SNSマーケティングが大きく変わる2025年の衝撃予測
- AIがSNSマーケティングを支配
- バズの獲得が難しくなった
- ショート動画制作が重要になる
- フォロワー数の重要性が低下
- ユーザー生成コンテンツ活用の重要性
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2025年、SNSマーケティングはどのように変わるのか、企業やブランドの担当者はSNSとどう向き合うべきかについて解説します。
SNSの多様化とAIの影響
現在、多種多様なSNSが登場しています。例えば、Z世代の若者向けには「BeReal」がリリースされてからしばらく経っています。一方、位置情報を共有するアプリ「Zenly」はサービスを終了しましたが、その機能はInstagramなどが受け継ぎ、同様のサービスを提供しています。また、TikTokの運営会社であるByteDance(バイトダンス)が「Lemon8」をリリースし、TikTok自体もユーザー数が伸びている状況です。
結論として、現在のSNSはAIによって支配されつつある状況に他なりません。「乗っ取られている」というのは、AIのリコメンドに支配されている状況を指します。これまでは自分で色々なものを検索し、調べることで欲求を満たしていたものが、今では受動的にコンテンツを見ているだけで、AIが学習して自動的に自分の好きなものが表示され、それを見て満足してしまう。まさにそのような状況です。
また、AIの精度が高く、表示されるコンテンツも、実際に興味がある人に限定して届くため、大きなバズを生むことが難しくなっています。例えば、美容に関するコンテンツは美容に興味のある人に、暮らしに関するコンテンツは暮らしに興味のある人に、また自動車に関するコンテンツは自動車に興味のある人に届くようになっています。
少し前まではコンテンツ量が不足していたため、「1千万再生バズりました!」というようなこともありましたが、今後はほぼ起こることはないと予測されます。
エンゲージメントとリーチの変化
さらに、SNSでは「いいね」「保存」「コメント」「シェア」「滞在時間」などのエンゲージメントが重要視されていますが、これらのエンゲージメントを獲得してバイラルで拡散し、リーチやインプレッションが伸びていくというアルゴリズムは、今後難しくなると考えられます。すなわち、いわゆる1メディア、1つのアカウントが大量にリーチを獲得する時代は終焉を迎えました。加えて、フォロワー数が多くても、それほど意味をなさなくなってきています。
TikTokでは、表示されるコンテンツの90%以上がおすすめのコンテンツで、フォローしているアカウントのコンテンツを見ることはほとんどありません。Instagramのリールも同様で、基本的にフォロワーではない人にコンテンツが表示される仕組みになっており、最近ではフォロワー以外の人にリール動画をシェアする「トライアルリール」という機能もリリースされています。
企業とブランドのSNS活用法
企業やブランドがSNSを活用する方法としては、引き続きSNS広告の活用が重要です。特に、ユーザー数が増加しているInstagramでは、個人でも広告を出しやすくなっているため、CPM(広告が1000回表示されるごとに発生する費用)が高騰しています。
Instagramでは、広告を入札する際、最も高い金額を入札した人が広告を出せる仕組みですが、CPMは年々上昇傾向にあります。そのため、Instagramへの広告出稿が難しくなり、CPMの安いTikTokなどに広告費を投下することが多くなりがちです。しかし、TikTokやInstagramのリールで広告を出すには、ショート動画を制作する必要があります。
ショート動画の重要性と制作の課題
Instagramのフィードでは静止画像を複数組み合わせてカルーセルで投稿し、その投稿に広告を付けることができましたが、今後はショート動画を制作しなければならないのです。企業やブランドにとっては、ショート動画の制作に対して労力がかかることが課題となりますが、どのSNSでもショート動画が盛んです。TikTokはもちろん、Instagramでもリールの滞在時間が全体の約50%に達する勢いです。TikTokにも静止画像はありますが、基本的にはショート動画です。そのため、企業やブランドがやるべきこととして、まずはショート動画にトライするということが、2025年以降、ますます必要になるでしょう。
フォロワー数の重要性とブランド表現
その上で、フォロワーを多く獲得したところで、あまり意味がないという現状があります。これは、プラットフォームによって異なりますが、Instagramではまだフォロワーが多いことにメリットがあります。特にフィード投稿に関しては、フォロワーにコンテンツが表示され、しっかりと認知を獲得できるので、フォロワー数の多さには意味があります。Instagramのアカウントは、SNS上で「ホームページの役割」を果たすため、とても重要な位置づけです。
