ECモールのグロースハック術。SKUが多い会社のグロースと単品商品だけを扱っている会社のグロースをそれぞれ事例をあげて解説!!
- SKUが多い会社のグロースはモール内のSEOを上げていくことが重要
- 単品商品だけを扱っている会社のグロースはレビューがとても重要
- 良いレビューがたくさん書いてある方が絶対に有利
- Amazonは転売を止められるが楽天は止められない
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今回は株式会社Wacworksの舟瀬さんを迎え、モール運用におけるグロースの実績に焦点を当ててお話します。
富田:モール運用には、2パターンあると思います。1つ目はSKUが多い会社のグロース。そして、2つ目が「うちはこの商品だけを扱っています」といった単品商品だけを扱っている会社のグロースです。タイプが違うと思いますので、それぞれ実績があれば教えてください。
SKUが多い会社のグロース
前提として「そもそもどうやってモールで売上げを伸ばすのか?」という話からしていきます。まず第一に、モール内のSEOを上げていくことが重要です。例えばワイヤレスイヤホンがあるとして、そのワイヤレスイヤホンの売上げを伸ばしていきたいという場合、「ワイヤレスイヤホン単体」もしくは「ワイヤレスイヤホン Bluetooth」といったサジェストワードで検索順位を上げていきます。広告を併用しますが、自然流入からのアクセス数を増やすことによって結果的にコンバージョン数をどんどん上げていくという方法があります。
SKUが多い会社のグロース実績では、元々自社ECで3000万円ほど売っていた会社がありました。約2年間の支援で全体の売上が6000万円に達しました。内訳は自社ECが3000万円、楽天市場が2000万円、Yahoo!ショッピングが800万円、Amazonが200万円です。Amazonは現在、カートが取れないという問題が発生しており、なかなか売上げが苦戦しているのですが、モール内のSEOを粘り強くアップしていく方法をとり、キーワードに対する注力商品を決定して臨みました。例えば「ワイヤレスイヤホン Bluetooth」には、この商品を推そうと決め、その商品だけLPを作り、いかにコンバージョン件数を上げて検索を伸ばすかといった、N数(サンプル数)を多くやっていく中で、LPをうまく作りつつ、モール内で検索連動型の広告などを併用しながら、最終的にモール内でのキーワードをどんどんハックしていくという感じです。
実際に当初から計画していたキーワードは、ほぼ1位が取れるようになり、「ワイヤレスイヤホン Bluetooth」でたくさんの商品がある中で、その関連商品としても検索結果の1ページ目に私たちの推したイヤホンがずらっと並んでいるという実績を生み出しました。
売上げ1位を取れた理由
舟瀬:おっしゃる通り、1番大きな要因はやはりPDCAです。特にLPやフリック画像などが重要になっており、DtoCの関連会社などでは、1本のLPを買い切りでとても長いページを作ることがありますが、モールには「お客様ウケの良いLP」があります。楽天市場で例えると、ややセール感があるものです。ガチャガチャしたような印象もあれば、他社の状況にもよりますが「公式ショップがこの商品を出している」という訴求もウケる場合があります。そのため、他社商品のページと見比べながら、自社はどういう強みが出せるかを考え、商品の数を絞って、すべて1から作成してCVR検証をして順位を上げていったことが大きな要因だと思っています。
単品商品だけを扱っている会社のグロース
富田:次に、単品通販での実績があれば是非教えてください。
舟瀬:ここではランドセルの販売会社の事例をあげます。ランドセルは通常、1個5万円以上するイメージがありますが、弊社が支援した会社は2~3万円台の低価格帯のランドセルを扱っています。
実は楽天市場でよく売れているランドセルは名の通ったブランドものではなく、1万円台前半の安いランドセルなのです。私たちが約3年ほど支援したランドセルの販売会社は、支援開始から約1年ほどで楽天市場内で1番多くランドセルを売る会社となり、ランキング1~4位までを全部ハックするような状態になりました。
富田:1~4位までハックするのはすごいですね!
