10ヶ月でInstagramフォロワー数1万人を達成するまでの「しんどい」道のりを、ウィルオブ社はなぜ乗り越えられたのか
Point
この実績のポイント
- 初期に質の高いフォロワーの獲得
- フェーズごとの適切な施策実施
- 同じ目線でゴールに向かえたこと
求人サイト「WILLOF(ウィルオブ)」の運営をはじめ、人材派遣、人材紹介事業を展開する株式会社ウィルオブ・ワーク。マーケティング戦略としてオウンドメディア施策に力を入れている同社では、さらなる事業成長のためにInstagramアカウントの運用を決定し、弊社のSNSコンサルティングにてご支援させていただきました。
今回はウィルオブ・ワークのマーケティング本部マネージャーの野崎さまと、実際のInstagramアカウントの運用を担当した浅田さまにお話を伺い、これまでの取り組みを振り返りました。
オウンドメディア編集長が考える、Instagramを運用するメリットとは
富田:今回のお取り組みでは、貴社のInstagramマーケティングのご支援をさせていただきました。そもそもInstagramというSNSに対して、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
野崎:ユーザーが欲しい情報や見たい写真を、ユーザー自身は何も考えなくても、インプットできるメディアであると思っています。普段私はオウンドメディアの運用に携わっていますが、ユーザーが私たちのオウンドメディアの記事にたどり着くためには、検索エンジンに知りたいキーワードを入力して、検索結果の中から必要そうなWebサイトを選んでクリックする必要があります。
その一方でInstagramは、スマートフォンでアプリを開いてしまえばショート動画や「発見」タブからユーザーにとって知りたい情報がどんどん表示されるため、何もしなくても情報収集ができる、とても便利なイメージです。
富田:まさしくイメージ通りで、特に若い世代が情報取得にWebだけでなく、Instagramを活用するようになったのは、自分から情報をわざわざ取りに行くよりもInstagramのアルゴリズムで知りたい情報を提示されるほうが楽だから、という背景があると思います。
改めて、貴社ではどのようなきっかけからInstagramの運用を検討し始めたのでしょうか。
野崎:そもそもSNSアカウントの運用は、私たちマーケティング本部メディアグループの管掌業務ではありませんでした。私たちの部署は、オウンドメディアを運営しておりまして、Web検索というタッチポイントからターゲットにアプローチし、求人メディアへの会員登録を増やしていくことが大まかなミッションです。
おかげさまでここ数年、オウンドメディアは右肩上がりに成長することができまして、このタイミングで改めてターゲットとカスタマージャーニーを見直し、新たにコミュニケーションを設計することになりました。
その一環でグループ内から「私たちのターゲットの中でも特に若い世代はWeb検索以外にも情報収集をしているのではないか」「Web検索をするターゲットは比較検討まで進んでいるが、もっと手前、つまり課題を認知するフェーズのターゲットにもアプローチすべき」という意見が上がり、攻めの一手として2022年12月頃からSNSでもメディア運営を仕掛けることになったのです。
企業のSNS運用の課題は、継続性とアルゴリズムの理解
富田:これまで本格的なInstagramアカウントの運用経験はなかったとのことでした。お取り組み以前、Instagramアカウントを企業が運用することに、どのような難しさを感じていましたか?
野崎:最も難しいのは、継続性だと思います。オウンドメディアと違い、何が正しい成果なのか、とりあえず目先のフォロワー数は追ってみるものの、結局売上げにはつながっておらず、続けられなくなってしまうケースは多いのではないでしょうか。
浅田:私自身、Instagramのユーザーとして日頃からよく投稿をみたり、情報を探したりと、ターゲット層に近い年代だったこともあってInstagramの運用担当になりました。そこで感じた難しさは、Instagramのアルゴリズムが理解できず、どうすれば自分たちの投稿がターゲットに届くのか、見てもらえるのかが分からないことです。
富田:お客さまが自社のみで運用するInstagramアカウント内だけで分析しようとしても、Instagram全体のアルゴリズムまでを理解するのはかなり難しいと思います。たとえばいきなりインプレッションが跳ねたとしても、それがInstagram全体の変化なのか、それとも自分たちのアカウントだけの偶然なのか、判断するのは至難の業でしょう。
その他に、オウンドメディア運営と比べて、どのような難しさがあると感じていますか?
