Xアカウント運用大全、企業のブランド担当者向け
- Xの月間利用者数が6,700万人を突破
- Xは利用者の滞在時間が長い
- 一般人など身近に感じられる人の投稿を参考にしている人が多い
- 自社発信の投稿に留まらずUGCを増やしていくことも重要
- Xを上手く活用しているアカウントには共通点がある
- Xの運用は3ステップで
読了目安:約分
今回は『Xブランド企業大全』と題して、Xのアカウントについて、企業がどのように運用していけばよいのかを詳しく説明していきます。
Xの現況
X(旧Twitter)の利用者数は、最近、著しく増加しています。全SNSプラットフォーム中第3位の利用者数です。具体的には、前年比で5.3%増加しており、現在の月間利用者数は6,700万人に達しています。この数値は非常に高く、同じく人気のあるInstagramの月間利用者数がおよそ7,000万人であることを考えると、Xの利用者数がほぼ同じ規模であることがわかります。
さらに、Xのもう一つの注目すべき特徴は、利用者の滞在時間の長さです。1日の平均滞在時間は43分とされており、これはユーザーが長時間にわたってこのプラットフォームを利用していることを示しています。
Xの情報がきっかけになった商品購入・来店
上の図表は、Xの情報をきっかけに商品購入や来店している人を年代別で表したものです。10~20代は、友人やフォローしている一般人など身近に感じられる人の投稿を参考にしているという答えが最も多く、次いでインフルエンサーが続きます。
一方、30~40代では、友人やフォローしている一般人など身近に感じられる人の投稿を参考にしているという答えが多いものの、企業アカウントの投稿も大きく影響しているという結果が表れています。
幅広い世代で企業アカウントの投稿が参考にされているので、自社発信の投稿に留まらず、UGCを増やしていくことも重要です。
また、商品の購入に迷っているとき、最も参考にしているの誰かという質問では、家族や友人という回答が断トツでトップです。次いで、お店の販売員、専門テーマを持つマイクロインフルエンサー(フォロワー数が100万人を超えるようなインフルエンサー)が続きます。
逆に、おすすめを購入した際に不満を感じる割合では、芸能人やモデル、メガインフルエンサーが投稿した商品を買った場合に不満を感じると答えた人がかなり多いという結果が出ています。
つまり、購買に繋げて売上げを増やすためには、単に有名な人に依頼すれば良いわけではなく、より身近に感じられる人の投稿が重要なのです。
事例紹介
その①FLYMEe
まず初めに、『FLYMEe(フライミー)』という雑貨アカウントの事例から見ていきます。FLYMEeは自社商品をPRするキャンペーン投稿の他、記事メディアに画像を付けてシェアするという運用をしています。つまり、ブランドの世界観を伝えていく運用です。
その②Flying Tiger Japan
次は、同じく雑貨を扱う『Flying Tiger Japan(フライングタイガージャパン)』の事例です。ここでは、先述したFLYMEeよりもう少しコミュニケーションを増やしていく趣向が取り入れられており、投稿にリンクを付けることができるというXの特長を活かして商品の紹介投稿にリンクを付けて、サイト遷移数を増やす手法を取っています。
さらに、顧客が投稿したコンテンツに対して引用ポストを行い、コミュニケーションを図っています。その引用ポストの「いいね」数が伸びて、通常のPR投稿のおよそ10倍のインプレッションが付いているものもあります。
コミュニケーションを1つの接点として増やしていくことは、インプレッションが付くというメリットがある一方で、炎上するリスクも孕んでいます。事前に引用ポストに関するルールをしっかりと取り決めておくことが必要不可欠です。
その③LOWYA
続いて見ていくのは、家具を扱う『LOWYA(ロウヤ)』の事例です。主に自社発信による商品紹介と顧客の投稿に対する引用ポストを活用して、商品の良さをアピールしています。
その④N organic
そして、化粧品ブランド『N organic(エヌオーガニック)』の事例です。ここでは、店舗開催記念と銘打ったプレゼントキャンペーンや、通常の商品・キャンペーン告知を行っています。主にPRを目的としてXを運用しています。
その⑤green spoon
続いてはヘルシーミールの宅食サービス『green spoon(グリーンスプーン)』の事例です。最近はコンビニでも同社の商品を見かけるようになりました。Xでは、ポップアップイベントやキャンペーンの告知などを実施しPR目的で活用しています。
