2024.12.25

【Instagram】インスタマーケティング概論。企業/ブランドのSNS担当は必見。

snsinstagramSNSマーケティングUGC・クチコミ調査・分析ブランディングアカウント運用
Pointこの記事でわかること

読了目安:約

目次

今回は、Instagramマーケティングの全体概要についてお話しします。Instagramを運用していく中で、「なかなかフォロワーが増えない」「売上が上がらない」といったご相談をよくいただきますが、全体を理解してから取り組むことで、結果は大きく変わってきます。

Instagramの概況

「X」「TikTok」「LINE」「YouTube」といった様々なSNSがありますが、Instagramはモノやコトの体験、情報収集の場として多く利用されています。月間利用者数は7,000万人以上とされ、国内ではLINEに次いで2番目に多い利用者数を誇ります。X(旧Twitter)も急成長しており、日本では6,650万人に達し、TikTokも3,300万人と著しく伸びています。

フィード投稿アルゴリズム

フィード投稿に関しては、まず既存フォロワーでエンゲージメントを獲得できないと、「発見タブ」や「ハッシュタグのキーワード検索」といった外部への露出がされづらいアルゴリズムです。フィードに投稿すると、既存フォロワーの10~20%に投稿が表示される仕組みで、例えばフォロワーが10,000人の場合は1,000~2,000人に表示されます。「投稿を数秒見る滞在時間」「コメントをする」「いいねをする」「シェアする」「投稿者のプロフィールにアクセスする」といったフィードで重視されるアクションが積み重なると、既存フォロワー内での表示率がアップします。フォロワー数にもよりますが、大体30~40%まで拡大すると、「発見タブ」「ホームのおすすめ欄」「フォロワーじゃない人のホームタブ」「キーワードの上位・おすすめ」に表示されるアルゴリズムです。

作ったばかりのアカウントはフォロワーがいない状態なので、フィード投稿でおすすめ欄に露出するのが難しいため、最初はプロフィールアクセス広告と併用して伸ばすことをおすすめします。

ストーリーズ投稿のアルゴリズム

ストーリーズ投稿では、「アクションの頻度」「閲覧頻度」「関係の濃さ」が重要視されます。基本的には「既存フォロワーとの関係構築」や「既存フォロワーへの告知」に活用されることが多いです。

まず、ストーリーズをタップして指を止めることが関心を示す証拠となり、「指を止めて見る可能性」やストーリーズに対する「返信の可能性」が評価されます。また、ストーリーズを10個ぐらい投稿していると、次のストーリーズにタップして進むことができますが、興味のない人はスワイプして飛ばしてしまいます。そのため、「次のストーリーズに進む可能性」が高いと、「このアカウントに興味がある」と評価され、親密度が上がります。

ストーリーズは、基本的に既存フォロワーとの関係構築や告知に活用しましょう。

リール投稿のアルゴリズム

リール投稿では、「関連性が高いと思わせる予測」が重要視されます。具体的には、「再シェアする」「最後まで見る」「いいね」「音源ページに移動」などのアクションが評価されます。中でも、最も重要なのは「視聴維持率」と「平均再生時間」です。

これらの指標で良い反応が得られれば、フォロワー以外の人に拡散され、新規リーチが取りやすいアルゴリズムになっています。たとえフォロワーがいなくても、リール投稿のクオリティが高ければ、100万回再生されるようなバズる投稿を生み出すことが可能です。

フォロワー増加の方程式

「どのような形でリーチを増やしていくのか」が重要です。基本的には「プロフィールアクセス数×フォロー率」でフォロワーを増やしますが、プロフィールにアクセスしてもらうためにはリーチが必要です。このリーチを「オウンド」「アーンド」「ペイド」というトリプルメディアで分かりやすく分類しています。

オウンド:メディアリーチとブランドアカウントリーチ。アカウント運用、いわゆるオーガニックでの発信です。

アーンド:口コミなど第三者からの投稿で自然発生するリーチ。口コミ、メンション、タグ付け、ブランドハッシュタグ、投稿内で自社商品を訴求する場合も含まれますが、これを見つけるのは難しいため、そういったものがあることを意識しておきましょう。

