楽天市場が縦型動画フィードでSNSコマースに対抗 ECの新たな戦いが始まった!
- 楽天が縦型動画フィードでSNS型の発見導入
- 商品発見が検索前からSNS起点へ急速に移行
- 購買データを活かした楽天独自の推薦が強み
- 店舗が動画投稿しECとSNS運用の境界が融合
- 動画制作を内製化し横展開できる企業が優位
- ECとSNSが検索前の発見競争で衝突する時代
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いよいよ EC と SNS の境界線が本格的に溶け始めてきた、そんなニュースです。楽天市場が縦型動画を軸にして、SNSコマースへ対抗する動きを見せています。
具体的には、SNSのように店舗が動画を投稿できる「パーソナライズドフィード」という新しい機能が、楽天市場アプリに導入され始めました。
今、特に若い世代を中心に、TikTokやInstagramといったSNSから商品を知る人が圧倒的に増えています。つまり、ユーザーは検索するより先にSNSで商品と出会う時代になっているということです。「キープ消費」「EIEEB(イーブ)」といった新しい消費者行動についても、これまで何度かお話ししてきましたが、まさにその大きな潮流に、最大手のECプラットフォームである楽天が本格的に参戦してきた形です。
楽天が動き出した背景と理由|楽天市場 縦型動画フィード SNSコマース

実際に楽天市場がこうした動きを始めた理由について見ていきます。
これまでの楽天市場といえば、「買うものが決まっている人が訪れる場所」というイメージが強かったと思います。
しかし、SNSの影響により、商品との出会い方そのものが変わってきました。
たとえば、Instagramのリール動画で家具を見て「これいいな」と思い、そこからブランドの公式サイトや楽天市場に流入する、といった購買に至るまでの導線が一般化しています。
楽天としては、商品の発見フェーズ(ユーザーが「何を買おうかな」と考える最初の段階)をすべてSNSに奪われるのは避けたいと考えています。そのため、自社アプリに「SNS的な発見」の要素を組み込むべく、今回のパーソナライズドフィードを導入したわけです。
この新機能は、すでに10月から一部のユーザーに提供が始まり、11月末には全ユーザーへ反映される予定です。
中でも特徴的なのは、採用されている動画フォーマットです。InstagramリールやTikTokと同じく、縦型・フルスクリーン・スワイプ操作というUI(ユーザーインターフェース)を採用しており、これは完全にSNSに寄せた設計になっています。
ECがSNSを取り入れる意味|楽天市場 縦型動画フィード SNSコマース

こういったSNS的発想をECプラットフォームが取り入れる背景には、どのような意味があるのでしょうか。
楽天市場の月間利用者は約6,600万人にも上ります。これは、Instagramと同規模の、巨大なユーザーベースです。楽天はこの膨大なユーザーデータに基づいて、高度にパーソナライズされたフィードを提供することになります。
この仕組みがSNSと最も異なるのは、「購買データ」がアルゴリズムに組み込まれる点です。
- 最近ジャケットを買った人には「革ブラシの使い方」
- 美容アイテムを購入した人には「おすすめのヘアケア動画」
こうした購買文脈に基づくレコメンドは、SNSのアルゴリズムでは実現が難しい領域です。
さらに面白いのは、店舗が出店者自身で動画や画像を自ら投稿できるという点です。出店者が楽天市場内に“自分のアカウント”を持つような感覚に近づいており、SNS運用との親和性が非常に高い仕組みになっています。
ここから、SNSとECの横展開が始まっていくでしょう。
最も注目すべきポイント|楽天市場 縦型動画フィード SNSコマース

私が一番注目しているポイントは、店舗やブランドが制作する縦型動画の活用方法が、楽天だけで完結しないという点です。
楽天フィード用に作った
- 商品の使い方動画
- 比較レビュー動画
こうしたコンテンツは、そのままInstagramリール、TikTok、YouTube Shortsといった他のSNSにも再利用できるのです。
今後は、EC用に作った動画がSNSでも戦えるようになる(あるいはその逆)という構図が当たり前になると考えています。
つまり、楽天への投稿がSNS運用の起点になり、SNSで生まれたUGC(ユーザー生成コンテンツ)を楽天フィードへ逆輸入する、という流れが生まれます。こうした動画資産の横展開が、ECとSNSをつなぐ架け橋になっていくはずです。
企業・店舗が取るべきアクション|楽天市場 縦型動画フィード SNSコマース

では、企業や店舗が取るべきアクションとは何でしょうか?どう動けば良いのか?
私の結論としては、動画制作の「内製化」の力をつけることが最も重要だと思います。
すべてを内製化する必要はありませんが、企画/制作/投稿/分析の一部は社内で回せるようにしておくことで、運用の自由度が一気に広がります。
今後は「商品ページを整える」だけでなく、
- どんな動画を作るか
- どこに配信するか
この戦略自体が勝負の鍵になります。
楽天も出店者向けに、AIによる商品ページ生成や画像自動生成ツールを無償提供していますが、実際にユーザーの心を動かすのは“人の温度感がある動画”です。テンプレート的なAI動画ではなく、スタッフの登場やリアルな使用感を伝えるコンテンツのほうが刺さる時代になっています。
EC × SNS の未来|楽天市場 縦型動画フィード SNSコマース

楽天の今回の動きは、ある意味でTikTokやInstagramショッピングへの逆襲とも言えます。
- SNSがコマース化
- ECがSNS化
という形で、両者が真ん中で衝突している状況です。
どちらのプラットフォームも目指しているのは、“検索される前に発見される世界”です。ここに、企業としてどう参加していくのかが問われます。
楽天フィードを単なる新機能として見るのではなく、動画を軸にブランドを育てる場と捉えられる企業こそ、次の時代をリードすると思います。
SNSが生んだ「ショート動画文化」はECにも流れ込み、もはやその流れは止まりません。楽天市場のように店舗が投稿する時代はまもなく本格化するでしょう。そのとき、ただ投稿するのではなく、SNS的に“伝える力”を持つ企業が勝つと考えています。
弊社でも、楽天を含め、SNS支援としてショート動画活用の支援を行っていますので、今回の楽天の動きを踏まえて「どのような動画を作るべきか」気になる方は、ぜひTaTapにお問い合わせいただければと思います。
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