採用SNSがなぜ必要なのか?バズるよりも「ブランド想起」を高める戦略
- 採用SNSは必須バズは不要
- 目的はブランド想起エントリー促進
- マイナスブランディングのリスク回避
- Z世代の約7割がSNSで情報収集
- Instagramが採用活動で最重要
- 社員のリアルな入社理由を見せる
読了目安:約分
企業の採用活動において、「SNSは必要ですか?」という質問は頻繁に耳にします。結論から申し上げますと、現代の採用においてSNSは「必ずあった方がいい」ツールです。
かつては求人媒体への掲載が主な採用手法でしたが、情報過多の時代において、求職者は企業からの一方的な情報だけでなく、よりリアルでパーソナルな情報を求めています。特に、デジタルネイティブである若年層(Z世代)の行動様式は、この流れを決定づけています。
本記事では、採用活動におけるSNSの役割を深く掘り下げ、多くの企業が陥りがちな「SNS採用の誤解」を解き明かしながら、内定承諾率を高めるための具体的なSNS活用戦略について解説します。
採用SNSにおける最大の誤解とマイナスブランディングのリスク|採用SNS なぜ必要


「採用活動におけるSNSの役割ってなんですか?」という質問に答える前に、まず多くの企業が抱く採用SNSの最大の誤解について説明させてください。
その誤解とは、「バズる動画を作れば採用成功に繋がる」というものです。
「とにかく100万再生を取りに行く!」「TikTokのトレンドに合わせてちょっと踊ったり企画物に走ったりする」といった、バズること自体を目的としたコンテンツ制作に注力する企業が散見されます。
しかし、そういった「ふざけたこと」を熱心にやっている会社に対して、求職者は本当に入社したいと思うでしょうか。
たしかに、業界や業種によっては「なんかこの会社面白そうだな」と、一時的な注目を集める可能性はあります。しかし、ほとんどの場合、これらの行動はマイナスブランディングに繋がってしまいます。


一例として、某航空会社さんがバズを狙って踊るような動画を配信したとします。それを見た時、視聴者である私自身も、おそらく多くの方々も、「この航空会社を使うのをやめよう」という気持ちになる可能性があります。
TikTokやInstagramで「流行っているから」という理由だけで企画されたコンテンツは、制作している「身内だけ」が楽しんでいる内輪ノリに過ぎません。外部の求職者や顧客から見た時に、「この会社に入りたいか?」という気持ちにはならず、最悪の場合、その会社のサービスすら使いたくないと思われかねないのです。
採用SNSの目的は、バズらせて認知を獲得することではないことを、まずはっきり理解する必要があります。
採用SNSの真の役割とファネル別媒体戦略|採用SNS なぜ必要

では、採用SNSの真の役割は何でしょうか。
採用SNSの役割は、「求人媒体で興味を持った人たちにエントリーしていただくための『ブランド想起』を上げること」です。
つまり、採用のSNSは、あくまでも「すでに興味を持っている人たち」に対して、コンテンツを配信していくものであり、ゼロからバズらせて認知を獲得しに行く必要はありません。

現代の求職者の情報収集の流れは以下の通りです。
- 認知の獲得(求人媒体):転職・就職を考えている人が、マイナビ、リクナビ、Indeed PLUSなどの求人媒体で求人情報を検索し、企業を認知します。
- 興味・関心(SNS検索):そこで気になった企業名を、SNS(特にInstagramやTikTok)で検索します。
- 比較・検討(SNS・YouTube):検索結果で得られた「裏の情報」を見て、エントリー意欲を高めます。
この流れに基づき、SNSを活用した採用戦略は、各ファネル(段階)ごとに適切な媒体戦略を使い分けることが重要となります。
SNSで認知のためのリーチは必要ありません。認知は求人媒体が担い、SNSは「求人媒体のリーチの受け皿」「ブランド想起を上げる役割」を担うのです。
データが示すSNS活用の重要性:Z世代の行動様式|採用SNS なぜ必要
今日の採用ターゲットの中心であるZ世代(主に1990年代半ばから2000年代初頭生まれ)の行動は、SNS採用の重要性を裏付けています。
1. SNSでの情報収集は当たり前

- インターンシップ・就活準備の情報収集にSNSを活用していますか?:67%の方が「はい」と回答。約7割の就活生が、情報収集の起点としてSNSを利用しています。
- 企業の情報をSNSで検索することはありますか?:55.2%の方が「はい」と回答。二人に一人が、気になった企業をSNSで検索する行動を取っています。
2. SNSの情報が「入社意向度」を左右する

