【SNS内製化】インハウス化の勝敗を分ける実践チェックリスト完全版
- SNS内製化は戦略と目的設計が必須
- 最低1人/月の運用リソースが必要
- 部署横断で連携できる体制が重要
- 成果には時間がかかり1年以上継続必須
- ブランド理解と熱量ある担当者が必要
- 競合より顧客と向き合う姿勢が重要
読了目安:約分
最近、弊社へご相談いただく中で、「最終的にはSNS運用を内製化したい」「SNSをインハウス化したいんです」というお声を頻繁にお聞きするようになりました。

しかし、SNSの内製化(インハウス化)は、単にSNSのチームだけで内製化を進めれば良いというものではありません。これは、ブランドやサービスを次のステージへ進めるための、組織全体を巻き込む大きなプロジェクトなのです。

マーケティング戦略とSNSの目的が明確でなければ、内製化は単なる現場の負担増につながりかねません。
ある企業のSNSアカウント運用に関する事例では、数値での貢献(直接売上)が示しにくくても、「ブランド戦略として取り組む価値がある」と定性的に評価し、大きな売上増につなげています。

本記事では、この重要なプロジェクトを成功させるために、組織として、戦略として、何を満たすべきかを徹底解説。特に重要な「SNS内製化のチェックリスト(組織編)」を中心にお話しします。
SNS内製化チェックリスト:組織編|SNS内製化 インハウス化
SNS運用を軌道に乗せるためには、まず社内の土台をしっかりと固める必要があります。組織体制が不安定だと、どれだけ優れたコンテンツを作っても、継続的な成功は難しいからです。
SNS運用は、片手間でできる業務ではありません。

①1人月以上のリソースを確保できますか?
投稿一つをとっても、企画立案、コンテンツの編集、撮影、投稿、コメント対応、そして効果分析まで、多岐にわたる工程が必要です。「スキマ時間でできる」と考えてしまうと、品質低下や、最も大切な分析がおろそかになります。
成功させるための最低ラインとして、月160時間=1人月の専属リソース確保を大前提としましょう。これは、必ずしも1人が担当する必要はなく、例えば「4人で40時間ずつ」といった分担でも構いません。重要なのは、総量としてのリソースを確保することです。
②部署横断で連携できる組織体制ですか?
大企業によく見られるのが、「縦割り」による連携の分断です。
- アカウント運用は広報
- インフルエンサー施策は別部署
- 広告運用はマーケティング
このように分断されると、発信メッセージに一貫性がなくなり、ブランドの世界観が崩れてしまいます。また、売上に直結しやすい広告部署だけが評価されるという「評価の歪み」も生じがちです。
しかし、ブランド認知や世界観の発信を行うSNSがあるからこそ、広告効果が底上げされるケースも非常に多いのです。
内製化には、各施策が連携し合う、横連携をスムーズにできる組織体制が不可欠となります。
③1年以上継続する「覚悟と忍耐」がありますか?
SNS運用は、コンテンツマーケティングそのものです。
SEOと同様に、一本投稿したからといって、すぐに大きな成果が出るわけではありません。継続的な努力と時間が必要です。
- 複数のコンテンツを継続して投稿する。
- 顧客の反応が積み上がってフォロワーが増える。
- 結果としてリーチが広がり、最終的に売上に寄与する。
このサイクルを回す必要があります。多くの企業が「3か月で成果が出ないからやめる」という失敗を繰り返しますが、内製化には最低でも1年続ける覚悟が必須となります。
④ブランドやサービスに「熱量」のある担当者を配置できますか?
「若いからSNSが得意そう」という理由だけで担当者を選んでしまうのは、絶対に避けてください。
SNSは、顧客と直接コミュニケーションを取り、ブランドの顔となる重要な場所です。そのため、担当者には以下の要素が求められます。
- ブランドへの深い理解
- サービスに対する熱量と愛着

