ネット広告での損失を防ぐために 「アドフラウド」について知ろう
- アドフラウドとは何かがわかる
- アドフラウドによる損失はどんなものかわかる
- アドフラウドへの対策がわかる
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ネット広告が大きく普及している昨今、どの企業も積極的にネット広告にリソースを割いています。そんなネット広告を利用する中で注意しなくてはいけないのが「アドフラウド」です。アドフラウドはネット広告の利益を損なう可能性のあるリスクの大きいものです。本記事では、アドフラウドの概要やその具体的な手法と対策を紹介します。
アドフラウドの概要
「アドフラウド」とは人間がアクセスしたように見せかけて、広告費を搾取する事です。アメリカでは損失額が8000億円ともいわれ、日本ではアメリカほどではないものの手口は年々高度化、巧妙化されているにもかかわらず危機意識が薄いといわれています。
アドフラウドの具体的手法を紹介
アドフラウドの具体的な手法を9つご紹介いたします。
隠し広告
隠し広告は、別の広告に重ねて広告表示をさせることでインプレッションを不正に稼ぐ手法です。
別の広告でカモフラージュされているため、ユーザーに広告を表示することは出来ません。
しかし、それでもインプレッションのカウントがされてしまうため、その分の広告費が計上されるという仕組みになっています。
また、1ピクセル×1ピクセルほどの目では確認できないくらい小さな広告を掲載する「ピクセルスタッフィング」という手口でインプレッションを不正に稼ぐケースも存在します。
自動リロード
自動リロードは、サイトの広告表示を自動更新することでインプレッションを稼ぐ手法です。
通常はユーザーがサイトを再読み込みした際に広告が更新されますが、先業者によって不正な手口で、ユーザーの意図に反してサイトを再読み込みさせます。
また、ユーザーがサイトページをスクロールする度に広告を更新するという手法もあります。
事例として、Youtubeの視聴中に自動リロードする広告を差し込むことで、動画を見終わるまで1,000impが発生していたケースもあります。
ドメインのなりすまし
ドメインのなりすましとは、有名企業のWebサイトに酷似したサイトを作り、ドメインを偽る手法です。
このような業者は広告主から広告費を搾取してお金を稼ぎます。
ドメインが偽られたサイトに掲載されるため、不正クリックしか集められず、CVを得ることができません。
また、ドメインのなりすましのサイト上に広告配信していると、企業の信用力が低下してしまいます。
ブラウザの自動操作
ブラウザの自動操作は、不正業者が開発したボットにより不正クリックや不正インプレッションを生み出す手法です。
また、ユーザーがフリーソフトをダウンロードした際に、不正業者がばら撒いたマルウェア(デバイスに不利益をもたらすソフトウェア)を知らないうちにインストールしてしまうような事態もブラウザの自動操作に当たります。
不正な広告挿入
不正な広告挿入は、ユーザーに表示される広告を不正に差し替える手法です。
Webサイト上に配信される広告は「インクジェクタ」と呼ばれるプログラムで差し替えられます。
このインクジェクタも、マルウェアと同様にユーザーに気づかないうちにデバイスにインストールされてしまうものです。
インクジェクタがインストールされたデバイスを使用していると、興味・関心のない広告が配信されてしまいます。
ファーム
ファームは、「デバイス農場」の意味で、不正業者が大量にデバイスを設置して、オペレーターやボットに不当にクリックさせることで広告費を詐取する手法です。
デバイスファームは、Web広告のクリックだけではなく、SNSの「いいね」やアプリのレビューなどの不正行為にも利用される手口となります。
データセンタートラフィック
データセンタートラフィックとは、ある特定のサーバーからの不正アクセスをいいます。
通常、データセンターのトラフィックはユーザーがWebクリックする場合には、携帯回線やプロバイダー回線が使われており、データセンターの回線とは異なるため見つけやすいものですが、最近ではデータセンタートラフィックを隠ぺいする詐欺業者が急増したことで、データセンターからのアクセスが見抜きにくくなっています。
