はじめに

近年、ソーシャルメディアプラットフォームはマーケティング戦略の中心的な役割を果たしています。その中でも、Instagramは特に影響力のあるプラットフォームであり、多くのブランドや企業がこのプラットフォームを活用してマーケティングキャンペーンを展開しています。そのため、インフルエンサーやクリエイターとのコラボレーションは重要な要素となっており、効果的にクリエイターを見つけ出すためのツールの需要が高まっています。今回は、Instagramの「クリエイターマーケットプレイス」について詳しく解説し、その機能や活用方法について紹介します。

クリエイターマーケットプレイスとは？

クリエイターマーケットプレイスは、Meta Business Suite（メタビジネススイート）内に新たに導入されたツールです。クリエイターマーケットプレイスを利用すると、自社ブランドにぴったりのクリエイターを、コラボレーションの種類や性質に関係なく、簡単に見つけることができます。
中でも特に有効なのは、パートナーシップ広告を活用する方法です。この方法では、クリエイターや他のパートナーが自分たちのアカウントに投稿したコンテンツを広告として配信し、コラボレーションの効果を最大化します。
パートナーシップ広告は、広告主やクリエイターにとって、最も効果的でありながら、協業関係を明確に示す透明性の高い手段です。クリエイターマーケットプレイスを活用すれば、パートナーシップ広告のために最適なクリエイターを見つけることができます。

クリエイターマーケットプレイスへの参加方法

企業やブランドはMeta Business Suiteを通じて、クリエイターはInstagramアプリ内のプロフェッショナルダッシュボードからクリエイターマーケットプレイスに参加することができます。
クリエイターは、自分と関連性の高いブランドや興味のあるブランドを選び、表示させることが可能です。さらに、自分自身をアピールするためのポートフォリオを作成することもできます。

検索機能の詳細

クリエイターマーケットプレイスでは、多様な検索フィルターを活用して、自分が求める条件に合ったクリエイターを見つけることができます。主な検索フィルターには次の項目が含まれています。

• 性別：「男性」「女性」「その他」など、クリエイターの性別でフィルタリングが可能です。
• 年齢：特定の年齢層に絞り込むことで、ターゲット層に適したクリエイターを探せます。
• フォロワー数：クリエイターのフォロワー数で絞り込み、規模の異なる影響力を持つクリエイターを検索できます。
• アクションを実行したアカウント数：クリエイターが過去にどれだけのアクションを実行しているかを基に評価することができます。
• 広告の経験：有料広告の実績の有無によって、広告経験があるクリエイターをターゲットにすることができます。
• 国：特定の地域や国に基づいて、ローカルなインフルエンサーを見つけることができます。
• 興味・関心：クリエイターの興味や関心に基づいて、関連性の高いクリエイターを選ぶことができます。

具体的な利用方法

実際にクリエイターマーケットプレイスを利用する方法について説明します。
例えば下記のような特定条件に基づいてクリエイターを検索する場合、次のステップを踏むことができます。

1. 検索条件の設定:
   • 「女性」「25～34歳」「フォロワー数が5万～10万」「日本」を条件に設定します。
   • これにより、日本国内で活動する25～34歳の女性で、フォロワー数が5万から10万の範囲にあるクリエイターを対象に検索を開始します。
     
2. 結果の表示とフィルタリング:
   • 検索結果が表示されると、関連度やフォロワー数で並べ替えが可能です。フォロワー数順に並べ替えることで、より影響力のあるクリエイターを簡単に見つけることができます。
   • 各クリエイターの投稿も確認できるため、そのクリエイターが過去にどのような投稿をしていたのか、エンゲージメントやリーチのデータも含めて確認できます。
     
3. データの分析:
   • 例えば、あるクリエイターの投稿を確認すると、過去30日間でどれくらいのアクションがあったのかを把握できます。
   • 具体的には、エンゲージメント数やリーチ数を確認し、どのようなオーディエンスが反応しているのかを分析することができます。
     
4. スポンサー投稿の確認:
   • スポンサー投稿（ブランドタイアップ投稿）のみをフィルターとして選択することも可能です。これにより、通常の投稿とリール動画を分けて確認し、スポンサー投稿に特化したクリエイターを見つけることができます。
   • タップすることで、実際の動画を再生し、再生数などのデータも確認できます。
     
5. クリエイターの保存と管理:
   • 気に入ったクリエイターが見つかった場合、そのクリエイターをリストに保存することができます。この機能により、後で簡単にリストを確認したり、複数のクリエイターと比較したりすることができます。

「おすすめ」機能の活用

クリエイターマーケットプレイスの「おすすめ」機能も注目すべきポイントです。
最適なクリエイターとブランドのマッチングをサポートするため、機械学習に基づいて各ブランドにおすすめのクリエイターをカスタマイズして表示します。
ブランドはクリエイターを検索したり、オーディエンスの属性などでクリエイターを絞り込んだりすることができます。
また、自社ブランドに興味を示したクリエイターのリストを閲覧し、彼らのポートフォリオを見ることも可能です。この機能を活用することで、以下のようなメリットがあります。

• 関連性の高いクリエイターの発見:
  • 自分のブランドやキャンペーンに関連性が高いクリエイターが表示されるため、効果的なコラボレーションが実現しやすくなります。
    
• パフォーマンスの高いリールクリエイターの選定:
  • 特にリールクリエイターに特化した推薦も受けられるため、短期間で高いパフォーマンスを発揮するクリエイターを見つけることができます。
    
• 人気急上昇中のクリエイターの選択:
  • 新興のクリエイターで、人気が急上昇している人物を見つけることができるため、早期にコラボレーションを始めることで、競争優位性を確保することができます。

つながり、コラボレーションする

クリエイターがブランドからメッセージを受け取ると、Instagramアプリのメッセージ画面の「メイン」タブの一番上に「パートナーシップに関するメッセージ」という専用のフォルダーが表示されます。
これにより、ブランドはクリエイターに直接連絡を取ることができ、またブランドコンテンツやパートナーシップ広告に関する協業プロジェクトを作成し、それを複数のクリエイターに送信することも可能です。
クリエイターは、Instagramアプリ内でコラボレーションの詳細や条件、報酬のレートなどを確認することができます。

コンテンツや広告の作成と配信

ブランドとクリエイターがコラボレーションの合意に達した後、ブランドコンテンツや広告の作成に進みます。
広告主は、クリエイターがタイアップ投稿ラベルを付けてシェアしたオーガニック投稿をパートナーシップ広告として配信する方法も選ぶことができ、広告マネージャーを使って新しいパートナーシップ広告を作成することも可能です。

まとめ

Instagramのクリエイターマーケットプレイスは、ブランドが自社に最適なクリエイターを見つける手助けをするとともに、クリエイターがブランドに見つけられるようサポートします。
多様な検索フィルターや詳細なデータ分析機能、そして「おすすめ」機能の活用により、より適切なクリエイターとのコラボレーションが実現できます。
まだこのツールを利用していない企業やブランドは、ぜひ検討し、その可能性を最大限に活用することをお勧めします。

プロフィール

富田竜介：株式会社TaTap代表
企業様向けSNSアカウント運用代行/コンサルティング/社内化支援/社内研修承ります。

著書：「99％の経営者は知らない中小企業のための正しい SNSマーケティング」