企業アカウントInstagram運用、アカウント運用だけでは売上げが上がりづらい理由
- アカウント運用だけでは売上げの増加につながりにくい
- ブランドアカウントは既存フォロワー以外にリーチが届きにくい
- 色々なチャネルを組み合わせてより多くの顧客にリーチしよう
- 口コミの投稿を増やさないと売上げに繋がりにくい
- 「共創」「口コミを発生させる施策」「ファンを作ること」
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今回は多くの企業やブランドが課題として挙げている、Instagramアカウント運用だけでは売上げが上がりづらい理由について分かりやすく解説します。
アカウント運用だけでは売上げが上がらない
Instagramのアカウント運用において、「フォロワーを増やす」「リーチを広げる」という目標がよく話題に上りますが、その運用だけでは売上げの増加につながりにくいというのが実情です。
多くの企業が、Instagramのアカウント運用から直接成果を期待していますが、Instagramのアカウント運用は主に「認知拡大」と「既存顧客とのコミュニケーション」を促進する役割があります。そのため、直接的に売上げを伸ばすのは難しいでしょう。もしも、直接成果を期待しているのならば、成果指標や組織としての貢献の視点を変える必要があるかもしれません。
ブランドアカウントの運用事例
さっそく、アカウント運用だけでは売上げが上がらない理由を解説していきますが、アカウント運用にもいろいろなパターンがあります。
1つ目はよくあるブランドアカウントの運用についてです。ここでは、メイクアップブランド「KATE(ケイト)」の事例を見ていきます。
企業がブランディングの投稿をする場合、そのメリットは多岐にわたります。まず、「ブランドの世界観」を伝えることができる点です。ブランドの独自性や価値観を視覚的に表現することで、フォロワーに対して強い印象を与えることができます。また、「商品性の理解促進」にもつながります。商品の特長や使用方法を詳細に伝えることで、フォロワーが商品について深く理解し、興味を持つようになります。これにより、ファン化したフォロワーに対して、ブランドの投稿を通じて、ブランドをより深く知ってもらい、さらに好きになってもらうという目的を果たすことができます。
しかしながら、デメリットも存在します。投稿自体には「いいね」がついても、「保存」や「滞在時間」を伸ばすことは難しい場合があるのです。Instagramで現在最も重要視されているのは「滞在時間」です。見栄えの良い商品の画像1枚がドン!と表示されるだけでは、ユーザーがその投稿に長く留まることは難しい。結果として、投稿が一時的に注目されても、ユーザーがすぐにスクロールしてしまい、深いエンゲージメントが得られにくいのです。滞在時間が短いと、アルゴリズム的にも不利になり、投稿が他のユーザーのフィードに表示されにくくなります。
そのため、ブランドアカウントの運用においては、フォロワーのエンゲージメントを高めるための工夫が必要です。例えば、複数の画像を使用したカルーセル投稿や、動画コンテンツを活用することなどが効果的です。さらに、ユーザーにコメントやリアクションを促すような投稿内容にすることで、エンゲージメントを高め、フォロワーとのつながりを強化することが重要です。
既存フォロワー以外に対しては、リーチが届きにくく、潜在的なリーチが取りにくいという残念な側面があります。その結果、アカウント運用だけでは売上げが上がりにくい状況に繋がります。
流入の集め方
流入の集め方として、ブランドアカウントはあくまで様々なチャネルに対しての「接着剤」や「最終地点」、つまり、CVR向上(CRMチャネル)として機能しています。したがって、それ以外の流入に関しては、広告を活用したり、UGC(ユーザー生成コンテンツ)といった第三者による投稿からインプレッションを取ることが非常に有効です。
例えば、メイクアップブランド「KATE(ケイト)」は、ドラッグストアの他にも百貨店や商業施設に店舗を構えている場合があります。このような場合、店舗での接点からInstagramへの流入を促すことが可能です。つまり、他のチャネルを活用して流入を取ってくる必要があります。
ブランドアカウントの運用だけに頼らず、他のチャネルを通じて顧客と接点を持つことが重要です。広告を使ってターゲットオーディエンスにアプローチすることや、UGCを通じて第三者の信頼性を借りることは、ブランドの認知度を広げ、潜在的な顧客層にアプローチするための効果的な方法です。
さらに、これらの取り組みによって得られた流入をブランドアカウントに誘導し、その後のフォロワー化やエンゲージメント向上を図ることで、売上げに繋がる可能性が高まります。具体的には、Instagram広告を使ってプロモーションを行い、興味を引いたユーザーをブランドアカウントに誘導したり、インフルエンサーやアンバサダーと協力してブランドの魅力を広めることが効果的です。
このように、ブランドアカウントの運用だけではなく、多岐にわたるチャネルを組み合わせることで、より多くの顧客にリーチし、結果的に売上げを向上させることができるのです
半数以上が「インターネット、つまりGoogleやYahooなどで口コミを調べる」と回答
実際に弊社でInstagramを活用している女性4,000人にアンケートを実施しました。その結果、「Instagramで興味を持った商品があった場合、どのような行動を取りますか?」という質問に対して、半数以上が「インターネット、つまりGoogleやYahooなどで口コミを調べる」と回答しました。また、それ以外の約半数が「Instagram内で口コミを探す」や「とりあえず投稿を保存する」といった回答をしています。この結果から、半数のユーザーがInstagram内で商品や口コミを検索することが分かります。
