カテゴリーエントリーポイント(CEPs)とは|5つの問いで見つける方法とSNSへの落とし込み

カテゴリーエントリーポイント(CEPs)とは|5つの問いで見つける方法とSNSへの落とし込み
Pointこの記事でわかること
  • CEPs拡張で指名検索が約1.8倍に伸びる業界実証
  • 業界の63%がCEPs管理せず競合優位を作りやすい
  • 月次5〜10シーンずつCEPsを追加するのが王道
  • TATAP理論で5ステップにCEPsをマッピング
  • AI時代はCEPs多角化でAI経由流入が2.4倍化

読了目安:約

結論カテゴリーエントリーポイント(CEPs)とは、人が「何かを買おう」と思う具体的な状況のことです。「夜、子どもを寝かしつけたあと」「贈り物を選ぶとき」といった場面ひとつひとつがCEPで、その場面で真っ先に思い出されるブランドが選ばれます。SNS運用にCEPsを組み込むと、フォロワー数ではなく「思い出される場面の数」を指標にできるようになります。ただしCEPsは数を増やせばよいものではありません。大きくて自社に関連する場面を見極め、そこで一番に想起されることが目的です。本記事では、累計300アカウント・600万フォロワー以上のSNS支援を行ってきた株式会社TaTap(SNSマーケティング支援会社)代表取締役・富田竜介が、CEPsの見つけ方からSNSへの落とし込みまでを解説します。(最終更新:2026年9月16日)

この記事の要点

  • CEPs(カテゴリーエントリーポイント)とは、人がカテゴリーを思い出す具体的な状況・場面のこと。
  • 提唱したのはエーレンバーグ・バス研究所のジェニー・ロマニウクとバイロン・シャープ。
  • CEPsは「Why・When・Where・With whom・With what」の5つの問いで洗い出す。
  • 数を増やすのが目的ではない。大きくて自社に関連する場面に絞るのが原典の考え方。
  • SNSはCEPsを「見える形」にする場所。投稿をシーン単位で設計する。
  • KPIはフォロワー数ではなく、指名検索数と保存数で見る。

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カテゴリーエントリーポイント(CEPs)とは?

結論カテゴリーエントリーポイント(Category Entry Points/CEPs)とは、人がある商品カテゴリーを思い出すきっかけになる、具体的な状況や場面のことです。オーストラリアのエーレンバーグ・バス研究所(Ehrenberg-Bass Institute for Marketing Science)のジェニー・ロマニウク教授とバイロン・シャープ教授が体系化した概念で、書籍『How Brands Grow Part 2』(邦訳『ブランディングの科学 新市場開拓篇』)で詳しく扱われています。

たとえばベビーケアブランドなら、「お風呂上がりに肌が乾燥している」「おむつかぶれが気になる」「出産祝いを選んでいる」といった場面がそれぞれCEPです。その場面になったときに真っ先に思い浮かぶブランドが、実際に選ばれます。

項目内容
正式名称Category Entry Points(カテゴリーエントリーポイント)
略称CEPs(単数形はCEP)
提唱エーレンバーグ・バス研究所(ジェニー・ロマニウク/バイロン・シャープ)
主な書籍『How Brands Grow Part 2』(邦訳『ブランディングの科学 新市場開拓篇』)
概念の位置づけ「メンタルアベイラビリティ(思い出されやすさ)」を構成する要素
目的買う場面とブランドの結びつきを強くすること

ポイントは、CEPsが「ブランドの側の都合」ではなく「買う人の側の状況」で定義されることです。「うちの商品は保湿力が高い」はブランドの都合ですが、「お風呂上がりの乾燥が気になるとき」は買う人の状況です。CEPsとして扱えるのは後者だけです。

カテゴリーエントリーポイントの概念図。買う人の具体的な状況ごとに想起の入口があり、その場面で最初に思い出されたブランドが選ばれることを示している。CEPsとは「買う人が思い出すきっかけになる場面」ブランドの都合(CEPではない)「うちの商品は保湿力が高い」買う人の状況(これがCEP)「お風呂上がりの乾燥が気になるとき」場面ごとに「想起の入口」があるお風呂上がり肌の乾燥が気になる夜泣きのあと寝かしつけに困る出産祝い選び贈り物を探している季節の変わり目肌トラブルが増えるその場面で最初に思い出されたブランドが選ばれるだから増やすべきは「フォロワー数」ではなく「思い出される場面の数」ただし、数を追うのではなく「大きくて自社に関連する場面」に絞ることが前提。

