2024.05.30

Instagramミドルファネル活用について、企業は何をすべきか

snsinstagramSNSマーケティングUGC・クチコミ集客・PRアカウント運用
Pointこの記事でわかること

読了目安:約

目次

本日はスマートシェア株式会社の吉岡さんとInstagramのテーマについてお話をしていきます。

Instagram上でのユーザーの行動様式

富田:まず最初に、Instagram上でのユーザーの行動様式についてお尋ねしますが、どのようにお考えですか?

情報収集のサイクルが発生

吉岡:例えば、Instagramでの投稿を見て商品を購入するという行動を、より細分化して分析しない限り、企業がInstagramで成果を上げることは難しくなってきていると考えられます。

実際に、当該投稿に至る流れ(経路)は様々です。例えば、通常は発見タブから入る場合もありますし、キーワード検索から入ることもあります。また、たまたまタイムライン上で目に留まった投稿から当該投稿に移ることもあります。
その後は、その投稿を見てスルーするかどうか、または投稿に付いているハッシュタグで回遊していくかどうかによって変わります。その他にも、さらに別の行動があるかもしれません。

検索を繰り返す中で、ブランドに対する好意度がアップする

吉岡:私も以前、マットレスを購入する際に、まさにそのような行動をしました。Instagramで見たクリエイターの投稿に興味を持ち、その後「#マットレス」と検索して『NELLマットレス』というブランドの商品を見つけました。この商品に関する投稿数はかなり多く、おそらくインフルエンサーマーケティングに注力している企業の商品だろうと推測できます。

「#マットレス」の検索結果上位50件のうち、実に約半数が『NELLマットレス』に関するものでした。Instagramでも話題の商品であり、その品質も優れています。こうして比較検討を重ねるうちに、興味や関心が高まっていきます。さらに検索を繰り返す中で、そのブランドに対する好意度も徐々に高まり、『NELLマットレス』の公式アカウントも閲覧し、「このブランドは信頼できそうだ」と感じたら、次にウェブサイトにアクセスします。

そこで「マットレス NELL」や「マットレス おすすめ」などのキーワードで改めて検索し、最終的に特定商品のページにたどり着いて購入するといった流れです。

Instagram経由で売上げを上げるには

吉岡:現実問題として、カスタマージャーニーはかなり複雑になっており、複数のSNSを通じてユーザーにアプローチする必要があると思います。複雑になっているとはいえ、Instagramにおけるカスタマージャーニーについて言えば、おそらくこの整理方法が正しいだろうと思います。

吉岡:富田さんが自社でブランドを運営している中で、Instagram経由で売上を上げるということをかなり多く経験されていますが、それについてはどのように考えていますか?

富田:Instagramはその起点からミドルファネルまでがまず1番であり、最終的に私たちは(ユーザー)はもうInstagramでものを買わないと思ってやっているので、結果として起点だったり、ミドルファネルでInstagramが接着剤としてあり、売上げに繋がっていると考えています。

私たちの会社ではInstagramだけしかやっていないので、結果的に絶対Instagramで売上げが上がっていると確信を持って言えます。ただ、他の会社ではいろんな施策をやっているので、これがInstagramでどれぐらい効果があったのか見る術がないというか、実際に買ってくれた方にアンケートを取ったら「私はInstagramで買いました」といったこともあります。

ちゃんと定性調査をしないと実態を知ることはなかなか難しいのではないかと思いつつ、行動様式としてはまさにおっしゃっていただいた通りだと思います。

Instagramで知ってウェブサイトに飛んで指名検索をする

吉岡:私たちもハッシュタグSEOを始めてまだ半年ぐらいですが、継続的に投稿を繰り返して上位を取れているブランドからすると、明確にそのGoogleの指名検索の数が上がっていたりします。なので、Instagramで知って、さらにウェブサイトに飛んで指名検索をするというところは、今まさにおっしゃっていただいた通りだと思います。

