Instagram上のUGC数が年々減っている中で企業がやるべきこと
- わずか2年でUGC数が3~4割程度に減少している
- ユーザーが自然にUGCを投稿したくなるような環境を作り出す必要がある
- ブランド広告から第三者配信と呼ばれるパートナー広告へとシフト
- DMなどのクローズドな環境で発生するUGCが増えている
- インフルエンサーからアンバサダーへのシフトが進んでいる
- ギフティングやアンバサダーによるプッシュ施策が有効
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InstagramにおけるUGC(ユーザー生成コンテンツ)の数が年々減少している現象について、企業やブランドがどのように対応すべきかを詳しく探ります。
UGC数の現状とその減少傾向
UGC数の減少の実態
Instagramでは、『UGC』、つまりユーザーが自ら投稿する口コミやレビューの件数が、年々減少傾向にあります。特にフィードやリール投稿においてその傾向が顕著です。弊社が数十社におけるUGC数を「メンション数」「タグ付け数」を合算した数字で1年単位で計測した結果、興味深い結果が得られました。
具体的には、2022年を基準値の『100』とした場合、2023年では『60~70』に減少し、2024年には『30~40』にまで減少しています。わずか2年で、UGC数が3~4割程度に減少しているのです。この減少は、特にフィードやリール投稿が影響を受けており、『キーワード検索』『ハッシュタグ検索』でヒットする割合が大きく減少しています。フィード投稿やリール投稿は、これまで企業のプロモーション活動において重要な役割を果たしてきましたが、この数の減少は、企業にとって売上げに繋がりにくくなっている現状を反映しています。
さらに、このUGCの減少は、Instagram全体の利用者の行動変化にも関係しています。ユーザーがフィードやリール投稿を行う頻度が減少し、ストーリーズやDMなどのクローズドなコミュニケーションに移行しているため、企業がUGCを直接目にする機会が減少しています。この傾向は、企業にとって新たな課題となっています。
アンバサダー施策やギフティング施策の影響
UGCの減少は、アンバサダー施策やギフティング施策を実行している企業でも、特に施策を行っていない企業でも共通して見られました。アンバサダーやギフティングを活用する企業でさえ、UGCの減少を完全に防ぐことはできていないのです。これは、UGCの減少が単なる施策の問題ではなく、Instagram全体の利用者の行動変化に起因している可能性を示唆しています。
アンバサダー施策やギフティング施策は、ブランドの露出を増やし、ユーザーの関心を引くための有効な手段ですが、それだけではUGCの減少を食い止めることが難しい現状があります。ユーザーの行動変化に対応するためには、企業はこれらの施策をさらに進化させ、ユーザーが自然にUGCを投稿したくなるような環境を作り出す必要があります。
また、企業はUGCの質にも注目する必要があります。単に数を増やすだけでなく、ユーザーが心から共感し、ブランドを愛する気持ちを表現したUGCを増やすことが重要です。これにより、UGCの信頼性と影響力を高め、ブランドの評価を向上させることができます。
UGCの重要性とその役割
ブランド認知とUGCの関係
UGCの重要性は広く認識されています。ブランドが自ら発信する情報は『認知』には効果が高いですが、『購買』や『比較・検討』の意思決定には、第三者のUGC、すなわち口コミがより効果的とされています。このため、多くの企業がInstagram上での広告戦略を、ブランド広告から第三者配信と呼ばれるパートナー広告へとシフトしています。
UGCの種類とその効果
UGCにはさまざまな形式がありますが、フィードやリール投稿が減少している一方で、ストーリーズにおけるUGCが増加しています。特に、ストーリーズは24時間で消える特性があり、ユーザーが気軽にシェアしやすいという利点があります。また、Z世代と呼ばれる若者たちは、LINEよりもInstagramのDMでやり取りすることが多く、その中でUGCが発生しています。例えば、「〇〇を貰ったけど、すごい良かったよ」「〇〇買ったけど、すごい良かった」といった形で、DM上での口コミが増加しています。
UGC減少への企業の対応策
クローズドなUGCへの対応
DMなどのクローズドな環境で発生するUGCは、企業が直接気付くことができないため、定性的なユーザーインタビューや調査を行う必要があります。企業は積極的にユーザーの声を拾い上げる仕組みを作り、クローズドなUGCを把握し、その情報をもとに戦略を立てることが重要です。
コアファンとの関係構築
企業がSNSで売上げを上げるために最も重要なのは、UGCの数を増やすことです。今やフォロワー数はそれほど重要視されません。ブランドアカウントのフォロワー数が多いほど信用されるケースもありますが、コアなファンがどれだけUGCを発生させているか、その仕組み作りが大切です。コアファンとの関係を深め、彼らが自然にUGCを発信したくなる環境を整えることが求められます。
インフルエンサーからアンバサダーへのシフト
インフルエンサーの効果の減少
最近では、インフルエンサーはオワコン化していると言われ、中長期的な関係を築くアンバサダーが注目されています。インフルエンサーの一度きりの投稿ではなく、アンバサダーが継続的にブランドを支持し、UGCを発信することが重要です。アンバサダーとの共創(コラボ投稿)は、企業にとって信頼性を高める効果的な手法です。
アンバサダーの育成と支援
企業はアンバサダーを育成し、支援することで、UGCの質と量を向上させることができます。アンバサダーに対して定期的な情報提供や専用イベントの開催を行い、彼らのモチベーションを高めることが重要です。また、アンバサダーからのフィードバックを積極的に取り入れることで、より良いプロモーションが実現します。
結論と今後の展望
企業が取るべき具体的なアクション
UGCはフィードやリール投稿での数が減少していますが、ギフティングやアンバサダーによるプッシュ施策を実行することで、その減少をカバーすることができます。企業は以下の具体的なアクションを検討するべきです。
- UGCの発生しやすい環境作り:ユーザーが気軽にUGCを投稿できるようなキャンペーンなどイベントを実施する。
- クローズドUGCの把握:定性的な調査を行い、DMやストーリーズでのUGCを把握し、そのデータを活用する。
- アンバサダーの育成と支援:長期的な関係を築くために、アンバサダーに対するサポートを強化し、彼らの活動を促進する。
企業がInstagram上でのUGCを最大限に活用することで、ブランドの認知度や信頼性を向上させ、消費者との強固な関係を築くことができます。これからのマーケティング戦略において、UGCの発生しやすい環境作りとアンバサダーの育成がますます重要な要素となるでしょう。
【実績】
プロフィール
富田竜介:株式会社TaTap代表
企業様向けSNSアカウント運用代行/コンサルティング/社内化支援/社内研修承ります。
著書:「99%の経営者は知らない中小企業のための正しい SNSマーケティング」