D2Cや単品通販の薬事のラストワンマイルを解決するLegalX社とは? ステマ事情も解説
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今回は、薬事専門コンサルティング会社「LegalX」を運営する関山さんに、「薬事のラストワンマイル」を解決するための同社の取り組みについてお話を伺います。併せて、ステマ(ステルスマーケティング)事情や景品表示法、特定商取引法の法改正についてもお聞きします。
「薬事のラストワンマイル」を解決するLegalX
富田:今回は関山さんにお越しいただきました。どうぞよろしくお願いします。
関山:よろしくお願いします。
富田:簡単に自己紹介からお願いします。
関山:株式会社LegalX(リーガルエックス)の関山と申します。元々、キャリアとしては健康食品や化粧品を販売するDtoCメーカーに新卒で入社し、商品開発やブランドマネージメントなどを担当していました。
そこで商品を作る過程で、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)や景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法、以下「景表法」と記述)の厳しい規制に直面しました。これをきっかけに独学でこれらの法律について学び始め、フリーランスとして薬事コンサルティングに特化した活動を始めました。
約2年間フリーランスとして活動した後、現在の株式会社LegalXを立ち上げるに至りました。
規制強化の事例と改正景表法
富田:昨年ぐらいから、ステマ(ステルスマーケティング)規制などに企業がかなり苦しんでいる状況です。それについての御社の実績や取り組まれていることについて教えてください。
関山:最近、ステマ規制など様々な景表法違反や特定商取引法(特定商取引に関する法律、以下「特商法」と記述)違反の行政処分事例が増えています。
ここでは、直近の事例と2024年中に施工予定の改正景表法についてお話しします。
関山:上記の図表に挙げているものは、ほんの一部に過ぎません。様々な商品に対して行政処分が下されており、例えば、ペット用アイケアサプリに対して景表法違反で措置命令が出された事例があります。また、2023年における最大の事件とされているのが、さくらフォレスト社の機能性表示食品に対する景表法違反の措置命令です。類似のエビデンスを利用していた88の届け出がすべて取り消しになりました。
さらに、2023年10月1日からはステマ規制の施行が始まり、弊社でもこの件に関して多くのご相談を受けています。同年10月31日には、糖質カット炊飯器販売事業者が景表法違反で措置命令を受けるなど、事業者としては景表法や薬機法を含む様々な規制に対する準備が必要です。
2024年11月までに改正景表法の施行が予定されており、そこには確約手続や直罰規定が盛り込まれているため、事業者はさらに注意を払う必要があります。
『確約手続』『直罰規定』とは?
富田:『確約手続』『直罰規定』とは、どのようなものですか?
関山:確約手続は、第三の行政処分とされています。これまで、何か問題が発生した場合には、『公表される行政指導』『公表されない行政指導』の2種類がありました。
確約手続では、再発防止の計画を提出して認可されれば、行政指導や措置命令を受けることはありませんが、公表されます。
事業者にとってインセンティブがあるかどうかは不明ですが、行政処分は回避できるものの公表されるため、この手続きがどのように運用されるかはまだよく分かっていません。
関山:直罰規定(違法行為に対して即時適用される罰則)とは、サービスに関して嘘をつく「優良誤認表示」や、価格やオファーに関して嘘をつく「有利誤認表示」を行った場合、行政処分を経ずに直接100万円以下の罰金が科される制度です。
この規定は事業者のみならず、共犯関係にある代理店や調査会社まで対象が広がると言われています。この直罰規定がどのように活用されていくのかに注目していきたいと考えています。
富田:今後、規制は一段と厳しくなって行くのでしょうか?
