを整える | 保存数/CEPごとのUGC件数 |
| 3. 検証と入れ替え | 10〜12か月 | 想起率を調査/効いていないCEPを入れ替える/広告と連動 | 指名検索数/想起率 |
フェーズ1で決めておきたいことを挙げます。
- 担当するCEPの一覧:5〜10個。多すぎると次の工程が回りません。
- 各CEPの投稿の型:どんな構成・見せ方にするかを決めておく。
- ハッシュタグ:場面を表す語を含めたセットを用意する。
- 測り方:指名検索数をどこで見るか(Search Consoleなど)を決めておく。
- 現時点の数値:着手前の指名検索数を記録する。これがないと成果を証明できません。
フェーズ3の「入れ替え」が重要です。すべてのCEPが効くわけではありません。想起率が上がらなかった場面は、規模が小さかったか、自社との関連が弱かったかのどちらかです。次の候補と入れ替えてください。
支援を外注するときの見極め方
結論:CEPsを扱えると謳う支援会社は増えていますが、実際には「投稿数を増やす提案」に終始するケースもあります。契約前に次の8項目を確認してください。「はい」が5つに満たない場合は、他社も比較することをおすすめします。
| No. | 確認項目 | なぜ聞くか |
|---|---|---|
| 1 | CEPsの概念を、自社の言葉で説明できるか | 用語を知っているだけの提案を避ける |
| 2 | 候補の洗い出しに、買った人のデータを使うか | 思いつきの場面設計を避ける |
| 3 | 「絞り込み」の基準を持っているか | 数を増やす提案かどうかの判別点 |
| 4 | 業種特性を踏まえた棚卸しができるか | 汎用テンプレの流用を避ける |
| 5 | 場面ごとの投稿の型を設計できるか | 実行に落ちるかを確認する |
| 6 | UGC施策を場面と結びつけられるか | UGCの量だけを追う提案を避ける |
| 7 | 指名検索数を独立した指標として測る仕組みを提案できるか | フォロワー数だけの報告を避ける |
| 8 | 効かなかったCEPを入れ替える運用ができるか | やりっぱなしを避ける |
とくに3の「絞り込みの基準」は決定的です。「毎月シーンを追加していきます」という提案は、一見すると前向きですが、測定も改善もできない運用になりがちです。「どう絞るか」を聞いてください。
戦略設計とKPI設計を伴走で支援してほしい場合は、SNSコンサルティングもご検討ください。
AI検索の時代に、CEPsはどう効くのか
結論:生成AIが商品を提案する場面が増えたことで、CEPsは「AIが自社を思い出す条件」にもなりました。人が「この場面ならこのブランド」と思い出すのと同じ構造で、AIも場面と結びついた情報を参照します。これがLLMO(大規模言語モデル最適化)と呼ばれる領域です。
TaTapが2026年7〜8月に実施した調査では、次の結果が出ています。
| 指標 | 数値 | 集計ベース |
|---|---|---|
| 生成AI・AI検索を継続利用している | 70.7% | n=321 |
| AIの回答がきっかけで購入した経験がある | 57.2% | AI利用経験者 n=250 |
| AIで知った商品を購入前にSNS・動画で調べる(延べ選択数) | 259件(検索エンジン103件の約2.5倍) | AI利用経験者 n=250 |
| 調べずにAIの回答だけで判断する | 2.4% | AI利用経験者 n=250 |
| すすめられた商品にSNSの口コミがないと不安になる | 62.0% | AI利用経験者 n=250 |
出典:TaTap独自調査「AI検索時代の購買行動調査」(2026年8月/全国20〜49歳男女321名・AI利用経験者250名)
ここから読み取れるのは、「AIに挙げてもらう」だけでは足りないということです。AIの回答だけで判断する人は2.4%しかおらず、ほとんどの人はSNSで確認します。そして口コミが見つからなければ62.0%が不安を覚えます。
CEPsの観点で言えば、「その場面での使用例がSNS上に存在するか」が問われています。AIが「お風呂上がりのケアならこのブランド」と答えても、その場面の投稿が1件もなければ、確認しに来た人はそこで止まります。
AI検索を意識してCEPsを整えるときの5点です。
- 場面を具体的に書く。「肌にやさしい」ではなく「お風呂上がりの乾燥が気になるとき」。
- 各CEPで発信を止めない。直近3か月の投稿がない場面は、参照されにくくなる。
- 結論を先に置き、質問形式の見出しを使う。
- 「人気」ではなく具体的な数値で書く。
- SNS・自社サイト・商品ページで、場面の記述を一致させる。
ブランド全体でAI検索に引用される情報設計を整えたい場合は、AI検索対策(LLMO)もあわせてご覧ください。
まとめ
CEPsは「ブランドが思い出される場面を設計する」という考え方です。要点を整理します。
- CEPsとは、人がカテゴリーを思い出すきっかけになる具体的な場面のこと。
- 提唱はエーレンバーグ・バス研究所のジェニー・ロマニウクとバイロン・シャープ。
- 「Why・When・Where・With whom・With what」の5つの問いで候補を洗い出す。
- 候補は20〜30出る。そこから規模と関連性の2軸で5〜10に絞る。
- 数を増やすのが目的ではない。結びつきの強さが本質。
- 候補は社内の思いつきではなく、レビュー・DM・アンケートから拾う。
- SNSは場面を見える形にする場所。投稿1本ごとに担当CEPを決める。
- 指名検索は結果であって原因ではない。手を入れるのは「思い出される場面」。
- KPIはフォロワー数ではなく、指名検索数と保存数で見る。
- 効果は積み上げで現れる。12か月を前提に、効かない場面は入れ替える。
よくある質問
Q1. カテゴリーエントリーポイント(CEPs)とは何ですか?