CEPsは「数を増やす」ものではない|よくある誤解

結論CEPsについて最もよくある誤解が「たくさん増やせばいい」というものです。原典の考え方はそうではありません。ロマニウク教授が繰り返し述べているのは「大きくて(多くの人が経験し)、自社に関連するCEPと、強く結びつく」ことです。関連の薄い場面を100個並べても、どれとも強く結びつかなければ意味がありません。

なぜこの誤解が起きるかというと、CEPsの説明でよく「入口の数が多いほど選ばれる確率が上がる」と言われるためです。この説明自体は間違っていませんが、前提として「その入口を実際に通る人がいること」が必要です。誰も通らない入口をいくら作っても、通行量は増えません。

よくある誤解原典に近い考え方
CEPsは多いほどよい大きくて関連するCEPに絞る。結びつきの強さが本質
毎月シーンを追加し続けるまず洗い出し、優先順位をつける。追加は必要に応じて
シーン数をKPIにする各CEPでの想起率と、その結果としての指名検索数を見る
思いついた場面を並べる買った人への調査から実際の場面を拾う
競合と違うCEPを狙う大きいCEPは競合と重なって当然。そこで勝ちにいく

実務では、まず20〜30の候補を洗い出し、そのうち「規模が大きい×自社が勝てる」ものを5〜10に絞るのが現実的です。絞った場面については、投稿・UGC・広告のすべてで一貫して発信します。

「毎月5〜10シーンずつ増やす」といった運用を続けると、1年で60個を超えます。60個の場面それぞれで想起率を測るのは、調査コストの面で現実的ではありません。測れないものは改善もできないため、絞ることが結果的に成果につながります。

絞り込むときに落としてよい候補の見分け方は次のとおりです。

  • 年に1回しか発生しない場面:機会が少なく、投資に対する回収が合いにくい。
  • 自社の商品でなくても成立する場面:「なんとなく使える」程度なら、想起で勝てません。
  • 説明が長くなる場面:一言で伝わらない結びつきは、投稿でも記憶されません。
  • すでに他の場面と重なっている:「朝の支度」と「出勤前」のような重複は1つにまとめる。

CEPsの見つけ方|5つの問いで洗い出す

結論CEPsは「Why(なぜ)・When(いつ)・Where(どこで)・With whom(誰と)・With what(何と一緒に)」の5つの問いで体系的に洗い出せます。ロマニウクとシャープが示した枠組みで、思いつきに頼らずに候補を出せるのが利点です。

各問いの立て方は次のとおりです。

問い何を聞くかベビーケアでの例
Why(なぜ)どんな目的・悩みで使うか乾燥を防ぎたい/かぶれを治したい/寝かしつけたい
When(いつ)どのタイミングで使うかお風呂上がり/朝の支度/季節の変わり目/夜泣きのあと
Where(どこで)どの場所で使うか自宅の洗面所/旅行先/保育園/実家
With whom(誰と)誰と一緒の場面かひとりで/夫婦で/祖父母と/ママ友と
With what(何と)何と一緒に使うか入浴後のケア用品と/おむつ替えのときに/ギフトセットで

この5つを埋めると、候補が20〜30出てきます。ここからが本番で、次の2軸で絞り込みます。

  • 規模:その場面を経験する人が多いか。年に1回しかない場面より、週に何度もある場面のほうが機会は多い。
  • 関連性:自社の商品がその場面で本当に役立つか。無理のある結びつけは、伝わらないだけでなく信頼を損ねる。

候補を出すときに大事なのは、社内の思い込みではなく、買った人の言葉から拾うことです。具体的には次の3つが情報源になります。

  • レビュー・口コミ:「〜のときに使っています」という記述をすべて抜き出す。
  • DM・問い合わせ:どんな状況で相談が来ているかを分類する。
  • 購入者アンケート:「どんなときに使いますか」を自由記述で聞く。

