SNSマーケティングの間違った認識
- SNSマーケティングには多くの間違った認識がある
- フォロワー数を増やすための施策ばかりが優先されてしまうことが多い
- SNSは「エンゲージメントファースト」
- SNSからの直接売上は1割未満
- 直接売上以外の波及効果を見ていくことが重要
- 支援会社と自社が協力し合いながらSNS運用を行うことが大切
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今回はSNSマーケティングに関する間違った認識についてのお話しです。SNSマーケティングが上手くいかないとお悩みの企業の方は、ぜひ参考にしてください。
SNSマーケティングに関しては、かなり多くの間違った認識があります。今回は具体的によくある3つの間違いを挙げて、ひとつずつ解説します。
①フォロワー数が指標になっている
現在のSNSのアルゴリズムでは、フォロワーがどれだけ増えても、それが売上げと直接的な相関関係を持つことはほとんどありません。フォロワー数の増加を重視している場合、フォロワー数を増やすための施策ばかりが優先されてしまうことが多いです。例えば、プレゼントキャンペーンを実施すると、そのキャンペーンに参加する懸賞アカウントのフォロワーが増えるだけです。しかし、懸賞アカウントのフォロワーは、実際に自社の商品を購入してくれる顧客ではなく、プレゼントキャンペーン以外の投稿にはほとんど興味を示しません。
SNSのアルゴリズムは、「フォロワーファースト」から「エンゲージメントファースト」へと大きく変化しています。そのため、現在ではコンテンツに対してどれだけエンゲージメントがあるかが重要視されるようになっています。エンゲージメントとは、ユーザーが投稿に対してどれだけ関与し、反応するかという指標です。例えば、投稿に対する「いいね」やコメント、シェアの数、滞在時間などが含まれます。エンゲージメントが高いほど、ユーザーがそのコンテンツに興味を持ち、積極的に関与していることを示します。
したがって、フォロワー数が指標となっている場合、それは間違った認識であり、正しい評価基準とは言えません。単にフォロワー数が多いだけではなく、そのフォロワーがどれだけ積極的に関与しているかが重要です。エンゲージメントを重視することで、実際に興味を持ってくれるフォロワーとの関係を深めることができ、結果として売上げやブランド価値の向上につながるのです。フォロワー数を増やすこと自体は簡単ですが、真に価値のあるエンゲージメントを獲得するためには、質の高いコンテンツを提供し続けることが求められます。
このように、SNS運用においては、フォロワー数の増加に固執するのではなく、エンゲージメントの向上を目指すことが重要です。エンゲージメントが高まることで、フォロワーとの関係が深まり、結果としてブランドへの信頼度や忠誠度が向上するのです。
②直接的な売上げを見る見当違いな指標
企業がSNSを運用する際に、直接的な売上げを追求してしまうことがよくあります。しかし、これは大きな誤解の一つです。弊社の調査結果や他社の調査結果も同様に示していますが、SNSのアカウント運用やインフルエンサーマーケティングによる直接売上は全体のわずか1割未満に過ぎません。具体的に言うと、弊社のアンケート結果では、その割合はわずか4.9%に留まっています。これは、SNSが本来の目的として「起点」や「中間接着剤」の役割を果たしているからです。SNSを見たユーザーがその場ですぐに商品を購入することは非常に少ないため、SNSの直接的な売上効果のみで評価するのは適切ではありません。
さらに言えば、SNSはユーザーとの関係構築やブランド認知度の向上に大きな役割を果たしています。ユーザーがSNSで商品やブランドに触れることで、後々の購買行動に繋がる可能性が高くなります。また、SNSを通じて提供される情報やエンターテインメントが、ユーザーの興味を引き続けることで、ブランドへの信頼感や好感度が高まります。このように、SNSは直接的な売上げを生むだけでなく、長期的なブランド価値の向上にも寄与しているのです。
よって、SNS運用においては、直接的な売上げだけでなく、ユーザーとのエンゲージメントやブランド認知度の向上など、多面的な効果を考慮することが重要です。SNSは一度きりの売上げを狙うのではなく、継続的な関係性を築くためのプラットフォームとして活用すべきです。
③支援会社への丸投げ
SNSについてよく分からないからとりあえず支援会社にお願いしてしまうというケースが多く見られます。このような場合、支援会社ではSNS内の分かりやすい指標で評価を行うことが一般的です。しかし、先述した通り、SNSからの直接売上は全体の1割にも満たないため、SNSの効果を正しく評価するためには、直接売上以外の波及効果を見ていくことが重要です。
例えば、SNSを通じてブランドや商品について興味を持ったユーザーが、その後に行う指名検索の表示回数や、実際に店舗を訪れた際のヒアリング結果など、SNS以外の指標も重要です。これらの指標を通じて、SNSがどのように購買行動に影響を与えているのかを把握することができます。また、SNSは顧客とのコミュニケーションの場としても非常に重要です。顧客からのフィードバックや質問に対して迅速かつ丁寧に対応することで、信頼関係を築き、ブランドのイメージを向上させることができます。
しかし、この重要な顧客とのコミュニケーションを支援会社に丸投げすることはできません。支援会社に依頼する部分と、自社で対応すべき部分を明確に区別し、それぞれの役割をしっかりと理解することが必要です。例えば、戦略的な部分やデータ分析などの専門的な作業は支援会社に任せつつ、顧客対応や日々のコンテンツ作成は自社で行うなど、役割分担を明確にして協力していくことが大切です。
このようにして、支援会社と自社が協力し合いながらSNS運用を行うことで、SNSの効果を最大限に引き出し、長期的なブランド価値の向上や顧客との良好な関係を築くことができるのです。
まとめ
SNSは直接的にコンバージョンを狙うものではなく、顧客とコミュニケーションを取り、エンゲージメントを高め、次回商品を購入してもらえる確率を上げるためのものであると認識することが大切です。SNSの本質は、顧客との関係性を築き、信頼を得ることにあります。したがって、単に売上を伸ばすことだけを目的とするのではなく、顧客との絆を深めることに重点を置く必要があります。
このことを意識した上で、コンテンツを作成していきましょう。例えば、顧客が興味を持ちそうな情報や役立つ知識、または楽しいエンターテインメントなど、さまざまな角度からアプローチすることで、顧客との接点を増やし、エンゲージメントを高めることができます。また、顧客の声に耳を傾け、彼らのニーズや要望を反映したコンテンツを提供することで、より一層の信頼を築くことができるでしょう。
SNSを活用する際には、常に顧客とのコミュニケーションを大切にし、エンゲージメントを高めることを念頭に置くことが成功への鍵です。また、SNSに関する誤った認識がある場合には、早めに修正し、正しい方向へ進むことが重要です。
プロフィール
富田竜介:株式会社TaTap代表
企業様向けSNSアカウント運用代行/コンサルティング/社内化支援/社内研修承ります。
著書:「99%の経営者は知らない中小企業のための正しい SNSマーケティング」