その状態を作るためには、スポット的にドーン!とインフルエンサーマーケティングをやっても、なかなか継続しません。それを継続させていくところは、もちろんコストもかかりますが、事業の成長としてはすごく大事だと思います。

UGCを増やすことが大事

吉岡:あとこれ私の個人的な経験談ですが、『ポップインアラジン(popIn Aladdin)』というガジェットのマーケティングをやっていた時に、分かりやすい事例がありました。友人から「ポップインアラジンって知ってる?」と聞かれることがあって、どこで知ったのかと聞き返すと、「最近よくInstagramで見る」と言うんです。

その時、私がどんな施策をやっていたかというと、UGCを自然発生的に増やすのは当時から難しかったので、主にプッシュ型の投稿キャンペーンを毎月やっていました。
商品の同梱物に「投稿キャンペーン実施中!」というチラシを入れて、必ずユーザーが見るタイミングで接点を持つようにしたり、特定のIPとコラボして「このIPとコラボしてるから、ポップインアラジンを楽しんでる様子を投稿してね!」と促すプッシュ型の手法を継続していました。

その結果、実際に商品を購入して満足した方が自然発生的にUGCを投稿してくれる状態を作り出せました。この経験から、UGCがどれほど重要かを実感しましたし、InstagramでUGCを増やすための背景や方法を整理する必要があると思っています。現状ではプッシュ型のアプローチが必要だと考えています。

ミドルファネルがなぜ重要なのか

富田:2番目のテーマとして、ミドルファネルがなぜInstagram上で重要なのか、どのようにお考えですか?

シェア オブ ボイス(Share Of Voice)の重要性

吉岡:私たちは今、「シェア オブ ボイス(Share Of Voice)」という考え方をInstagramに落とし込むことが、非常に重要だと考えています。このシェア オブ ボイスは、分かりやすく言えば、「ユーザーの声の市場全体の比率」を指しているんですが、例えばInstagramの投稿3000位とかってAPIでデータを取得できますよね。ただ、3000位まで取得しても3000位まで見るユーザーっていないので、それぞれのハッシュタグで上位100位に入っている投稿の中から、「競合も含めたブランドの言及率」っていうところをシェア オブ ボイスと捉えることが、今のInstagramで重要なんじゃないかなと思っています。

このシェア オブ ボイスの比率が高ければ、検索をされた時に引っかかる可能性が高まるので、最終的にミドルファネルを強化する理由になるというところは、私たちがこの事業を始めてから非常に重要だと考えているところです。例えば取り組み開始以前はシェア オブ ボイスが5%だったところが、実際に継続的に行っていくことで30%まで伸びているみたいなことで、この理想の状態を作るためにはどうすればいいかっていうところの支援をしているというのが、ハッシュタグSEOの前提になっていると思います。

Instagramが情報収集の中心になっている

吉岡:また、弊社で独自調査をしているんですけれど、「気になった商品やサービスを検索する際に何を使いますか?」という質問では、Instagramが回答の1位になっていて、30%占めています。実際にInstagramで検索をする際には、平均何投稿を見ますか?といった質問に対しては、4投稿以上見るってユーザーが73%以上いるってことを考えると、複数投稿を閲覧することが最終的な意思決定の起点になっていることが分かります。これがミドルファネルですよね。それがInstagramで起きていますよというのが、調査の結果からも導き出されてるかなとは思います。

富田:確かに、その通りですね。実際、弊社でもよくお客様にアンケートを実施したり、ライブミーティングのような形でヒアリングを行ったりしていますが、やはり1投稿だけを見て商品を購入する方は少なく、プラットフォームをまたいでInstagramで情報収集し、次にX(旧Twitter)をチェックして、最終的にGoogleで検索して購入するという方もいます。その中でも、やはりInstagramが情報収集の中心になっていると感じています。