- SNS上の企業情報を見て選考や入社の意向度は上がりましたか?
- 情報収集期:64.7%が入社意向度が上がったと回答。
- 意思決定期:79.6%が入社意向度が上がったと回答。(収集期からさらに14.9%アップ)
この「入社意向が上がった」という回答をした人々が、果たして「踊っている動画」や「バズらせるための企画動画」を見ていたでしょうか?
おそらくそうではありません。彼らが見ていたのは、「なぜすでに働いている社員がその会社で働きたいと思ったのか」「志望度を上げるための、社員のリアルな思い」が語られたコンテンツであると推測できます。
3. Z世代のメインプラットフォームは「Instagram」

- Z世代のSNS利用率:75.6%がInstagramを利用しています。
- Instagramで社名検索:そのうち69.9%がInstagramで社名検索をしたと回答。
TikTokの利用も多いですが、社名検索・情報収集という観点ではInstagramが圧倒的な差をつけています。この結果から、採用活動においてInstagramをしっかりと運用することの重要性がわかります。
X(旧Twitter)も利用者が多いものの、企業の採用活動との相性は、情報が流れやすいという特性から、やや低いと言えます。Xは、社長や個人による情報発信に向いている媒体です。
採用カスタマージャーニーの実践例|採用SNS なぜ必要


求職者がSNSを通して企業と接点を持ち、エントリーに至るまでの具体的な流れを、新卒・中途採用の例で見ていきましょう。
新卒・中途採用におけるカスタマージャーニーの例
- 【認知】求人媒体での検索:
- 求職者はIndeed PLUSなどで「働きたい仕事内容」を検索し、貴社の求人を発見します。「この会社は求人を出しているんだ」と認知し、興味を持ちます。
- 【興味・関心】SNS(Instagram/TikTok)検索:
- 「どんな人が働いているんだろう?」と、興味・関心をさらに深めるために、貴社の採用ホームページと並行してInstagramやTikTokで社名検索をします。
- ここで、実際に働いている社員のリアルな日常(一日の流れ、雰囲気)を確認し、「自分もこの会社で働いてみたいかも」と感じ始めます。
- 【比較・検討】YouTubeでの情報深掘り:
- 入社意欲が高まり、他社と比較・検討するフェーズで、YouTubeを検索します。
- タイトルが「なぜこの会社であなたは働いているんですか?」といった、社員の長尺インタビュー動画を見ます。
- それを見て「こういう思いで働いている社員がいるんだ」「この会社では、こんな仕事ができるんだ」と、企業理念や社風に共感し、志望動機が固まっていきます。
- 【エントリー】志望動機との合致:
- 働いている社員のリアルな声や志望動機が、求職者自身の「なぜ働きたいか」という思いに似ていると感じることで、エントリーに繋がります。
中途採用においても、この基本的な流れは同じです。YouTubeの社員インタビューや、エントリーの要因となる社員のリアル、そして求職者の志望動機との合致が特に重要になります。
採用SNS成功のための4つの原則|採用SNS なぜ必要

採用活動にSNSを活用する上で、最も重要な原則は以下の4点に集約されます。
- バズや認知拡大はSNSには必要ありません。: SNSの役割はあくまで「ブランド想起」と「エントリー意欲の向上」であり、認知拡大は求人媒体が担います。バズを追う行為はマイナスブランディングのリスクを高めます。
- 採用ホームページではわからない「裏の情報」を見せる。: すでに勤務している社員の「なぜ入社したのか」「なぜここにいるのか」というコアな部分や、リアルな働き方など、求職者が本当に知りたい情報をSNSで見せていきます。
- 「なぜここにいるのか」を見せる。: 社員がその会社を選んだ理由、働き続けている理由など、企業と個人の価値観の接点を具体的に伝えることで、求職者の志望動機を形成します。
- SNSは求人媒体のリーチの「受け皿」、ブランド想起を上げる役割。: 採用のSNSは、すでに興味のある方に対してのコンテンツを配信し、エントリーへの最後のひと押しをする役割を担う媒体だと認識しましょう。
この戦略に切り替えてから、弊社が支援させていただいている企業様でも採用がうまくいっている状況です。採用SNSの適切な運用は、内定承諾率の向上に直結します。ぜひ、貴社もこの戦略を取り入れ、採用活動の成功を目指してください。
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