関山:すでにかなり厳しくなっています。事業者としても様々な法律やガイドラインが改正されているので、追いつけていない状況です。
富田:そういった経緯があって、関山さんのような専門業者が企業にサポートで入っているんですね。
薬事コンサルティング会社の事業内容
関山:弊社の事業内容である薬事コンサルタントとは、広告表現に対して薬機法や景表法の観点でチェックを行い、代替表現を提案することを主な業務としています。
具体的には、顧客ごとに様々な悩みがあり、「広告表現にどの程度のリスクが伴うかわからない」「取り扱っている商品数が多く、それぞれの規制やガイドラインを把握できていない」「薬機法の知識がなく、適切な言い換えがわからない」「NG表現は認識しているが、言い換えることで訴求力が弱まるため、適切な表現が見つからない」などの問題に対してサポートを行っています。
対応カテゴリとしては、医薬品や医薬部外品、化粧品、健康食品、機能性表示食品、雑貨など、幅広い商品を取り扱っています。
富田:特に薬機法の知識がないために適切な言い換えが分からず、法を順守するあまりにCVR(コンバージョン率)が下がってしまう企業も多いです。できるだけ良い塩梅で表現を工夫することで、獲得率が向上するのではないでしょうか。
関山:私は元々メーカーにいたため、メーカー側として何がダメなのかは理解しています。しかし、提案されたものや画一的な言い換え表現を使うと、他社と同じような表現になり差別化が難しくなります。
弊社では、各社の商品に合わせて、「こういった言い換えが良いのではないでしょうか」といった個別具体的な提案を行っています。
薬事コンサルティング会社と弁護士、AIチェックツールとの違い
関山:次に、薬事コンサルティング会社と弁護士、AIチェックツールとの違いを述べます。
①薬事コンサルティング会社
戦略的なアドバイスはもちろん、実務面でのサポートを主に行います。
②弁護士
薬事コンサルティング会社と同様のサービスを行いますが、どちらかというと法的なアドバイスや新法の解釈、裁判時の代理人的役割が大きいです。
③AIチェックツール
あらかじめ学習で得たワードに関してアラートを鳴らすもので、自動化されたコンプライアンスチェックを行います。
様々な会社が存在するため、柔軟性とカスタマイズ性が非常に重要です。
例えば、最初は広告サイトの薬事チェックのみを依頼されたものの、新商品を発売する際に法律が関わってくるため、商品開発のミーティングから参加して欲しいというニーズが出てくることがあります。
また、代理店の場合、クライアントに提案したい表現があるものの、どのように材料を集めれば良いかわからないということもあります。こうした個別のニーズに応じて調整できる点が、コンサルティング会社の強みです。
コストに関しても、弁護士に依頼するより割安です。広範な薬事関連の問題に対して、迅速に対応できる点がアピールポイントです。
富田:弁護士は守備力を高めることは得意ですが、コンサルティング会社のように言い換え表現を用いて攻撃力を高める運用は難しいと思います。
その点、関山さんは元々メーカーにいらっしゃったため、そこで培った知見を基にサポートできることが非常に強みだと思います。
LegalX社の契約体系
関山:弊社では3つの契約体系をご用意しています。
①コンサルティング契約
実務とミーティングで薬事相談したい人向けで、月額15万円からです。継続的にクライアントに深く関与し、表現提案からリスクマネージメントまで幅広くサポートします。
②アドバイザリー契約
意外と多いのが、この契約体系です。実務を依頼する必要はないが、セカンドオピニオン的な第三者の意見が聞きたいといったご要望です。社内に法務部があり、ある程度の判断はできるが、他社の事例や実際には表に出てこない行政事例など専門的な知見について、ミーティングなどで定期的にアドバイスする、実務ではなく助言に重点を置いた契約です。
③スポット契約
単発でのスポット契約もありますので、ご相談ください。
富田:アドバイザリー契約から始めて、コンサルティング契約にプラン変更なさるお客様も多いのではないでしょうか?
関山:そうですね。まずスポット契約でご依頼いただき、その後継続的にご依頼が発生することがあります。そういった場合には、コンサルティング契約にプランを変更していただくこともあります。
逆に、どのような契約であれ、弊社が薬事表現の代替案を提示しながら、担当者や依頼主に知見が溜まっていくと、実務を弊社に任せる必要がなくなってきます。その際には、定期的に専門的なアドバイスが欲しいというニーズに応じて、コンサルティング契約からアドバイザリー契約へのプラン変更も可能です。
富田:先ほどお話しいただいた通り、柔軟にカスタマイズして、お客様に合わせた支援をしているということですね。
関山:はい、その通りです。
関山:スポット契約の場合は前払い制です。メールやチャットで原稿をお送りいただいたのちに弊社が見積りさせていただきます。多くの場合、最短即日から1営業日後にチェック及びリライト案をお返しします。
また、コンサルティング契約の場合は月額です。原稿をお送りいただければ、すぐにリライト案をお返しします。
すべて即納を目指しているため、最短即日から1営業日後を目途にリライト案をお返ししています。
富田:この辺りは、ECやDtoCをなさっている方も悩んでいて相談したい方がたくさんいらっしゃると思います。まだまだ依頼を受けられるリソースはありますか?
関山:はい。基本的には私と業務委託のパートナーがおりますので、リソースは空いています。
ぜひ、お問い合わせください。
富田:本日はLegalXさんの会社の取り組みについてお話しいただきました。ありがとうございました。
プロフィール
富田竜介:株式会社TaTap代表
企業様向けSNSアカウント運用代行/コンサルティング/社内化支援/社内研修承ります。
著書:「99%の経営者は知らない中小企業のための正しい SNSマーケティング」