Instagramで企業は何をやるべきか

富田:そうしたことを踏まえた上で、Instagramで企業がどのようなアプローチを取るべきか、についてもお聞きしたいと思います。

吉岡:これは私の個人的な意見ですが、自社のアカウントの投稿を頑張ることにどれだけ今意味があるか、という点を皆さんが前提として考えた上で施策を選ぶべきだと思います。フォロワー数自体があまり意味をなさなくなってきているのは間違いないと考えますし、実際、そのアカウントをフォローしてくれたユーザーに対して最も重要なのは、私はストーリーズだと思っています。ですので、ストーリーズの閲覧を増やすためにフォロワーを増やすことを目指すべきです。

この目的と前提を履き違えると、フォロワーを増やすだけで売上げが上がるという、本来通用しない理論が成り立ってしまったりするので、投稿自体を頑張るところではなく、実際にフォローしてくれているユーザーとのコミュニケーションや、シグナルを集めてストーリーズの表示頻度を高めるという点が、Instagramの運用において間違いなく最も重要だと思います。

実際、投稿だけではなかなか難しい場合もありますので、第三者の力を活用したり、影響力の高いマイクロインフルエンサーやクリエイターをうまく活用することが必須だと思います。富田さんはどう思いますか?

共創コンテンツをどう作っていくかが鍵

富田:私もまったく同じ考えです。SNSのアカウント運用で特にInstagramにおいては、企業が自分たちでリーチインプレッションを取りに行くことに、それほど意味はないかなと思っています。情報型コンテンツマガジンのようなコンテンツを配信することで、確かにエンゲージメントが付き、リーチが取れるんです。弊社ではこれをメディアリーチとブランドリーチと呼んでいます。

例えば、クレンジングを販売している化粧品ブランドが「おすすめのスキンケア7選」として商品を紹介するとします。選抜した7点の中に自社の商品を入れることなく、他社の商品ばかりを紹介するケースで、リーチが20万に達したとします。一方で、自社商品であるクレンジングを掲載した上で、単なる映えた画像を1枚載せたところ、いいねが20ぐらい付き、リーチは1,000でした。この前者と後者とを比較した場合、私たちは後者のリーチ1,000の方が絶対価値が高いと思っています。理由としては、自社ブランドの商品でリーチが取れている点を評価できるからです。

しかし、大半の企業は前者のようなメディアリーチで20万リーチを取れる方を良しとします。でも、それではブランドのことを知ってもらえていないし、ただエンゲージメントが付き、リーチが伸びただけです。ブランドをちゃんと知ってもらうことが大切です。ブランド起点だとどうしてもエンゲージメント率が、クリエイターなどよりも低くなります。

そこで、クリエイターにどう投稿してもらえるかですが、最近Instagramが注力している「共創」と「没入型体験」、この2つに注力する中で、共創という点で、最近伸びている企業はクリエイターと一緒にコラボ投稿を強化しています。これにより2アカウントを合算してエンゲージメントもつき、より伸びやすくなりますし、ブランドの信頼感を保ちながらクリエイターとしての投稿として出てくるので、エンゲージメントも高まりやすいです。したがって、共創コンテンツをどう作っていくかが重要だと思います。

吉岡:確かにコラボ投稿自体が共創で、なおかつその企業アカウントのプロフィールにも投稿が残る状態になるので、コンテンツを勝手に二次利用できるようになり、それによって結果的に、自社アカウントの投稿を頑張る必要がなくなるかもしれない、そういう考え方がすごくしっくりきます。それは本当にその通りだと思います。

Instagramだけで物が売れるようになるきっかけ

吉岡:富田さんに一つ伺いたいのですが、御社はInstagramマーケティング施策を活用して商品を販売する事業を展開されていると思います。Instagramだけで物が売れるようになるきっかけが、どこかのタイミングであったのではないかと思いますが、その明確なきっかけについて、何か把握されていますか?