このような行動パターンから、単純にアカウント運用を行うだけでは、ユーザーが商品に興味を持つだけで終わってしまい、購買決定の要素を口コミで探す傾向が強いことが見て取れます。そのため、口コミの投稿を増やさないと売上げに繋がりにくい状況が生まれることが分かります。
ユーザーが信頼するのは、友人や家族、好きなインフルエンサー
さらに、「商品の信頼性について、誰の情報を信じますか?」という質問に対して、ブランドの公式情報を信頼するユーザーは全体の10%未満しかいませんでした。これは、企業の発信が「良いことばかり言っているだろう」というユーザーの印象を反映しています。ユーザーが信頼するのは、友人や家族、好きなインフルエンサーの投稿です。したがって、口コミの投稿を増やさない限り、Instagram内での売上げを伸ばすことは難しいと言えます。
さらに、「商品を購入する際に参考にする情報源は何ですか?」という質問では、友人や家族、好きなインフルエンサーが情報源として信頼されており、全体の約7~8割を占めています。この結果からも分かるように、ブランドの公式発信よりも、個人の信頼できる情報源が重視される傾向があります。
これらの調査結果を踏まえると、ブランドが売上を伸ばすためには、公式アカウント運用だけではなく、信頼性の高い口コミを増やす取り組みが必要です。
具体的には、以下のような施策が有効です:
- アンバサダーやインフルエンサーとの協力:ブランドの魅力を第三者の視点で発信してもらうことで、信頼性を高める。
- ユーザー生成コンテンツ(UGC)の活用:顧客が自発的に商品について投稿する環境を整え、シェアすることで口コミを増やす。
- コミュニティの構築:ファン同士が交流できる場を提供し、自然発生的な口コミを促す。
これらの施策を組み合わせることで、Instagram内での信頼性を高め、売上に繋げることが可能になります。公式アカウント運用だけではなく、多角的なアプローチを取り入れることで、より効果的にブランドの魅力を伝え、ユーザーの購買意欲を引き出すことが重要です。
メディアアカウント運用のメリットとデメリット
企業がSNSを運用する方法の一つに「メディアアカウント」というものがあります。このメディアアカウントでは、メディアのように情報を配信し、テキストを含む投稿を行います。このような投稿は、「保存」や「滞在時間」といったデータを取得しやすいため、リーチやフォロワーの増加が比較的容易です。しかし、フォロワーが増えるとリーチが伸びにくくなるというデメリットもあります。また、Instagramがアルゴリズムを変更すると、フォロワー数が過剰に増えるとリーチが制限される可能性があるため、口コミ投稿を増やすことが重要です。
さらに、メディアアカウントを運用する場合、企画の立案やコンテンツ制作、フォロワーとのコミュニケーションなど、運用にかかるコストが増加します。また、情報の投稿は自社のブランド発信ではなくなるため、売上げに直結しにくい側面があります。
リーチの質
我々は常に「リーチの質」について考えています。ブランドアカウントのリーチ、広告リーチ、ブランドタイアップ、そして口コミのリーチなどがこれに含まれます。口コミのリーチや口コミを含む広告、パートナーシップ広告など、様々な手段でリーチを拡大しています。しかし、これらの活動だけでは売上を伸ばすのは難しく、ブランドが行うべきことは他にもあります。
ブランドが行うべき3つのこと
一つ目は「共創(きょうそう)」です。二つ目は「口コミを発生させる施策」、そして三つ目は「ファンを作ること」です。ブランドのアカウント運用に加えて、口コミを活発化させることが売上につながる重要な要素だと理解していただきたいです。口コミの増加はブランドの活動において不可欠であり、これによってブランドの知名度や認知度が向上し、売上げも伸びやすくなります。
1.共創 | コラボ投稿
コラボレーションは、InstagramなどのSNSでよく見られる手法です。ブランドアカウントとアンバサダー、またはインフルエンサーとの共同投稿は、ブランドの広告効果だけでなく、口コミ効果も期待できます。このような共同投稿は、エンゲージメントを高めやすく、結果的にフォロワー数や売上げにもプラスの影響を与えるでしょう。まだ試していない企業は、是非この方法を検討してみてください。
2.共創 | パートナーシップ・ブランドタイアップ
共創のもう一つの方法はパートナーシップやブランドタイアップです。広告にブランドタイアップのラベルを付けることで、ブランドのサービスを消費者に明確に伝えることができます。このような共創活動は、ブランドの信頼性や価値を高めるのに役立ちます。
3.ファン作り | アンバサダー
口コミの発生やファン作りに関しては、アンバサダーの活動が重要です。アンバサダーは、ブランドと消費者の架け橋となる存在であり、彼らの活動によってブランドの信頼性や価値が向上します。特に、インフルエンサーや有名人ではなく、本当にブランドを愛し、プロフェッショナルな視点で消費者に情報を提供してくれるアンバサダーは貴重です。
4.ファンづくり | ライブ配信
忘れてならないのが、ライブ配信。ライブ配信を通じて、フォロワーとのコミュニケーションを深め、Instagramのアルゴリズムで重視される滞在時間を増やすことができます。滞在時間が増えると、投稿がより多くのユーザーに表示され、エンゲージメントも高まります。
まとめ
アカウント運用だけでは売上げが上がらないという課題を考慮し、ブランドがどのようにアカウント運用を活用して売上げを伸ばすかについてお話ししました。Instagram運用に関するご質問やお悩みがございましたら、お気軽にお問い合わせください。
著者プロフィール
富田竜介:株式会社TaTap代表
企業様向けSNSアカウント運用代行/コンサルティング/社内化支援/社内研修承ります。
📚著書:「99%の経営者は知らない中小企業のための正しい SNSマーケティング」https://amzn.asia/d/jgczWfe