ネット広告の効率をさらに上げる リアルとの架け橋「OMO」とは?
- OMOについてわかる
- OMOとオムニチャネルの違いが分かる
- OMOの導入について分かる
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インターネットによる消費者の購買行動は年々高まっており、今後もますます盛んになっていく事でしょう。購買行動を促進させるためにはネット広告が重要になります。その広告にかかる費用も、よりクオリティの高いもの、効率的に効果を出せるものを目指している為か、日本における広告費は右肩上がりで増えています。より売上を伸ばすためにネット広告に力を入れたい所ですが、ただやみくもに広告費に投資しても効果が上がらないのは当然で、効率を上げる為の手法が大事になります。その為に重要なのが「OMO」です。本記事では、日本における広告費の推移、これまで注目を集めてきた「オムニチャネル」、そしてネット広告の効率を高め、リアルとの懸け橋になりえる新しい概念OMO、OMOとオムニチャネルの違いについて解説しますので最後までご覧ください。
日本の広告費(電通)の推移について
日本の広告費の推移をみていきましょう。
2005年時点では6兆8235円で2007年には7兆191億円、翌2008年のリーマンショックで6兆6926円まで落ち込み、2009年では5兆9222億円で、以降2011年の東日本大震災時が最も落ち込み5兆7096億円になっています。しかし、そこから日本の総広告費は右肩上がりで増えています。
2019年には6億9381億円にまで達しまいたがコロナショックで6兆1594億円まで一気に低下するものの良く21年には劇的に上向き、6兆7998億円、2022年には7兆1021億円となっています。
コロナ禍は在宅で過ごす期間も長くなったことから、日本のデジタル化をより押し上げているといえます。
このデータから見ても、広告に費用を投じることで大きなリターンを狙う動きが見えてきます。続いてはネット広告における鍵になる懸け橋「OMO」について解説します。
OMOとオムニチャネルについてそれぞれ解説
続いてはネット広告の効率を向上させるための鍵になる、OMOとオムニチャネルについて解説します。
OMO
OMOとは「Online Merges with offiline」の略で、「オンラインとオフラインを統合する」という意味になります。新しい概念のマーケティング手法の一つです。
例えば、衣類や化粧品などを実店舗で試した商品を、オンラインで購入したとします。そうすることで購入した情報が購入した顧客のIDと紐づけられます。その情報から新商品、おすすめ商品、セール情報の案内がされ、今後のマーケティングに活用されます。
これは、オンライン・オフラインを区別せず、両者がシームレスに繋がっており、顧客の購買をサポートしているといえるでしょう。
このことから「ネット上とネット以外の店舗の垣根を超えたマーケティング概念」とも言われています。
オムニチャネル
オムニチャネルとは、顧客と企業の接点となるチャネル全て(店舗、オンライン、SNS、広告など)を連携させることで全チャネルによるアプローチを行い、顧客満足度を向上させ、顧客囲い込み売上を向上させる戦略の事です。オムニとはラテン語で「あらゆるもの」という意味をもちます。
オムニチャネルではユーザーが物を買うまでのプロセスの「情報収集」「購入」「受け取り」を前チャネルで自由に選択できますので、顧客にとって利便性の高いものです。
OMOとオムニチャネルの違い
OMOとオムニチャネルはオンライン・オフラインを区別せず顧客接点を統合するという視点では、似た概念といえます。しかしオムニチャネルは前述のようにネット広告やECサイト、SNSを利用した「顧客との接点」に着目した事業者に主軸を置いた概念になります。
それに対してOMOはオンライン・オフラインを統合することで、体験による価値の向上を狙う考え方で、オムニチャネルからさらに発展した視点を持っています。
OMOは、オンライン・オフラインのチャネルにこだわらず、顧客の好きな環境で購入環境を目指すですから、この点についてオムニチャネルとは違いがあります。オンラインとオフラインを統合し、顧客との接点を複数のチャネルで設置し、購入へ繋げます
OMOのメリットとデメリット
OMOのメリットとデメリットをそれぞれ見ていきましょう。
メリット
1.顧客ニーズを高い精度で把握
OMOは全てのチャネルで顧客のデータを統合するものですから、顧客のニーズを高精度で把握できます。さらに顧客データをリアルタイムで連携させることで、オンラインとオフラインを区別せずシームレスな購買体験を提供することが可能です。このことにより顧客の体験価値も向上します。
2.チャネルとの連携で顧客生涯価値を最大化
チャネルを統合連携することで販売機会を十分に提供でき、それを顧客が体験することでカスタマーサクセスにもつながります。これから、顧客を獲得できれば顧客生涯価値(LTV)を高めるとともに最大化することも可能です。
3.販売機会の損失を防ぐ
オンライン・オフラインを統合することで、顧客の購買意欲が高まった時に直ぐに購買行動に移せますから、販売機会の損失を防ぐことができます。
デメリット
1.長期的な視点が必要
OMOは短期的な収益向上には繋がらない可能性が高いものです。顧客データの一元化やデータの分析、購買体験の提供と満足度を高めるための仕組み作りは長い時間をかけて実施されていくもので、長期的な運用により効果が得られます。初期費用と運用コストも掛かりますので、その点も十分に把握しておくことが必要です。
2.データベースの構築、活用の難易度高い
OMOで集められたデータは、分析しやすいようにデータベースに収集されます。そのデータは膨大な量になりますし、既存のデータがある場合はそのデータも統合し、それらを扱うためのデータベースを構築するのは難易度が高いです。必要に応じて、クラウドストレージやデータ連携ツールも利用するので、コスト面・技術面でもハードルが低くないです。
3.顧客に対応したUIが必要、それに合わせた体制づくり
顧客に対応したUIの開発が必要で、運用コストの他に開発コストがかかる事も抑えておく必要があります。さらにOMOに必要な環境を構築し運用していくための体制と、人材の育成が必要になります。実店舗のオペレーションの変更、データの収集・分析のチームを整えることが重要になるので、コスト・リソースに乏しい場合はOMOは導入自体が難しくなります。
OMO、オムニチャネルの導入として想定されるもの
OMO、オムニチャネルの導入になりえる施策を紹介します。
モバイルオーダー
スマートフォンのアプリやECサイトで注文、決済を済ませておき、実店舗で受け取るのみの状態にしておくことができますので、顧客には時間を節約できるメリット、事業者側には情報を紐づけマーケディングに活用できるメリットを生みます。
チャットボット
ECサイトに多く導入されている印象の強いチャットボットは実店舗にも多く導入されています。実店舗で商品・サービスの提案、在庫やレビューのチェックも出来ますので、簡易な接客にもなりえます。
モバイルペイメント
QRコード決済を用いたモバイルペイントも代表的なOMOの導入施策になります。実店舗のレジの無人化の促進にもなります。実店舗、ECサイトでの購入履歴からのデータ収集もしやすいため、新たなサービスの提案にもつながります。
まとめ
ネット広告の効率をさらにあげる、マーケティングの新しい概念「OMO」について、オムチャネルとの違いを主に解説して来ました。効率的にネット広告を活用できれば、売上の向上、顧客ロイヤリティの向上、新規顧客の獲得に大いに貢献してくれるでしょう。そのためには「OMO」に対して理解を深める事は重要です。導入できれば多大なメリットをもたらすので、検討してみてはいかがでしょう。