富田:前提として、その商品に需要があり、何かしらの独自性がないと難しいと思います。つまり、商品を出す前に勝負が決まっていると言えるでしょう。Instagramだけで成功するためには、先ほどのポップインアラジンの話にもありましたが、一定の閾値をどれだけUGC(ユーザー生成コンテンツ)で超えられるかが重要です。

私たちの場合、月間100件のギフティングを行い、それで100件の投稿があれば、どのハッシュタグで見ても「この商品、見たことがあるな」と思ってもらえる状態を作り出します。そして、楽天スーパーセールで「この商品が20%オフですよ」となったときに「なんか聞いたことあるし、見たことある。安いなら買ってみようかな」と思ってもらえます。モールが盛り上げてくれるので、それに乗っかれば良いのですが、自社でDtoCをやる場合は、本当に独自性がありオリジナルで良いものでない限りは買ってもらえません。そのため、自分たちで3ヶ月に1回特大キャンペーンを実施するなどの取り組みが必要だと考えています。

吉岡:それを聞いて今思い出したのですが、ポップインアラジンも楽天やAmazonで全体の7割ぐらいを販売していました。例えば、楽天スーパーセールがこの日にありますというのが分かった段階で、その日に売るために事前にユーザーとのコミュニケーションを始めるというマーケティング全体の戦略を立てていました。これは当時の代表が連続的なユーザーとのコミュニケーションの大切さを強調していて、スーパーセールの7日前からカウントダウンをするような投稿をInstagramで行ったり、カウントダウンのメルマガを送ったりすることで、ユーザーが買いたくなる感情を高めていました。

そして、「はい、どうぞ」「今からスタートです!」のタイミングで、一気に0時00分に大量の注文が入るようにしていました。そのタイミングをしっかりと作り出すことと、その前提としてユーザーとのコミュニケーションを設計することを当時も行っていましたが、今その重要性が改めて言語化されて確かにその通りだと思いました。

富田:ミドルファネルが非常に重要なのは、特にモールのようなプラットフォームでは、ユーザーが「キープ商品」として気になる商品を保存したり、ブックマークしたりするからです。「スーパーセールが始まります」「Q10メガ割が始まります」のタイミングで「この商品20%オフですよ」と告知しても、もう遅いんです。すでに多くのユーザーは買う商品を決めていて、カートに入れる準備ができている状態です。ブックマークされた商品をいかに早くカートに入れて、購入できるかが勝負になります。

そのため、事前のタイミングから盛り上げを作ることが重要です。例えば、ギフティングの量を増やしたり、クリエイターの投稿を増やしていくことが効果的です。連続的なコミュニケーションももちろん重要ですが、キャンペーンに合わせて濃淡をつけながら進めていくことが必要です。他社もその前に広告を強化してくるので、シェアオブボイスで負けないようにしなければなりません。

Instagramに特化することで、そのプラットフォームだけに集中してボリュームをかけることができ、他のプラットフォームをすべて網羅するよりも、ニッチな中企業にとっては勝ちやすくなるのではないかと思います。

Instagram広告について

吉岡:その施策の中に広告はやっていないのですか?

富田:一部広告はやっています。モールの前とかのタイミングだけに出すなどの形で行っています。

吉岡:Instagramの広告についてですが、「またこの企業が広告を出している」という見方をユーザーがするようになってきていますよね。そのため、分かりやすいCTA付きのバナー広告は、Instagramでは少し難しいなと感じています。ですから、パートナーシップ広告の必要性が非常に高まっていると思いますし、その結果、共創や共鳴といった方向性に繋がっているのかなと感じます。

富田:本日はInstagramをテーマにディスカッションさせていただきましたが、Instagramのキャンペーンなどでお困りのことがあれば、「OWNLY」や「ハッシュタグSEO」をぜひご利用いただければと思います。

プロフィール

富田竜介:株式会社TaTap代表
企業様向けSNSアカウント運用代行/コンサルティング/社内化支援/社内研修承ります。

📚著書:「99%の経営者は知らない中小企業のための正しい SNSマーケティング」https://amzn.asia/d/jgczWfe

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