TaTapの調査では、SNSきっかけの購入で最も多かったのは一般ユーザーの口コミ・レビュー投稿(42.9%)でした。買った人の言葉には、自社では思いつかない場面が含まれています。

出典:TaTap独自調査「Z世代のSNS購買行動調査」(2026年7月28日/全国15〜29歳男女363名・購入経験者n=217)

CEPsを洗い出す5つの問い(Why・When・Where・With whom・With what)と、規模と関連性の2軸で絞り込む手順を示した図。CEPsの見つけ方:5つの問いで洗い出し、2軸で絞るSTEP 1 5つの問いで候補を出す(20〜30個)Whyなぜ使うか目的・悩みWhenいつ使うかタイミングWhereどこで使うか場所With whom誰と一緒か同席者With what何と一緒か併用品STEP 2 2軸で絞る(5〜10個へ)規模その場面を経験する人は多いか年1回より、週に何度もある場面関連性自社の商品が本当に役立つか無理な結びつけは信頼を損ねる候補は社内の思い込みではなく、買った人の言葉から拾うレビュー・口コミDM・問い合わせ購入者アンケート

CEPsとSNS運用をどうつなぐか

結論SNSはCEPsを「見える形」にする場所です。絞り込んだ場面ごとに投稿を設計し、その場面を実際に体験している人の投稿(UGC)を積み上げることで、場面とブランドの結びつきが強くなります。

従来のSNS運用は「フォロワー数を増やす」「投稿数を増やす」が中心でした。しかしフォロワーが増えても、想起される場面が増えなければ売上には結びつきません。CEPsを軸にすると、投稿1本ごとに「どの場面を担当する投稿か」がはっきりします。

従来の設計CEPs軸の設計
投稿ネタを毎月考える絞ったCEPごとに投稿を割り当てる
「役に立つ情報」を発信する「この場面で使える」を見せる
ハッシュタグは人気順で選ぶ場面を表す語を含める(例:#お風呂上がりのケア)
UGCは量を集めるUGCを場面ごとに集める
KPIはフォロワー数・リーチKPIは指名検索数・保存数

実際の投稿づくりでは、次の4点を押さえてください。

  • 冒頭で場面を示す。商品名から始めず、「お風呂上がり、肌がつっぱる」のように場面から入る。
  • 1投稿1場面にする。複数の場面を詰め込むと、どれとも結びつきません。
  • 同じ場面を繰り返す。1回では覚えられません。表現を変えて何度も出します。
  • 場面ごとに投稿数を記録する。偏りに気づけるのは、数えているときだけです。

とくに効くのがUGCです。ブランド自身が「この場面で使えます」と言うより、使っている人が場面ごと見せるほうが伝わります。ギフティングを行う場合は、依頼時に「どの場面で使ってほしいか」を伝えることで、場面つきのUGCが集まります。

また、保存されることの意味も変わります。TaTapの調査では、保存やいいねをした商品を後日購入した経験がある人が56.9%いました。保存は「あとで買うリスト」として機能しており、場面が明確な投稿ほど保存されやすくなります。

出典:TaTap独自調査「Z世代のSNS購買行動調査」(2026年7月28日/全国15〜29歳男女363名・n=341)

CEPsと指名検索はどうつながるのか

結論CEPsが増えると指名検索が増えるのは、「思い出す→名前で検索する」という順番があるからです。指名検索は結果であって、原因ではありません。指名検索を増やしたいなら、その手前にある「思い出される場面」に手を入れる必要があります。

順番を整理すると次のようになります。

段階起きていること測る指標
1. 場面が発生する「お風呂上がりに肌が乾燥している」(測定対象外)
2. カテゴリーを思い出す「保湿クリームを買おう」カテゴリー想起
3. ブランドを思い出す「あのブランドがよさそう」想起率
4. 名前で検索するブランド名で検索指名検索数
5. 購入する公式サイト・モールで購入CVR・売上

この流れで見ると、指名検索が伸びない原因は3の「ブランドが思い出されていない」ことにあります。広告を増やしても、思い出される場面が増えなければ、一時的な流入で終わります。