野崎:コンテンツSEOのノウハウやメソッドは、世の中にパッケージ化されたものがたくさんあります。検索エンジンが生まれてからずっと研究されてきた、いわゆる試行錯誤の積み重ねがWeb上にあふれています。
しかしSNSの場合、SNSごとにノウハウやメソッドがバラバラであること、そもそもSNSはすぐに結果がでるメディアではないので成功例がコンテンツSEOほど積み重ねられていないという違いがあります。
こうした難しさや不安を、オウンドメディア運用を支援いただいていた企業にご相談したところ、株式会社TaTapさんをご紹介いただきました。
施策単位の「点」ではなく、事業貢献の「線」の提案だったことを高く評価
富田:Instagramの運用コンサルティングをご依頼いただくにあたって、他社サービスとの比較検討は実施しましたか?
野崎:まずは代表の富田さんとお話してから、他社サービスと比較検討をするつもりでした。しかし初めてのお打ち合わせで、私たちと見ている方向、つまりゴールが一緒だなと感じ、そのまま正式にご依頼することを決定しました。
お打ち合わせで印象的だったのが、「Instagramアカウントの運用」という「点」で施策を見ていないことでした。フォロワー数の伸ばし方やキャンペーンのテクニックなどの小手先ではなく、より本質的な事業へ貢献するためにInstagramアカウントをどう運用すればよいかといった「線」のお話だったのです。
チームとして、会社としての目的を見失わず、経営視点から落とし込んでInstagramのアカウント運用に取り組んでいただけると感じ、私たちも余計な指示を出さずともご一緒できると確信しました。 また、弊社が扱う人材紹介というサービスは無形商材のため、個人インフルエンサーのように発信する物理的な商品や対象はありません。弊社のような無形商材を扱う企業でもInstagramを運用できるという過去の実績や世の中の事例をご紹介いただけたことも決め手となりました。
毎日の投稿、すべての新規フォロワーにDM。地道な努力を積み重ねる運用
富田:お取り組み当初にお伝えした通り、Instagramアカウントがグロースするフェーズは大きく3つあります。
- 0 〜 1,000 フォロワー:立ち上げ期・濃いファン集め
- 1,000 〜 4,000 フォロワー:踏ん張り期・検索ハック
- 4,000 〜 10,000 フォロワー:発見無双・発見タブハック
最初の立ち上げ期に弊社からのコンサルティングで印象に残っているものはありますか?
浅田:まず、理想のイメージに近い50のアカウントをベンチマークにし、そのInstagramアカウントで伸びている投稿を3つずつ、つまり合計150投稿をピックアップしました。その150投稿を参考にして自分たちのInstagramアカウント用の投稿を作成し、毎日欠かさず投稿し続けることが、特に大変でしたね……。
それだけではネタが足りないので、オウンドメディアで作成した記事からフォロワーにとって有益そうな内容を抜き出し、投稿を作成するといった工夫もしています。投稿用の画像作成のコツやトレンドは、富田さんにアドバイスをいただきながら私が毎日作成していました。
富田:毎日投稿を続けるのは本当に大変でしたよね。特に立ち上げ期は毎日投稿してもインプレッション数やフォロワー数がなかなか伸びないので、モチベーション維持も大変だったと思います。その他に印象に残っているアクションには何がありますか?
