インスタグラムのUIが大変化!リールとDMが「主役」になった理由とこれからのインスタ戦略
- UI変更の真意は発信の場からつながりの場への再定義
- Meta社のKPIは滞在時間からエンゲージメントの質へ転換
- リールは認知拡散発見の全てを集約する発見装置
- DMは会話経済の中心でミニCRMとして機能する
- 投稿タブの価値は低下しUX戦略が重要になった
- これからの戦略はリールとDMの両輪駆動が基本
読了目安:約分
2025年に入ってから、Instagramのユーザーインターフェース(UI)は特に大きな変化を見せています。「リールの表示位置が変わった」「DM(ダイレクトメッセージ)が下のタブに出てきた」など、アプリを開くたびに使い方が変わっていると感じる方も多いかもしれません。
このような大規模なUIアップデートの裏には、Instagram(親会社Meta社)の明確な戦略と理由があります。それは、Instagramを単なる「発信の場」から「つながり(エンゲージメント)の場」へと再定義することです。
本記事では、なぜInstagramがUIを変更し、リールとDMを主役に据えたのかを深く考察し、この変化に私たちがどう向き合い、どのようなInstagram戦略を立てるべきかを解説します。
UI変更の背景にあるMeta社の「次の戦場」|Instagram UI変更 リール DM(ダイレクトメッセージ)

Instagramの親会社であるMeta社は2024年以降、次の主戦場は「エンゲージメントの質」にあると明言しています。
エンゲージメントの質への転換
かつてのInstagramは、「どれだけ長い時間滞在させるか(滞在時間)」がKPI(重要業績評価指標)の主軸でした。しかし、今は「どれだけ深く繋がれるか(エンゲージメントの質)」にKPIがシフトしています。
これは、競合であるTikTokなどの「ひたすら消費させる」プラットフォームとは一線を画し、ユーザー間の「繋がり」や「関係性」を重視する方向への転換を意味します。
その象徴こそが、今回のUI変更におけるリールとDMの統合的な重視です。
- 以前の中心: 発見タブ、ストーリーズ
- 現在の中心: リールの視聴とDMでのやり取り
Meta社の決算報告からも、ユーザーの平均滞在時間の3〜4割がリールの視聴に、そして同じぐらいの時間がDMでのやり取りに使われているというデータが示されています。Instagramは、この2つが今後のコミュニケーションの中心になると見据え、プラットフォームのコアとして再構築しているのです。
なぜリールがUIの中心に据えられたのか?|Instagram UI変更 リール DM(ダイレクトメッセージ)

リールがUIの中心に据えられた理由は、「ショート動画が流行っているから」という単純なものではありません。Meta社が見ているのは、「ユーザーの滞在行動の根本的な変化」です。
ユーザーの行動変化:探す体験から「フロー体験」へ
Instagramの内部データは、この変化を裏付けています。
| コンテンツ形式 | 2023年からの変化(2025年現在) | 傾向 |
| フィード投稿(静止画) | 平均視聴時間が40%減少 | ユーザーが積極的に探す手間を避ける傾向 |
| リール(ショート動画) | 視聴時間が倍以上に増加 | 受け身で流れる「フロー体験」を好む傾向 |
人々は、静止画のように「情報を探す」能動的な行動よりも、リールのように次々と興味のあるコンテンツが流れてくる「フロー体験」を好むようになりました。
リールの最大化された「発見装置」としての機能
Instagramは現在、リールを「発見装置としての機能を最大化する」ために活用しています。
リールは、ユーザーがフォローしていないアカウントのコンテンツにも接触できる構造を持っています。これにより、これまでフィードや発見タブで行われていた以下の機能が、すべてリールに集約されつつあります。
- 認知(知ってもらう)
- 拡散(広がる)
- 発見(新しい興味を見つける)
リールは、ユーザーのエンゲージメントと滞在時間を牽引する「入口」としての役割を確立したのです。
DM(ダイレクトメッセージ)が新しい中核になった理由|Instagram UI変更 リール DM(ダイレクトメッセージ)