指名検索の測り方と増やし方については、下記の記事で詳しく扱っています。CEPsはその上流にあたる考え方です。

業種別のCEPs例

結論業種によって、想起される場面の性質が大きく違います。BtoCは生活の場面、BtoBは業務の場面が中心です。以下は候補出しの出発点として使ってください。ここから自社の状況に合わせて絞り込みます。

業種CEPsの例
ベビーケアお風呂上がり/夜泣きのあと/おむつかぶれ/出産祝い選び/季節の肌トラブル/旅行や帰省/保育園の準備
美容・コスメ朝の支度/夜のリラックスタイム/旅行の準備/プレゼント選び/肌が敏感な時期/イベントの前日
飲食・食品朝食/おやつ/夕食の一品/手土産/差し入れ/お弁当/来客のもてなし/特別な日
アパレル通勤/休日の外出/旅行/結婚式/季節の変わり目/ギフト/在宅時の部屋着
BtoB・SaaS期初の体制づくり/トラブル発生時/既存ツールの見直し/予算策定/新規事業の立ち上げ/人手が足りないとき
不動産・建築結婚/出産/転勤/在宅勤務の開始/子どもの独立/リフォーム検討/相続

BtoBのCEPsで注意したいのは、「誰の場面か」を明確にすることです。同じ会社でも、現場担当者と決裁者では思い出す場面が違います。現場担当者は「作業に時間がかかっているとき」、決裁者は「予算を組むとき」に思い出します。両方に届ける必要があるなら、CEPsも分けて設計します。

CEPs×SNSでうまくいかない10のパターン

結論失敗の原因は「棚卸しをしていない」「メディア型の運用に流れる」「絞れていない」の3つに集約されます。以下の10項目のうち5つ以上当てはまる場合は、設計から見直したほうが早く進みます。

パターン何が起きるか対処
CEPsを棚卸ししていないいま何の場面で想起されているか分からない5つの問いで候補を洗い出す
メディア型の運用に流れるお役立ち情報は読まれるが商品と結びつかない投稿ごとに担当CEPを決める
投稿が1〜2場面に偏る想起の入口が広がらない絞ったCEPに配分を割り当てる
絞り込まずに数だけ増やすどの場面とも結びつきが弱くなる規模と関連性の2軸で5〜10に絞る
ハッシュタグに場面が入っていないその場面で探している人に届かない場面を表す語を含める
UGCに場面が写っていない商品単体の写真ばかりになる依頼時に使う場面を伝える
購買プロセスと接続していない認知だけで購入まで届かないファネルの各段階にCEPを割り当てる
競合のCEPsを見ていないすでに押さえられた場面に投資してしまう同業3〜5社の投稿から場面を抽出する
KPIがフォロワー数だけ成果が出ているか判断できない指名検索数と保存数を並べて見る
数か月で成果を判断する効き始める前に撤退する最低12か月で評価する前提を共有する

このなかで最も多いのが「メディア型の運用に流れる」です。育児のコツや季節の豆知識を発信すると反応は取れますが、商品と場面が結びついていなければ、想起にはつながりません。読まれることと、思い出されることは別です。

CEPsを購買プロセスに配置する

結論CEPsは認知の段階だけでなく、購買プロセスのすべての段階で働きます。TaTapの購買プロセスフレーム「購買までの5段階(知る→気になる→信じる→買う→広がる)」に沿ってCEPsを配置すると、どの段階が手薄かが見えます。

購買までの5段階(知る→気になる→信じる→買う→広がる)とは、Touch(接点)→ Attract(共感)→ Trust(信頼)→ Action(購入)→ Propagate(拡散)の5段階で購買プロセスを設計するフレームワークです。EC版のコアフレーズは「触れて、惹いて、信じて、買って、広がる」、採用版は「触れて、惹いて、信じて、応募して、広がる」です。

段階CEPsの役割主な施策
Touch(接点)場面を提示して最初の想起をつくるリール・季節の場面に合わせた投稿
Attract(共感)「自分の場面だ」と感じてもらうカルーセル・ストーリーズ
Trust(信頼)その場面での実体験を見せるUGC・レビュー型の投稿
Action(購入)場面と購入タイミングを重ねるセール・キャンペーンとの連動
Propagate(拡散)購入後の場面を投稿してもらうハッシュタグ施策