浅田:フォローしていただいたアカウントへのお礼DMの送信も、毎日欠かさずに実施しました。これも正直なところ、かなりしんどかったですね……。業務の合間にスキマ時間があれば、すぐにInstagramアカウントにログインして、新規フォロワーがいないかを確認し、新規フォロワーには「フォローしていただき、ありがとうございます。これからも投稿を見ていただけると嬉しいです」とDMしていました。
富田:Instagramの仕様で、フォロワー以外へのDMは1日10件までと決められているのですが、フォロワーに対しては何通でもDMを送ることができます。この新規フォロワーへのDMは、フォロワーからのエンゲージメントを向上させる、とても有効なアクションなのです。プレゼントキャンペーンで一気にフォロワー数を獲得するよりも、地道に濃いファンを集めていくことが中長期的な目線で大事なことだと考えています。実際、「@willof_style」のInstagramアカウントを見てみると、とても高いエンゲージメント率を維持しており、ストーリーズの閲覧率も高くなっているので、確実に有効な施策だったと思います。
野崎:マネージャーとして浅田がInstagramアカウントを毎日運用している姿をみて、確かに大変そうではありましたが、一方で楽しんで運用できていたとも感じています。週に1回の面談でも、フォロワーからの反応があった時や伸びた投稿を報告する時は嬉しそうでしたね。 私自身もオウンドメディア運用でなかなか伸びない時期を経験していたので「今は我慢のときだよ」と励まし続けていました。
およそ10ヶ月でフォロワー数1万人を達成!グループ会社からSNS運用の相談も
富田:お取り組みを始めた2022年12月から1年弱が経ちました。毎日の投稿やDM送付は大変だったと思います。今回の取り組みを通じて、どのような成果を得ることができましたか?
浅田:やはり最も印象に残っている成果は、フォロワー数が1万人を超えたことです。運用を始めて10ヶ月と少しが経った2023年11月に達成し、その直前の1ヶ月だけで5,000フォロワーも増えました。毎日投稿を続けてきた努力が報われたな、という感じでしたね。富田さんには最低でも1年はかかるとお聞きしていたので、想定よりも早く達成できました。
富田:浅田さんが最近力を入れているストーリーズ投稿が、フォロワー数増加の後押しになりましたね。一般的な企業のInstagramアカウントは、炎上に過敏になりすぎて真面目な投稿しかしませんが、「@willof_style」の場合はストーリーズに浅田さんのランチやオフィス風景が投稿されており、とても人間味が出ていて良いですよね。
そうした工夫もあってか、私たちタタップがご支援している企業系Instagramアカウントの中で最もエンゲージメント率が高いアカウントに成長しています。
社内からは、どのような評価を受けていますか?
野崎:1年もかからずにフォロワー数が1万人を達成したことは、本部長が社内に発信してくれたこともあり、経営層に伝わったと聞いています。
また、SNS運用に興味があるグループ会社の代表がわざわざ浅田に話を聞きに来たこともありましたね。グループ会社内にいくつか運用されているInstagramアカウントがあるそうなので、今後グループ内の担当者に向けた勉強会を浅田が実施する予定もあります。
富田:立ち上げ期当初は週一の頻度で定例を実施し、オンラインでInstagramアカウント運用をコンサルティングさせていただきました。改めて、弊社サービスに対する評価をお聞かせください。
野崎:甘やかしは一切ありませんでしたね(笑)。広告運用とは違い、すぐに成果が出るような取り組みではないことは理解していましたが、折れずに継続してこられたのは、私たちと同じ考えと目線を持って、厳しく伴走いただけたからだと実感しています。
ファンを集めるフェーズをクリアし、次はマネタイズへ
富田:お話をお伺いした本日で、1万フォロワーを達成してからちょうど3ヶ月になりますが、加速度的に成長してすでに1万7,000フォロワーとなっています。改めて、今回の取り組みを受けての今後の展望をお聞かせください。
浅田:1万フォロワーを達成したタイミングで、新たにLINE運用も始めることになりました。Instagramアカウントだけでは集客につなげることは難しいのですが、LINE運用と組み合わせることで、事業への貢献につなげるという狙いがあります。ファンを集めるフェーズをクリアすることができたので、次はマネタイズにつなげるフェーズです。
富田:最後にInstagramの企業アカウント運用を検討している方へ、アドバイスやメッセージをお願いします。
野崎:SNS運用はすぐに結果が出るものではないことを、現場の担当者だけでなくマネージャーや事業責任者がよく理解していないと、とてもしんどい施策になってしまいます。そして、すぐに結果がでないからやらなくていい施策ではないことも、同じく理解してもらう必要があります。
SNS運用をただしんどいだけの施策にしないためにも、いかにしんどい中で工夫していくか、単なる施策ではなく、マーケティング全体を俯瞰して戦略的に活用する視点をお持ちのタタップ社に、まずは相談してみてはいかがでしょうか?