2024.03.05

Metaの新技術からみる、生成AIとSNSの新しい関係

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Pointこの記事でわかること

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目次

生成AIが広告分野で徐々に存在感を増しています。生成AIとはコンピューターが学習したデータをもとに、新しい情報・データをアウトプットするもので、これまで人間が行っていた「考える」「計画する」をAIが行い、アイデアやコンテンツを生み出すもので、アメリカのMetaも導入しています。本記事では生成AIとSNSの新しい関係、生成AIの活用方法や活用していくうえでの注意点を紹介していきます。

AIの新サービスを発表したMetaのニュースについて

生成AIの一つとして、アメリカのMeta(旧Facebook)は同社の大規模言語モデル「Llama2」をベースとしたAIチャットボット「Meta AI」などの新たなAIサービス・機能を発表し、本業であるSNSに生成AIを全面展開することで、得意領域での実用化を目指しています。Meta  AIはMetaのSNS、Insutagram、Messenger、WhatsAppで利用できるもので、チャットに「@MetaAI/Imagine」と入力することでユーザはAIに様々な質問が出来ます。このMetaの例からわかるように生成AIはSNSと関係が深まり、たがいに発展していくといった、新しい関係になっていくことでしょう。

広告業界での生成AIの使われ方

続いては広告業界における生成AIの活用状況を見ていきましょう。

広告・クリエイティブの専門誌「ブレーン」(株式会社宣伝会議発行)は2023年5月から6月にかけて実施した、広告会社・制作会社などで働くクリエイターを対象にしたアンケートより、生成AI活用の実態のデータを紹介します。

以上のような結果になり、AIに高い関心が集まっていることがわかります。

さらに業務で使用したAIツールは「ChatGPT」が51.9%で最多になっています。その他「Midjourney」「Stable Diffusion」などの画像生成AIの業務仕様は1割前後となっています。

利用における懸念点は「責任の所在が不明瞭」が55.3%、「使用規制の必要性」37.4%など権利問題やルール作りに対する懸念が挙げられています。

つづいては実際に広告業界で生成AIを使用している事例をいくつかご紹介します。

Black Crow

Black Crowは、アメリカのニューヨークでサービス提供を開始したリターゲティング広告の効果改善や、リアルタイムプリディクションを実現するD2C顧客を中心に急成長しているサービスです。

サイトに訪れたユーザーの行動をAIによる解析にかけ、そのサイトでコンバージョン見込み度合いによってユーザーをスコアリングすることができます。

スコアリングされたユーザーは、オーディエンスデータとしてFacebook広告にAPIを通して連携され、Facebook広告やInstagram広告に活用されます。

Video++

中国の動画配信サイトVideo++(極鏈科技)では、AIの活用により、動画に合わせた広告の配信を実現させています。

動画内で紹介された食べ物や化粧品、おもちゃなど多岐にわたる商品をすぐに購入することが出来る仕様となっています。

AIで動画に出ている商品を自動で特定し、その商品を販売しているECサイトと連動させるという仕組みとなっています。AIが自動で商品の特定を行うため、効率的にユーザーへ購買へと繋げることが可能となっています。

さらに、AIが関連する広告に関連するクーポンを表示させる機能も備わっているため、動画内の広告をAIが自動で認識してクーポンを出すことで、購入率の向上が期待できます。

Google

Googleの広告は、複雑だった広告コンテンツの作成をAIを使って大幅に自動化を進め、簡単に作成可能としました。

広告主の設定した目標や予算額に応じて作成でき、広告の目的を指定することによって、AIを通じて適切なユーザーに適切な広告文やメッセージを設定して表示することが可能となりました。

ネット広告をあまり利用したことのない中小企業にとっても、手軽な設定で利用できるでしょう。

ATELLI

Facebook広告のターゲットKPI最適化を目的として、AIによるオーディエンスセグメントの自動生成・運営を行うことで、KPI目標の達成に向けてオーディエンスセグメントを24時間365日自動で測定・生成・チューニングする台湾のサービスです。

ATELLIは、もともとインターネット広告代理店として活動を行っていましたが、自社の広告運用最適化を目的に構築されたサービスのため、自社の広告運用ノウハウが詰め込まれており、Facebook広告の運用のわずらわしさを解消することができます。

このように広告業界における生成AIは強い関心を集め、多くの企業がAIを活用していることが良くわかります。一方で懸念点もあり、続いては、その点も見ていきましょう。

克服すべき課題と対策状況

ここまで紹介してきたように広告業界において高い関心を集めて、導入が増えている生成AIですが、克服しなくてはいけない課題が存在します。対策状況とあわせて紹介します。

著作権

生成AIにおける課題として特に重要になるものが著作権に関することです。

著作権の侵害に対して、著作権者は侵害行為の停止や予防措置を請求したり、侵害によって被った損害の賠償請求が可能になり、著作権侵害行為は刑事罰の対象にもなるとされています。

文化庁によると、生成AIが進歩することでオリジナルに類似した著作物を生成するなどの懸念、著作権侵害が大量に発生し、個々の権利者の紛争解決が困難になる恐れがあるとしています。

これらの対策として文化庁では、クリエイターを含めた権利者が海賊版への対策を行う上で必要なノウハウを集約した「海賊版対策情報ポータルサイト」を解説しています。文化庁ではポータルサイトや相談窓口を通じ、著作権侵害に困っている権利者の方を支援をしています。

またAI利用者はAI生成物が著作権侵害にならないよう、以下の注意が必要です

1.行おうとしている利用行為が権利制限規定に該当するか

権利制限規定に該当する場合は、仮に既存の著作物との類似性・依拠性が認められる場合でも許諾なく利用が可能です。

2. 既存の著作物と類似性のあるものを生成していないか

既存の著作物との類似性の程度によってはAI生成物に依拠性が認められ、許諾なく利用すれば著作権侵害になる可能性があります。

そのためAI利用者は

  1. そのまま利用するのを避ける
  2. そのまま利用する場合は、既存の著作物の著作権者から許諾を得たうえで利用する
  3. 既存の著作物と全く異なる著作物となるよう、大きく手を加えて利用する

以上のような対策が必要になります。

機密情報漏洩

個人情報や秘密情報、機密情報などの秘匿性の高い情報をAIに入力することで情報の漏洩の可能性がある事も課題の一つになります。特にユーザが入力したデータは学習AIの学習にも用いられる可能性があるので注意が必要です。この対策としてはデータの管理を徹底する事とセキュリティの強化になります。また日本ディープラーニング協会が、ChatGPTや画像生成AI等の利用に関するガイドラインを公表しています。

サイバー犯罪

多くの利点がある生成AIですが、その技術がサイバー犯罪に利用されるリスクがあることが課題になります。AIは大量のデータをもとに学習・分析・判断を行い、個人情報や秘密情報、機密情報などがネットワークにより伝達されます。それらがサイバー攻撃にあい、情報が漏洩し犯罪につながる可能性があります。またシステムの脆弱性をつくようなマルウェアプログラムも生成AIによって生成される可能性も指摘されています。この点に関してもデータの管理の徹底とセキュリティ対策の強化が対策になります。

まとめ

Metaの新技術でより注目を集めている生成AIとSNSの今後の関係を見てきました。生成AIは広告業界でも高い関心を集め、MetaのSNSであるInstagramやFacebookで導入され、他にもChatGPTなど既に利用されているものも多くあります。非常に便利な生成AIですが、今回紹介したように、利用に当たっては課題がある事もお分かりいただけたと思います。今後も生成AIの発展に伴ってSNSより利便性の高く魅力的なものになっていくでしょうが、対策も重要になることを覚えておきましょう。

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