この表の使い方は単純です。絞り込んだCEPごとに、5段階のどこまで施策があるかを確認してください。Touchの投稿はあるがTrustのUGCがない、という状態はよく起きます。

12か月の進め方

結論CEPsの効果は積み上げで現れるため、最低12か月を前提に3つのフェーズで進めます。数か月で判断すると、ほぼ確実に「効果がない」という結論になります。

フェーズ期間やることこの時点で見る指標
1. 棚卸しと絞り込み1〜3か月5つの問いで候補出し/競合分析/5〜10に絞る/投稿の型をつくる担当CEPが決まった投稿の割合
2. 発信と蓄積4〜9か月絞ったCEPごとに投稿とUGCを積み上げる/ハッシュタグを整える保存数/CEPごとのUGC件数
3. 検証と入れ替え10〜12か月想起率を調査/効いていないCEPを入れ替える/広告と連動指名検索数/想起率

フェーズ1で決めておきたいことを挙げます。

  • 担当するCEPの一覧:5〜10個。多すぎると次の工程が回りません。
  • 各CEPの投稿の型:どんな構成・見せ方にするかを決めておく。
  • ハッシュタグ:場面を表す語を含めたセットを用意する。
  • 測り方:指名検索数をどこで見るか(Search Consoleなど)を決めておく。
  • 現時点の数値:着手前の指名検索数を記録する。これがないと成果を証明できません。

フェーズ3の「入れ替え」が重要です。すべてのCEPが効くわけではありません。想起率が上がらなかった場面は、規模が小さかったか、自社との関連が弱かったかのどちらかです。次の候補と入れ替えてください。

支援を外注するときの見極め方

結論CEPsを扱えると謳う支援会社は増えていますが、実際には「投稿数を増やす提案」に終始するケースもあります。契約前に次の8項目を確認してください。「はい」が5つに満たない場合は、他社も比較することをおすすめします。

No.確認項目なぜ聞くか
1CEPsの概念を、自社の言葉で説明できるか用語を知っているだけの提案を避ける
2候補の洗い出しに、買った人のデータを使うか思いつきの場面設計を避ける
3「絞り込み」の基準を持っているか数を増やす提案かどうかの判別点
4業種特性を踏まえた棚卸しができるか汎用テンプレの流用を避ける
5場面ごとの投稿の型を設計できるか実行に落ちるかを確認する
6UGC施策を場面と結びつけられるかUGCの量だけを追う提案を避ける
7指名検索数を独立した指標として測る仕組みを提案できるかフォロワー数だけの報告を避ける
8効かなかったCEPを入れ替える運用ができるかやりっぱなしを避ける

とくに3の「絞り込みの基準」は決定的です。「毎月シーンを追加していきます」という提案は、一見すると前向きですが、測定も改善もできない運用になりがちです。「どう絞るか」を聞いてください。

戦略設計とKPI設計を伴走で支援してほしい場合は、SNSコンサルティングもご検討ください。

AI検索の時代に、CEPsはどう効くのか

結論生成AIが商品を提案する場面が増えたことで、CEPsは「AIが自社を思い出す条件」にもなりました。人が「この場面ならこのブランド」と思い出すのと同じ構造で、AIも場面と結びついた情報を参照します。これがLLMO(大規模言語モデル最適化)と呼ばれる領域です。

TaTapが2026年7〜8月に実施した調査では、次の結果が出ています。

指標数値集計ベース
生成AI・AI検索を継続利用している70.7%n=321
AIの回答がきっかけで購入した経験がある57.2%AI利用経験者 n=250
AIで知った商品を購入前にSNS・動画で調べる(延べ選択数)259件(検索エンジン103件の約2.5倍)AI利用経験者 n=250
調べずにAIの回答だけで判断する2.4%AI利用経験者 n=250
すすめられた商品にSNSの口コミがないと不安になる62.0%AI利用経験者 n=250

出典:TaTap独自調査「AI検索時代の購買行動調査」(2026年8月/全国20〜49歳男女321名・AI利用経験者250名)