クリックフローディング
クリックフローディングとは、クリックを偽装することで実際にクリックがあったかのように見せる手法です。
洪水(フローディング)のように不正クリックを意図的に大量発生させることから派生し、主にモバイルサイトや不正業者が構築したアプリにアクセスした際に発生します。
インストールハイジャック
インストールハイジャックは、端末にアプリやソフトウェアをインストールした際に、デバイスをマルウェア感染させてハイジャックする手法です。
マルウェアに感染したデバイスは、ユーザーの意思に関係なく動作します。
マルウェアに感染したデバイスによって、クリック数を伸ばすなどの手口となります。
どのような損失が生み出されるか
アドフラウドによる損失とはどのようなものなのか、主に3つの被害をご紹介します。
広告費の不正搾取
アドフラウドによる最も大きな損失として、広告費の不正搾取が挙げられます。
Web広告は、クリック数やインプレッション数に応じて広告費がサイト運営者に支払われる仕組みが一般的ですが、不正なクリックや不正インプレッションで水増しされた分の広告費も支払わなければならなくなります。
不正に計上された広告費であっても、広告主のほとんどがそれが詐欺によるものだと気づかないケースが多いのが現状です。
ブランドイメージの毀損
アドフラウドによりブランドイメージが下がることも、大きな損失となります。
トラフィックエクスチェンジなどで意図に反するサイトに掲載されると、ブランドイメージを損なうことになります。
具体的には、違法薬物サイトや反社会勢力サイトといった不適切なサイトに広告が表示されてしまうことで、広告を見たユーザーから「このようなサイトに広告を出稿するなんて」と思われ、イメージダウンに繋がります。
運用データの正確性の損失
アドフラウドによる不正行為で広告費が水増しされると、正確な運用データが取得できなくなります。
万が一アドフラウドの被害にあっていても、レポートの数値だけでは、どこまでが正規クリックなのか、どこからが詐欺によるものなのかの見分けがつきにくいため、Web広告におけるデータ分析に弊害が出てしまいます。
これらがアドフラウドの具体的な手法になります。どれも甚大な被害をもたらす可能性のあるものですから、しっかり認識しておきましょう。
対策方法の紹介
アドフラウド対策を紹介します。
広告配信結果の分析
広告の配信結果から不正サイトを見つける方法で以下の事をチェックすることが重要です。
- 他のサイトと比較して不正注文や未払いが明らかに多い
- クリック率が異常に高い、もしくは異常に低い
これらをチェックし、不正サイトだと判断した場合、出稿停止する必要があります。
この方法は比較的コストがかからずに済みます。
DSP業者を切り替える
ネット広告をDSPで利用しているのであれば、アドフラウド対策を行っている事業者に切り替える事も重要な対策になります。DSPとは広告効果最適化をサポートする広告配信プラットフォームです。
アドフラウド対策を事前に行っているDSPは以下の事をチェックすることで判断できます
- アドフラウド対策門の事業者と連携している
- 自社でアドフラウド対策ツールを導入している
- アドフラウド対が発生した場合の対応が具体的に定められている
- JICDAQに加入している事業者
*.JICDAQ(一般デジタル広告品質認証機構)ネット広告市場健全に発展させることを目標に掲げて、取り組みを進めている機関
アドフラウド対策ツールの導入
アドフラウド専門のツールを利用することで、無駄なクリックだけではなく不正サイトも事前にブロックできます。このツールを導入することで、アドフラウド対策の負担を大きく軽減できます。コストは小さくありませんが、アドフラウド対策としては非常に有効なものです。
まとめ
これらがアドフラウド対策になります。日本は他国と比較して、アドフラウドへの意識が低く被害率も高いといわれています。ネット広告は大きな利益をもたらすものでありますが、アドフラウド対策を怠ると、今回紹介したような甚大な被害を受ける可能性があるので、アドフラウド対策をしっかり構築しましょう。