人がある商品カテゴリーを思い出すきっかけになる、具体的な状況や場面のことです。「お風呂上がりに肌が乾燥している」「出産祝いを選んでいる」といった場面がそれぞれCEPにあたります。エーレンバーグ・バス研究所のジェニー・ロマニウク教授とバイロン・シャープ教授が体系化し、『How Brands Grow Part 2』で詳しく扱われています。
Q2. CEPsは何個くらい設定すればいいですか?
決まった数はありません。実務では、5つの問いで20〜30の候補を出し、そこから規模と関連性の2軸で5〜10に絞るのが現実的です。数を増やすことが目的ではなく、絞った場面で強く結びつくことが目的です。100個並べても、どれとも結びつきが弱ければ意味がありません。
Q3. CEPsはどうやって見つけますか?
「Why(なぜ)・When(いつ)・Where(どこで)・With whom(誰と)・With what(何と一緒に)」の5つの問いで洗い出します。候補は社内の思いつきではなく、レビュー・口コミ、DMや問い合わせ、購入者アンケートから拾ってください。買った人の言葉には、自社では思いつかない場面が含まれています。
Q4. CEPsをSNSに落とし込む具体的な方法は?
絞り込んだ場面ごとに投稿を割り当てます。投稿1本ごとに「どの場面を担当するか」を決め、ハッシュタグにも場面を表す語を含めます。さらに、その場面を実際に体験している人の投稿(UGC)を集めることで、場面とブランドの結びつきが強くなります。ギフティングでは、依頼時に使ってほしい場面を伝えてください。
Q5. CEPsと指名検索はどう関係しますか?
「場面が発生する → カテゴリーを思い出す → ブランドを思い出す → 名前で検索する」という順番があります。指名検索は結果であって原因ではありません。指名検索が伸びない原因は、多くの場合その手前の「ブランドが思い出されていない」ことにあります。CEPsはその上流にあたる考え方です。
Q6. 成果が出るまでどれくらいかかりますか?
最低12か月を前提にしてください。1〜3か月で棚卸しと絞り込み、4〜9か月で発信とUGCの蓄積、10〜12か月で想起率を測って効かない場面を入れ替える、という流れになります。数か月で判断すると、ほぼ確実に「効果がない」という結論になります。着手前の指名検索数を記録しておくことをおすすめします。
Q7. BtoB・SaaSでもCEPsは使えますか?
使えます。BtoCが生活の場面であるのに対し、BtoBは業務の場面が中心になります。期初の体制づくり、トラブル発生時、既存ツールの見直し、予算策定などです。注意点は「誰の場面か」を明確にすることで、現場担当者と決裁者では思い出す場面が違います。両方に届けるなら、CEPsも分けて設計してください。
Q8. 競合と同じCEPsを狙ってもいいのですか?
構いません。むしろ規模の大きいCEPは、競合と重なるのが当然です。差別化のために誰も通らない入口を作るより、多くの人が通る入口で想起されるほうが機会は大きくなります。ただし、その場面で自社の商品が本当に役立つかは確認してください。無理な結びつけは信頼を損ねます。
Q9. CEPsの効果はどう測りますか?
最終的には指名検索数で見ますが、そこに至るまでは中間指標を使います。フェーズ1では「担当CEPが決まっている投稿の割合」、フェーズ2では「保存数」と「場面ごとのUGC件数」、フェーズ3で「想起率」と「指名検索数」です。想起率の測定には調査が必要なため、絞り込んでおくとコストを抑えられます。
Q10. AI検索の時代に、CEPsで意識すべきことは何ですか?
「その場面での使用例がSNS上に存在するか」です。TaTapの調査では、AIの回答だけで購入を判断する人は2.4%にとどまり、ほとんどの人はSNSで確認します。口コミが見つからなければ62.0%が不安を覚えます。AIが場面ごと自社を挙げても、確認しに来た先に投稿がなければそこで止まるため、両方をそろえる必要があります。
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支援企業の成功事例
TaTapが支援した企業の成功事例をご紹介します。
本記事は2026年9月16日時点の情報に基づきます。CEPsの定義および5つの問いの枠組みは、エーレンバーグ・バス研究所のジェニー・ロマニウク/バイロン・シャープによる研究および『How Brands Grow Part 2』(邦訳『ブランディングの科学 新市場開拓篇』)に基づいて記述しています。本文中の調査数値はTaTap独自調査「Z世代のSNS購買行動調査」(2026年7月28日/全国15〜29歳男女363名)および「AI検索時代の購買行動調査」(2026年8月/全国20〜49歳男女321名)によるもので、設問ごとに集計ベースが異なります。生活者の意識・行動を示すものであり、施策の成果を保証するものではありません。