これらを持ち合わせた担当者を配置する方が、投稿内容に魂がこもり、より高い成果につながります。また、SNS全体を引っ張っていく責任者(リーダー)を明確に置くことで、プロジェクトの推進力は大きく変わります。
⑤投稿管理・スケジュール管理を担う人がいますか?
投稿の抜け漏れを防ぎ、適切なタイミングでコンテンツを公開するためには、管理の仕組みが重要です。
- 誰が、いつ、何を投稿するのか
- キャンペーンやイベントと投稿スケジュールをどう連動させるか
これらを管理し、現場をスムーズに回すための管理専門のメンバー(または担当)が必要となります。
⑥コメント返信のルール整備と対応体制がありますか?
SNSは一方的な発信ではなく、コミュニケーションの場です。
コメントを放置してしまうのは、基本的にNG行為です。たとえ大量のコメントが寄せられた場合でも、最低限の返信体制を整えておく必要があります。
具体的には、返信のトーン&マナーや、クレーム対応の報告フローなど、社内で統一されたルールを事前に整備することが、炎上リスクを避け、顧客との良好な関係を築く鍵となります。
⑦承認フローは明確ですか?
内製化といえども、誤った情報や不適切な表現を防ぐための承認フローは欠かせません。
- 誰が承認するのか(担当者 → 上長 → 法務など)
- どの順番で承認を通すのか
- 承認に何日かかるのか
これらを明確にしておくことで、投稿遅延を防ぎ、スピードと安全性のバランスを取ることが可能になります。
SNS内製化チェックリスト:評価・運用編|SNS内製化 インハウス化

組織体制が整ったら、次は「どう運用し、どう評価するか」という視点が必要です。
①売上に近い部署ばかり評価されていませんか?
「ラストクリック」で売上に直結する広告部門だけが評価され、ブランド認知やエンゲージメントを担うSNS施策が軽視されると、組織の連携が崩れてしまいます。
SNSは、売上の前段階における「ブランド認知」「優良顧客の育成」に大きく貢献するものです。ラストクリックだけを評価指標にするのは危険です。フォロワーの質やエンゲージメント率など、SNSならではの評価指標を確立しましょう。
②KGIから逆算した目的・目標設計になっていますか?
「とりあえずフォロワー数を増やす」「とりあえずリーチを稼ぐ」といった、手段が目的化した目標設定では、内製化は成功しません。
内製化においては、KGI(最終目標)から逆算した目的設計が必須です。
- 最終的に何を達成したいのか(KGI)
- そのためにSNSが担うべき役割は何か(KPI)
この論理的なつながりがあることで、日々の投稿がビジネス貢献につながっているという実感が得られ、現場のモチベーション維持にもつながります。
③定点観測・レポート体制ができていますか?
PDCA(計画→実行→評価→改善)サイクルを回すためには、「分析(Check)」のフェーズが最も重要です。
施策の改善につなげるために、定点観測(定期的なデータのチェック)と、分析結果を関係者に共有するレポート体制を構築しておきましょう。これがなければ、ただ投稿を続けているだけになってしまい、成果は積み上がりません。
④競合ではなく「顧客」と向き合えていますか?
もちろん競合の分析も大切ですが、それ以上に重要なのは、SNSを通じてつながる「自社の顧客」と向き合う姿勢です。
- 自社の投稿に、どんなコメントが寄せられているか?
- 顧客はどんな情報を求めているか?
競合の真似をするのではなく、顧客の声に耳を傾け、それに応えるコンテンツを提供し続けることが、エンゲージメントとロイヤリティを高める最短ルートです。
内製化がすべてではない!柔軟な選択肢も視野に|SNS内製化 インハウス化

ここまでの組織・運用チェックリストの項目が概ね満たされているのであれば、内製化に踏み切っていただいて大丈夫です。成功への準備は整っています。
しかし、これらの土台が十分に整っていないまま内製化を進めてしまうと、前述の通り、現場が疲弊し、経営層も成果が見えず苦しくなるという事態を招きかねません。
プロの伴走を活用するメリット

SNSは、アルゴリズムやトレンドの変化が激しい領域です。その全てを社内だけでキャッチアップし、高いレベルで運用し続けるのは、リソースが限られた企業には大きな負担となります。
「内製化がすべて正解」というわけではない点も、ぜひご理解いただければと思います。
土台がまだ不安定な段階では、
顧客と向き合う部分だけを内製し、専門領域や戦略、分析は外部のプロが伴走する
という形も非常に有効です。
私たちのような専門チームは、御社の状況に合わせて、
- 内製化支援(組織・教育のサポート)
- アドバイザー型の伴走(戦略立案や分析のサポート)
- 一部運用代行(コンテンツ制作など専門的な部分のサポート)
といった形で柔軟に支援させていただいております。
無理のない形で、継続して成果を出し続けられる体制を構築することが、最も大切なのです。
SNSのことならTaTap

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また、弊社代表・富田竜介の書籍『99%の経営者は知らない 中小企業のための正しいSNSマーケティング』(幻冬舎)もご好評をいただいております。あわせてご覧いただけますと幸いです。
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