ペイド:広告からのリーチ。ブランド広告や第三者であるインフルエンサーや個人のアカウントから広告を出すパートナーシップ広告の手法があります。

リーチの細分化

ブランドリーチ

ブランドリーチは、ブランドについての情緒的価値の向上に繋がります。「次に買ってみたい!と思わせるかどうか」や「ちょっと商品を気になっている方への興味関心・理解促進」ができるような投稿です。しかし、ここでの課題は、「投稿自体にエンゲージメント(特に滞在時間や保存)が付きづらいため、既存フォロワー以外にリーチが取れない」という点です。

メディアリーチ

メディアリーチは、サービスやブランドを情報に落とし込んで発信します。これは、文字入りの静止画や説明の多い動画など、情報を提供するコンテンツです。情報型のコンテンツは多くの視聴者にとって有益であるため、「いいね」「保存」「滞在時間」などのエンゲージメントが付きやすく、リーチが伸びやすいです。

ただし、ブランド自体が基本的には出てこないため、ブランドの認知や興味関心には繋がりづらいという弱点があります。つまり、リーチとしては伸びやすい反面、1リーチの価値が低いのがこのリーチの特徴です。

ブランドタイアップ口コミリーチ

ブランドタイアップ口コミリーチは、ブランド側の施策によって意図的に発生する口コミコンテンツです。インフルエンサーマーケティングがこれに該当します。得意な点は、自分ごと化したコンテンツを第三者に作ってもらえることで、その商品を買おうとしているお客様に対して比較・検討・購買の意思決定に寄与するコンテンツを作成できることです。これにより、いわゆるCVR(購入率)を高めることが可能です。

ただし、投稿コンテンツに対して完全にコントロールできないという弱点があります。

口コミリーチ

口コミリーチは、自然発生的に投稿される第三者のコンテンツです。これは個人の感想に基づくもので、薬機法などを無視した投稿でも問題になることはありません。口コミリーチの強みは、自分ごと化したコンテンツが自然に出てくることで、その商品を購入しようとしているお客様に比較・検討・購買の意思決定を促進させる点です。

ただし、これは意図的に生み出すことが難しく、ブランドのファンを形成することで初めて自然発生的に生まれるものです。基本的には、90%以上のブランドやサービスは、特に対策を講じない限り口コミが自然に発生することは少ないと思ってください。

参考事例として挙げられるSHIROさんのように、徹底したブランディングを行っているブランドでない限り、簡単に口コミが発生することは期待できません。

パートナーシップ広告リーチ

第三者のアカウントから広告を活用する手法です。先述したリーチをさらに広告で伸ばしていきます。効果としては、広告として表示される見え方が少し変わりますが、基本的にはパートナーシップのブランドタイアップ口コミリーチと同じような効果があります。

ブランド広告リーチ

ブランド広告リーチは、ブランドの情報を発信するコンテンツを広告で活用するものです。そのため、ブランドの興味関心を引き、理解を深めることに優れています。また、CV(コンバージョン)獲得やブランディングにも効果的です。ただし、自分ごと化したコンテンツの訴求は苦手です。最近では、口コミに近い投稿を広告に活用する企業も増えています。

フォロワー第一指標のよくある事例

フォロワーが第一指標になると、フォロワーを増やすことを最優先にしがちです。その結果、安易にフォロワーが増える施策に走ってしまいます。例えば、プレゼントキャンペーンを実施すると、自分たちのビジネスに興味のない懸賞アカウントが増えてしまいます。また、メディアの投稿ばかりで情報型のコンテンツを発信すると、ブランドに対する興味や関心が浅いフォロワーが増え、ブランドやサービスの発信をしても売上げが上がらないことがよくあります。

フォロワーが第一指標ではない事例

基本的には、コンテンツに対してエンゲージメントが付くことを重視して発信しています。エンゲージメントが付くことでリーチが伸び、リーチが伸びることでプロフィールへのアクセス数が増え、結果としてフォロワーが増えるという、先ほどとは逆の現象が起こります。

アカウント運用の有用性

Instagramのアカウント運用はなぜ重要か

Instagramの投稿を見て「もっと知りたい」と思った人の42%がプロフィールを確認します。プロフィールにアクセスした人の3分の2がフォロワー外からのアクセスです。広告を見て「このブランドはなんだろう」と気になってアカウントにアクセスし、「どんな人が買っているんだろう」とタグ付け欄で口コミを確認し、さらにGoogleで検索して購入するといった動線です。