DMボタンが常に右上の固定位置にあったのが、最近では画面下部の主要なタブに表示されるようになりました。このUI変更は、Meta社がDMを単なるメッセージ機能ではなく、「新しいSNSの中核」として再定義していることを示しています。
「会話経済」への舵切りとミニCRM化
DMが重要になった本当の理由は、Instagramが単なる投稿の閲覧・消費の場から、「会話と行動の場」へと進化しているからです。
- 1対Nのコミュニケーション空間への進化: 一斉配信チャンネルの活用などにより、DMはもはや1対1のやり取りの場だけではなくなりました。企業アカウントから顧客への情報伝達やエンゲージメントを高めるための「場」としても機能しています。
- コンバージョン導線としての重要性: 企業アカウントでは、DM経由での問い合わせ、予約、資料請求といったコンバージョン(成果)の傾向が増加しています。特に、DM経由のコンバージョン率が、ウェブサイトのフォーム送信よりも高いケースも発生しています。
Instagramの新しい流れは、以下のシンプルな構造に最適化されています。
| ステップ | 機能 | 目的 |
| 1. 発見 | リール・投稿 | 認知、興味の喚起 |
| 2. 会話 | DM | 質問、相談、関係性の構築 |
| 3. 行動 | DM経由のリンク/予約 | 購買、資料請求、体験 |
この流れは、SNS上で完結する「ミニCRM(顧客関係管理)」システムになりつつあり、新しい購買体験を生み出しています。
「The next stage social will be Conversational.」
Meta社のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、昨年(2024年末)の決算説明会で「The next stage social will be Conversational.(次のソーシャルは会話中心となります。)」と述べました。
これは、従来の「投稿を見せる」こと中心の時代から、DM、コメント、メンションといった「会話そのもの」をユーザー体験(UX)の中心に置く時代へと移行することを意味します。UIがリールとDMを軸に変わったのは、まさにこの「会話経済」に対応するための布石なのです。
UI変更で失われたものと、新しいUX設計|Instagram UI変更 リール DM(ダイレクトメッセージ)

リールとDMが主役になったことで、相対的に価値が低下してしまった要素があります。それが「投稿タブの価値」です。
投稿タブの価値低下
かつてInstagramは、プロフィール画面の「投稿グリッド」によってブランドの世界観や統一感を表現することが非常に重要でした。しかし、UI変更により投稿タブはプロフィール画面の左上に移動し、現在のデータではユーザーの7割以上が投稿タブを直接見に行かないという傾向が出ています。
この変化は、以下の点の再定義を迫ります。
- ブランドの見せ方: 統一されたグリッドの世界観よりも、リール一発で瞬時にブランドの価値を伝えられるかが重要になる。
- UX設計: ユーザーがわざわざ「探して」「クリックして」見に行く投稿よりも、「流れてきて」「共感して」「そのままDMで会話に進む」という導線設計が全てになる。
私たちは、Instagramを「投稿を並べる場所」ではなく、「ユーザーと会話する空間」として捉え直す必要があります。
リールとDMを活用したこれからのインスタ戦略|Instagram UI変更 リール DM(ダイレクトメッセージ)

これからのInstagram戦略の基礎構造は、リールとDMの「両輪駆動」です。
| 段階 | 主役の機能 | 目的 | コンテンツの設計思想 |
| 認知/発見 | リール | 共感と発見を作り、ユーザーをプロフィールへ誘導する | 世界観と価値を伝える短尺コンテンツ |
| 興味/信頼 | プロフィール/ストーリーズ/ハイライト | 興味を深め、ブランドへの信頼を醸成する | リールで切り取れなかった「ストーリーの余白」を埋める |
| 行動/体験 | DM | 質問・相談・予約などの最終的な行動を促す | 販売ではなく、共感と会話を通じて売上に変える |
1. リール設計のコツ:「ストーリーの余白」を残す
リールは認知の入り口ですが、そこで全てを語りきってはいけません。
重要なのは、ユーザーが「もっと知りたい」「これはどういうこと?」と感じる「ストーリーの余白」を残すことです。その余白が、ユーザーにプロフィールへアクセスさせたり、ストーリーズを見に行かせたりする動機になります。
2. DM活用のコツ:返信を「売上」に変える
DMの活用は、「単なるお問い合わせ対応」から「売上につながる共感と行動の導線」へと変化しています。
DMでは、いきなり商品を売り込むのではなく、ユーザーの悩みや質問に真摯に向き合い、共感を持って会話を深めることが重要です。この会話の積み重ねが、深い関係性(エンゲージメントの質)を生み出し、結果的にコンバージョン率の高い行動(予約や購入)へと繋がります。
これからのインスタで勝つブランドの「感情設計」|Instagram UI変更 リール DM(ダイレクトメッセージ)

本日の考察を通じて、Instagramの主戦場がUI戦略(見た目)からUX戦略(体験)に完全にシフトしたことがわかります。
これからのInstagramで「勝つ」ブランドは、以下の3つの要素を感情レベルで設計できるブランドです。
- リールで印象を作る: 瞬時に世界観と価値を伝え、ユーザーの感情に訴えかける。
- DMで関係を深める: 会話を通じて共感を育み、信頼感を高める。
- 世界観(プロフィール/ハイライト)で信頼を積む: リールとDMで興味を持ったユーザーに、一貫した情報と価値を提供し、ブランドの信頼を確固たるものにする。
Instagramは、より人間的で、会話を重視するプラットフォームへと進化しました。この変化を理解し、「リール(発見)→DM(会話)→行動」という新しい導線を最適化することが、今後のインスタ戦略の成功を決定づけるでしょう。
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