また、実際にgreen spoonを活用したメディアとしての情報発信、レシピの配信を行い、投稿にリンクを付けて、注文画面へ遷移できるような仕組みも取り入れています。
その⑥ニトリ
次は家具やインテリアを取り扱う『ニトリ』の事例を紹介します。ここでは、自社発信による商品紹介の投稿や、顧客が紹介した投稿にコメントを添えた上でURLを付けて引用ポストをしています。その他、「リポスト」「いいね」を使用した拡散企画も実施しており、例えば、2種類の蚊取り線香の商品画像を掲載して「どちらの蚊取り線香が可愛いですか?」と問いかけ、「スイカの場合はリポスト、レモンの場合はいいねを押してね」と回答を募り、それぞれの商品ページに遷移する仕掛けを取り入れています。
その⑦YOLU
最後はシャンプーブランド『YOLU(ヨル)』の事例です。こちらはプレゼントやイベントキャンペーンの告知や、拡散に繋がるコンテンツ配信を実施しており、例えば「あなたにぴったりのYOLUは?ルーレットを回してね」と投稿し、ルーレットを回した人が「私はこれだった」とシェアするように促すなど、フォロワーとのコミュニケーション活性化を狙う工夫を取り入れています。
うまくいっているXアカウントの共通点
成功しているXアカウントの共通点は、大きく3つあります。
①リーチを伸ばそうとするコンテンツがほとんどない
②プレゼントキャンペーンをフォロワーを増加させている
③告知投稿がほとんど
1つ目は、リーチを伸ばそうとするコンテンツがほどんとありません。自社発信による投稿でリーチを伸ばしていくのではなく、その時紹介できる商品の投稿や顧客がUGCとして投稿してくれたものを引用ポストするような、コミュニケーション重視のアカウントが多いことが特徴です。
2つ目は、プレゼントキャンペーンでフォロワーを増加させているアカウントが多いことです。弊社ではInstagramに関して、プレゼントキャンペーンをおすすめしておりません。しかしながら、Xではリポストで拡散できたり、認知拡大にも貢献できるため、場合によっては有効だと思います。
3つ目は、告知投稿がPRや広報的な伸ばし方がほとんどである点が挙げられます。
Xブランド企業大全
今回のまとめとして、3ステップでXの運用をしていただくことをおすすめします。
①ブランドアカウントの構築・設計・運用
②インフルエンサーマーケティング(ギフティング)
③コミュニケーションによるエンゲージメント最大化&ファン化
-余力があれば、第三者配信の広告も効果的です。
初めに、ブランドアカウントの構築・設計・運用を行います。Xに関しては、リーチを取っていくよりも、他の人の投稿とコミュニケーションを取ったり、ギフティングなどでUGCを増やしていくことが優先です。UGCの最大化がXでは非常に重要なので、リーチを増やしていくのではなく、どんなブランドとして発信していくか、ぶれない投稿の軸を作ることが不可欠です。
固定投稿に関しては、最も流入を持ってきたいキャンペーンを固定したり、場合によってはプレゼントキャンペーンを活用して、フォロワーを増やしていくことも有効です。
告知したいことがあれば告知投稿、そうでなければ顧客の投稿を引用ポストして、それに対してリポストしていく運用がおすすめです。
次に、アカウントが作成できたタイミングでインフルエンサーマーケティング(ギフティング)を実施します。ギフティングに関しては、商品原価に送料と人件費のみで予算を抑えつつUGCを増やして行けます。特にXでは、コンテンツが良ければリポストでどんどんリーチが伸びるので、フォロワーが数百人でも数百リーチというケースはよくあります。ぜひ、インフルエンサーマーケティングと併用してギフティングを実施してください。
最後に、コミュニケーションによるエンゲージメントの最大化とファン化です。投稿してくれた人に対して「いいね」や引用ポストを活用し、コミュニケーションを最大化します。重要なのは、自らリーチを取りに行くのではなく、ファンが投稿したUGC(ユーザー生成コンテンツ)に対してコミュニケーションを取ることでリーチを伸ばし、結果的に売上に繋げる運用をすることです。これにより、Xを活用した売上最大化が期待できます。
弊社では、Xのアカウント運用からUGCの生成まで一貫して支援しています。ご興味があれば、ぜひお問い合わせください。
プロフィール
富田竜介:株式会社TaTap代表
企業様向けSNSアカウント運用代行/コンサルティング/社内化支援/社内研修承ります。
著書:「99%の経営者は知らない中小企業のための正しい SNSマーケティング」