Instagramでは、「ピン留め」や「ストーリーズのハイライト」、「プロフィールの文章」などを活用して、多彩にブランドやサービスを表現できます。TikTokやYouTube、YouTubeショートで動画を観たり、XやLemon8でコンテンツを見た人たちが「このブランドやサービスはどういったものだろう?」と思ってInstagramを訪れます。Instagramでブランドやサービスの世界観がしっかりと表現できていなければ、せっかくInstagramを見に来てくれた人たちに「このサービス、ビミョ~だな」「このブランド、イケてないな」と思われてしまうことになります。
ショート動画とUGCの活用
もはやSNSにおいて、ブランドやサービスが自力でインプレッションを取りに行く時代は終わりました。SNSは、世界観やコミュニケーションを図るための場として活用することで、いかに色々なユーザーに自社のサービスをコンテンツとして発信してもらい、いわゆるUGC(ユーザー生成コンテンツ)や口コミを増やしていけるかが非常に重要です。
ショート動画の制作には労力が必要だと前述しましたが、もちろん企業やブランドが頑張れば作れないことはありません。ただ、3日に1回、月に10投稿が限界となることが多いです。10投稿をバズらせるのではなく、外部の100人に1投稿してもらう方が、結果的に月100本の動画投稿となり、その方が企業にとってはリーチ拡大に繋がり、有益です。
Instagramの新機能と収益化
InstagramではDM(ダイレクトメール)機能の拡充が進んでおり、ストーリーズの表示機能のようなものを活用したり、LINE@(ラインアット)のような機能をInstagram内に取り入れることで、フォロワーの中でも特に興味を持ってくれている人たちをプールしておくことができます。そして、「一斉配信チャンネル」を使って、DM宛てにメッセージを届けることができるようになりました。
Instagramでは、DMを使ったマネタライズ(収益化)の強化が行われ、ユーザー一人ひとりとのコミュニケーションをどう活用していくかが非常に重要視されています。
そもそも、多くの人々がSNSをどんな目的で使用しているのでしょうか。企業やサービスの宣伝を見るためにSNSを利用している人はほとんどいません。広告はむしろ邪魔者として扱われがちです。しかし、プラットフォームを成り立たせ、マネタライズするためには広告が必要です。では、個人として利用する場合、SNSの使用目的はどうでしょうか。基本的には、友達や家族、知り合いと交流したり、誰かと繋がりたいということが第一の目的で使用されます。次に情報収集があります。たとえば、美容に興味を持ったときに「おすすめの美容商材があるかな?」と調べることができるのもSNSの利点です。企業の宣伝は、このような使い方をしているユーザーにはノイズ(雑音)にしかなりません。
UGCと広告運用の三位一体
では、企業はどのようにSNSを活用してノイズにならないようにし、個別にお客様とコミュニケーションを取り、ファンを作っていけるのでしょうか。そのようにして作られたファンが、SNS上で「このサービス良かった」「このブランド素晴らしい」と投稿してくれるようになることが重要です。この戦略においては、広告だけでは厳しい現状もありますので、アカウント運用、インフルエンサーマーケティング、広告の3つを一体で活用していかなければ、なかなか売上げを上げることは難しいでしょう。
TikTokにおける戦略とインフルエンサーマーケティング
もちろん、これらは1つのプラットフォームで完結するものではありません。例えば、TikTokでは自社のアカウント運用をそれほど強化する必要はありません。あくまでも、自社やブランドの世界観が伝わる投稿を続けながら、第三者であるインフルエンサーに投稿してもらうことが大切です。また、企業がショート動画を作成するリソースがない場合、まずユーザーに投稿してもらい、その投稿を広告に活用するという方法もあります。TikTokでは「SparkAds(スパークアズ)」を使うことで、第三者が作成したコンテンツを広告に利用することができ、こうした手法も有効です。
SNS専任担当の重要性
インターネットからSNSへの可処分時間の移行がどんどん進んでいる中で、SNS専任の担当者を置いていない企業が未だに多くあります。しかし、専任担当者を置いている企業はおそらく約1割程度に過ぎません。今後は、SNSがますます重要なチャネルになっていくため、SNS専任担当者を置かざるを得ない状況になるでしょう。
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