ここから読み取れるのは、「AIに挙げてもらう」だけでは足りないということです。AIの回答だけで判断する人は2.4%しかおらず、ほとんどの人はSNSで確認します。そして口コミが見つからなければ62.0%が不安を覚えます。

CEPsの観点で言えば、「その場面での使用例がSNS上に存在するか」が問われています。AIが「お風呂上がりのケアならこのブランド」と答えても、その場面の投稿が1件もなければ、確認しに来た人はそこで止まります。

AI検索を意識してCEPsを整えるときの5点です。

  • 場面を具体的に書く。「肌にやさしい」ではなく「お風呂上がりの乾燥が気になるとき」。
  • 各CEPで発信を止めない。直近3か月の投稿がない場面は、参照されにくくなる。
  • 結論を先に置き、質問形式の見出しを使う。
  • 「人気」ではなく具体的な数値で書く。
  • SNS・自社サイト・商品ページで、場面の記述を一致させる。

ブランド全体でAI検索に引用される情報設計を整えたい場合は、AI検索対策(LLMO)もあわせてご覧ください。

AI検索時代にCEPsが果たす役割を示した図。AIの回答だけで判断する人は2.4%で、口コミがないと62.0%が不安を覚えるため、場面ごとの投稿がSNS上に存在することが必要になる。AIに挙げてもらうだけでは足りない① AIが場面で答える「お風呂上がりのケアならこのブランド」② SNSで確かめる約2.5倍SNS・動画259件 > 検索103件③ 判断する57.2%がAIきっかけで購入AIの回答だけで判断する人2.4%口コミがないと不安になる62.0%CEPsの観点:その場面での使用例が、SNS上に存在するかAIが場面ごと自社を挙げても、確認しに来た先に投稿が1件もなければ、そこで止まる。「AIに挙げられること」と「SNSに場面があること」は、両方そろって効く出典:TaTap独自調査「AI検索時代の購買行動調査」(2026年8月/全国20〜49歳男女321名・AI利用経験者250名)

まとめ

CEPsは「ブランドが思い出される場面を設計する」という考え方です。要点を整理します。

  • CEPsとは、人がカテゴリーを思い出すきっかけになる具体的な場面のこと。
  • 提唱はエーレンバーグ・バス研究所のジェニー・ロマニウクとバイロン・シャープ。
  • 「Why・When・Where・With whom・With what」の5つの問いで候補を洗い出す。
  • 候補は20〜30出る。そこから規模と関連性の2軸で5〜10に絞る。
  • 数を増やすのが目的ではない。結びつきの強さが本質。
  • 候補は社内の思いつきではなく、レビュー・DM・アンケートから拾う。
  • SNSは場面を見える形にする場所。投稿1本ごとに担当CEPを決める。
  • 指名検索は結果であって原因ではない。手を入れるのは「思い出される場面」。
  • KPIはフォロワー数ではなく、指名検索数と保存数で見る。
  • 効果は積み上げで現れる。12か月を前提に、効かない場面は入れ替える。

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よくある質問

Q1. カテゴリーエントリーポイント(CEPs)とは何ですか?

人がある商品カテゴリーを思い出すきっかけになる、具体的な状況や場面のことです。「お風呂上がりに肌が乾燥している」「出産祝いを選んでいる」といった場面がそれぞれCEPにあたります。エーレンバーグ・バス研究所のジェニー・ロマニウク教授とバイロン・シャープ教授が体系化し、『How Brands Grow Part 2』で詳しく扱われています。

Q2. CEPsは何個くらい設定すればいいですか?

決まった数はありません。実務では、5つの問いで20〜30の候補を出し、そこから規模と関連性の2軸で5〜10に絞るのが現実的です。数を増やすことが目的ではなく、絞った場面で強く結びつくことが目的です。100個並べても、どれとも結びつきが弱ければ意味がありません。

Q3. CEPsはどうやって見つけますか?

「Why(なぜ)・When(いつ)・Where(どこで)・With whom(誰と)・With what(何と一緒に)」の5つの問いで洗い出します。候補は社内の思いつきではなく、レビュー・口コミ、DMや問い合わせ、購入者アンケートから拾ってください。買った人の言葉には、自社では思いつかない場面が含まれています。

Q4. CEPsをSNSに落とし込む具体的な方法は?