アカウントがないということは、ブランドやサービスをより知るための情報がないということで、例えるならバケツに穴が開いているような状態です。弊社では「SNSは第2のホームページ」という表現も使いますが、それほど重要なものです。

アカウント運用の3つの型

アカウント運用には、「ブランドアカウント」「メディアブランドアカウント」「ブランドMixアカウント」という3つの型があります。

ブランドアカウントの運用

ブランドアカウントの運用は、ブランドのリーチを投稿し、世界観のブランディングとホームページ的な役割として運用するケースです。メリットとしては、ブランドの世界観を統一し、商品の理解促進やファン化したフォロワーに対してCRM的な役割を果たす点です。一方、デメリットとしては、投稿自体にエンゲージメントが付きづらく、ファン以外には届きづらいことです。そのため、基本的には広告や第三者の口コミを活用してリーチを広げる必要があります。

メディアブランドアカウント

メディアブランドアカウントの運用は、アルゴリズムに則した形で情報型のコンテンツ発信を中心に行います。消費者にとって有益なコンテンツを提供できるため、投稿にエンゲージメントが付きやすく、リーチやフォロワーの増加が期待できます。

しかし、デメリットとしては、運用工数がブランドアカウントと比較して多くなる点や、ブランドのファンだけでなく、興味が浅いフォロワーも増えてしまう点が挙げられます。

ブランドMixアカウント

ブランドMixアカウントは、ブランドとメディアブランドのハイブリッド型のアカウント運用です。ブランディングの投稿を行いながら、メディア型のコンテンツも配信することで、2つのアカウントの良いところを1つのアカウントで実現できます。弊社では「メディアアカウントとブランドアカウントを分けて、2アカウントで運用しましょう」と提案することもありますが、ブランドサービスによっては、こういった運用方法も選択肢に入ると思います。

プレゼントキャンペーンを活用した方がいいか悪いか

プレキャンを利用した方がいい場合

プレゼントキャンペーン(プレキャン)を活用した方が良いのは、フォロワー数が多いことで売上げの最大化に繋がる要因がある場合です。例えば、ドン・キホーテのような量販店など、さまざまな場所に商品を卸し、広く展開したい場合、フォロワー数が多いことで良い棚が確保できるなど、実店舗に出店する際にプラスに働くケースがあります。

また、コンテンツマーケティングを一切考えておらず、第三者であるインフルエンサーの投稿などでリーチを伸ばしていきたい場合、フォロワー数が少ないより多い方が有利です。インフルエンサーの投稿を見て新たにアカウントを訪れるお客様は、たとえ見せかけのフォロワーであってもフォロワー数が多いことで信頼感が増します。そのため、プレキャンを活用してフォロワーを増やしていくことも戦略的に有効な場合があります。

プレキャンを利用しない方がいい場合

プレキャンを活用しない方が良いのは、コンテンツマーケティングを考えている場合です。情報型の発信でエンゲージメントを獲得していくパターンや、世界観・ブランディングが必要な商材の場合、プレキャンを実施するとチープに見えてしまうことがあるため、あまりおすすめしません。

運用の指標

フェーズごとに有効な施策は全く異なります。そのため、トリプルメディアを融合して施策を行うことが重要です。アカウント運用でも、フィード投稿、ストーリーズ投稿、リール投稿など、さまざまな形式があります。さらに、ライブ配信なども含め、それぞれ効果が異なります。

インフルエンサーも有名な方からマイクロインフルエンサーまで、またはギフティングではより一般人に近い方に投稿してもらうかによっても効果は異なります。広告もブランドからの広告か第三者のアカウントからの広告かによって、全く効果が変わってきます。

CVタイプの把握

実際に、サービスやブランドにコンバージョンする人のタイプは様々です。広告でコンバージョンする人もいれば、「私は広告は絶対信用しない、コンバージョンしません」という人もいます。また、口コミを見た後に広告を見てコンバージョンする人もいます。そのため、すべての施策を統合して実施する必要があります。

顧客動線に合わせた指標設計

顧客動線に合わせた指標設計もおすすめしています。「認知」「興味・関心」「比較・検討」「購入」「リピート」「レコメンド」という購買行動がありますので、ぜひ参考にしてください。