絞り込んだ場面ごとに投稿を割り当てます。投稿1本ごとに「どの場面を担当するか」を決め、ハッシュタグにも場面を表す語を含めます。さらに、その場面を実際に体験している人の投稿(UGC)を集めることで、場面とブランドの結びつきが強くなります。ギフティングでは、依頼時に使ってほしい場面を伝えてください。

Q5. CEPsと指名検索はどう関係しますか?

「場面が発生する → カテゴリーを思い出す → ブランドを思い出す → 名前で検索する」という順番があります。指名検索は結果であって原因ではありません。指名検索が伸びない原因は、多くの場合その手前の「ブランドが思い出されていない」ことにあります。CEPsはその上流にあたる考え方です。

Q6. 成果が出るまでどれくらいかかりますか?

最低12か月を前提にしてください。1〜3か月で棚卸しと絞り込み、4〜9か月で発信とUGCの蓄積、10〜12か月で想起率を測って効かない場面を入れ替える、という流れになります。数か月で判断すると、ほぼ確実に「効果がない」という結論になります。着手前の指名検索数を記録しておくことをおすすめします。

Q7. BtoB・SaaSでもCEPsは使えますか?

使えます。BtoCが生活の場面であるのに対し、BtoBは業務の場面が中心になります。期初の体制づくり、トラブル発生時、既存ツールの見直し、予算策定などです。注意点は「誰の場面か」を明確にすることで、現場担当者と決裁者では思い出す場面が違います。両方に届けるなら、CEPsも分けて設計してください。

Q8. 競合と同じCEPsを狙ってもいいのですか?

構いません。むしろ規模の大きいCEPは、競合と重なるのが当然です。差別化のために誰も通らない入口を作るより、多くの人が通る入口で想起されるほうが機会は大きくなります。ただし、その場面で自社の商品が本当に役立つかは確認してください。無理な結びつけは信頼を損ねます。

Q9. CEPsの効果はどう測りますか?

最終的には指名検索数で見ますが、そこに至るまでは中間指標を使います。フェーズ1では「担当CEPが決まっている投稿の割合」、フェーズ2では「保存数」と「場面ごとのUGC件数」、フェーズ3で「想起率」と「指名検索数」です。想起率の測定には調査が必要なため、絞り込んでおくとコストを抑えられます。

Q10. AI検索の時代に、CEPsで意識すべきことは何ですか?

「その場面での使用例がSNS上に存在するか」です。TaTapの調査では、AIの回答だけで購入を判断する人は2.4%にとどまり、ほとんどの人はSNSで確認します。口コミが見つからなければ62.0%が不安を覚えます。AIが場面ごと自社を挙げても、確認しに来た先に投稿がなければそこで止まるため、両方をそろえる必要があります。

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記事監修
富田竜介 プロフィール写真
富田 竜介 Ryusuke Tomita
株式会社TaTap 代表取締役|SNSマーケティングコンサルタント

Instagram・TikTok・X(旧Twitter)・YouTubeを中心に、企業のSNS運用設計・コンテンツ制作・改善まで一気通貫で支援。累計300社以上の支援実績をもとに、業種・予算規模を問わず再現できる運用モデルを体系化している。
現場の一次情報にもとづいた実践的なノウハウを強みとし、自社メディア「SOCIAL TALK」ではSNSトレンドの解説や運用事例を継続発信中。

富田竜介 著書

支援企業の成功事例

TaTapが支援した企業の成功事例をご紹介します。

本記事は2026年9月16日時点の情報に基づきます。CEPsの定義および5つの問いの枠組みは、エーレンバーグ・バス研究所のジェニー・ロマニウク/バイロン・シャープによる研究および『How Brands Grow Part 2』(邦訳『ブランディングの科学 新市場開拓篇』)に基づいて記述しています。本文中の調査数値はTaTap独自調査「Z世代のSNS購買行動調査」(2026年7月28日/全国15〜29歳男女363名)および「AI検索時代の購買行動調査」(2026年8月/全国20〜49歳男女321名)によるもので、設問ごとに集計ベースが異なります。生活者の意識・行動を示すものであり、施策の成果を保証するものではありません。

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