SNSは間接貢献が非常に多い

SNSは間接貢献が非常に多いため、直接成果だけで評価するのはもったいないです。ホットリンクの調査によると、Instagramをきっかけに商品を購入した方のうち、最も多かった購入経路は、後日外部サイトで検索し、ECサイトなどで購入するというものです。このようなケースでは、Googleなどで検索して最終的に購入に至るため、GA4(Googleアナリティクス4)などで見た場合、Googleが評価ポイントとなり、Instagramは貢献していないように見えてしまいます。しかし、実際にはInstagramでその商品を知り、興味を持った結果としてGoogleでコンバージョンが発生しているため、「実はInstagramが貢献している」ということも多々あります。

フェーズごとの発信の効果

フェーズごとの発信効果に関して、Instagram公式が発信している情報によると、ブランド自身の発信は新しい商品やサービスを見つける際に効果があります。しかし、詳細を調べて比較・検討する購入意思決定に関しては、第三者のコンテンツが有効であることが分かっています。

Instagramの売上げへの貢献

Instagramの広告を見てアカウントにアクセスし、コンバージョンする人もいれば、アカウントの投稿を見ただけで購入する人もいます。また、広告を見てリアル店舗で情報を確認し、さらに詳しく知りたくなってGoogleで「〇〇ブランド 口コミ」と検索してから購入する人もいます。

例えば、ECモールを運営している化粧品会社では、楽天を見てAmazonの口コミを確認し、最終的に直販サイトで購入する人もいれば、その逆で直販サイトで見た後に楽天でセールを確認して購入する人もいます。本当に多種多様なパターンがあり一括りにはできないため、様々な施策を投じながら全体で売上に貢献を見ていく必要があります。

CVを取るための施策

アカウント運用はやることがたくさんありますが、やはり、施策が重要です。フックを作らないとなかなかサービスやブランドはコンバージョンしにくいと思います。上の画像はコンバージョンするための理由作りですが、そういったものをぜひ施策の中に取り入れてみてください。

ブランド型の施策

ブランド型の施策は広告でまかないます。参考として挙げているものは、ブランディングを行い、この商品がどんな商品で何があるのか全然わからない状態になっていますが、広告では「1食無料でもらえるよ」という表示がされており、これがいわゆる買う理由になっています。

SNSを活用したO2O施策

リアル店舗もある企業はぜひ、O2O施策を活用してください。「オンライン to オンライン」「オフライン to オンライン」のどちらも、例えば「レビュー投稿してくれたら、次回使える割引クーポンをプレゼント」や、「Instagramをフォローしてくれたら、サンプルをプレゼント」といった施策です。ぜひ、こういった施策を活用してみてください。

Instagram上で見るべき指標

ビジネスやサービスによって異なるので、共通して多い指標を挙げます。1つ目が口コミの数です。口コミ数が増えれば増えるほど、指名検索が相関して上がり、売上げが上がることが分かっています。やはり一番重要なのは口コミ数です。2つ目がトータルリーチ数です。ブランドのアカウントからのリーチ、第三者からのリーチ、広告からのリーチなど、すべてのリーチを含みます。そして3つ目がWEBサイトのセッション数です。

Instagram外で見るべき指標

定性調査も非常に重要です。定性調査による認知率や購買への寄与、指名検索数の前後比較、サービス全体としてのコンバージョン数の増加、サイト全体のセッション数とCVRの前後比較をぜひ行いましょう。

Instagram内だけでKGI/KPI策定はやめよう

Instagram施策の直接効果だけで評価するのは危険です。あくまでも自分ごと化の促進なので、実際に定性調査や顧客アンケートが必要です。花王の事例を見ると、消費者アンケートの結果、店頭での情報に次いでInstagramが全年代の購入に寄与したことが分かりました。リアル店舗の次にInstagramが商品を知ってもらうきっかけになっていることが分かったため、同社はさらにInstagramに注力しています。

幻冬舎より書籍出版

幻冬舎から、「99%の経営者が知らない中小企業のための正しいSNSマーケティング」というタイトルの書籍を出版しました。ジュンク堂書店(池袋店)では、第一位を獲得しています。昨年出版した本ですが、今読んでも参考になります。SNS関連の書籍は、出版してから時間が経つと使い物にならないことがよくありますが、この書籍に関しては、本質の部分をメインで扱っているので、内容が色あせていません。ぜひご一読ください。

今回はInstagramを中心にお話ししてきましたが、XやYouTube、LINE、TikTokなどショート動画やSNSマーケティングでお悩みがあれば、ぜひTaTapにご相談ください。

【実績】

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