舟瀬:はい、かなり頑張りました。このケースでは、楽天市場独自で「ランドセル+購入特典」をたくさん付けました。例えば、「ランドセルご購入でランドセルカバーをプレゼント」「さらにレビューを書いてくれた人には防犯ブザーをさしあげます」というように購入特典をたくさん付けることで、お客様にお得感を演出する手法を取っていました。
レビューがとても重要だと言われていますが、女性の方が圧倒的にレビューを書いてもらいやすいです。ランドセルに購入特典を付ける以前は、レビュー記載率が1%にも満たず、ほぼ書かれていないような状況でした。しかし、特典を付け始めるとレビュー記載率が最大で50%にまで上昇し、2人に1人がレビューを書いてくれるようになったのです。それがモールのSEOにも寄与し、支援開始から約1年で楽天ランキングの売上げ上位を独占するようになり、今でも楽天市場で一番ランドセルを売っている会社に成長しました。
良いレビューがたくさん書いてある方が絶対に有利
富田:レビュー件数がSEOにも重要だというお話がありましたが、逆にレビューが増えてレビューの評価も高いと、やっぱりCVRも結構高くなるんですか?
舟瀬:もちろんCVRも上がりますし、レビューの件数と点数がありますが、やっぱり皆さんがよく見ているのは点数です。モールでも、購入前にレビューを見てから買うという方が、全体の約75%ぐらいいるので、良いレビューがたくさん書いてある方が絶対に有利です。
よくレビューを書いてもらう支援会社などがありますが、それはルールに反した良くないやり方だと思っているので、私たちはそういったやり方を推奨していません。 お客様が自ら進んでレビューを書いてくれる仕掛けを作り、レビュー記載率を上げていく方法を取っています。特典を付けるとお客様は良いレビューを書いてくれることが多いです。中には、写真付きで書いてくれる人もいます。お客様の心理を活用しながら、うまくレビュー数を増やしていく仕組みを作ったことが、すごくうまくいったポイントだと思います。
富田:単品系でも実績があるということで、とても安心しました。
商品の転売対策や不正注文に対する施策
富田:最後にちょっと話が逸れますが、最近DtoCの関連企業がモールECをやろうとしたときに、転売ヤーが非常に多いので、商品を転売されてしまうことを危惧するケースがあります。 初回だけ安い商品を買って、Amazonや楽天市場で転売してしまうようなことが増えていて、そのせいで躊躇してしまうといった話をよく聞きます。
転売対策や不正注文に対する施策がありますか?
舟瀬:前提として、モールのルールに則ってやっていくべきですが、Amazonでは出品させないことができます。システムルールを使ってAmazonに申請を上げれば出品を止めさせることができるので、そうして他社を排除しています。
一方、楽天市場では出品を止めさせるシステムが採用されていないので、不正に販売している店舗が乱立しています。特にDtoC関連の店舗では「本品は5000円ですが、初回限定で900円です」といった売り方がよくあるのですが、初回の安い商品を買った別の店舗が、自店では初回2000円で売っているというケースがあります。このようなケースへの対策はなかなか進んでいません。
LPの中で「公式ショップ以外では保証が付きません」など、強めの記載で訴求したり、そういった転売業者に対して、私たちのような代理店やメーカーから何度もメッセージを送信して、カートを下げるように促したりすることもあります。お客様が偽物ではないかと疑ったり、転売業者から買った商品でメーカーにクレームが来ることも多いです。その場合は楽天市場と裏側でやり取りをしながら出品を取り下げてもらうこともやっています。
機動力とチーム力でトータルサポート
富田:ECのグロースだけではなく、そういったところまでトータルでサポートしてもらえるのがいいですね。
舟瀬:楽天市場やAmazonでECを行う会社が非常に多いと思いますが、弊社には2つの大きな強みがあります。1つ目は「機動力」です。施策のスピードを速めていかなければならないとき、フリーランス組織のように柔軟に動ける仕組みを持っています。体育会系のような成果主義を取り入れており、早く施策を打てる体制が整っています。
2つ目は「チーム力」です。実績のある人間だけをメンバーとして抱えているので、お客様の課題に合ったパートナーをアサインし、クローズさせることができるのも強みです。 このように、弊社には豊富な運用実績があります。
富田:弊社もECだけではなく、支援会社でありながらコンサルティングなど幅広く活動しておりますが、舟瀬さんの会社は機動力があり、本当に対応が速いという印象です。モールの店舗から「LPを作ってほしい」「こんな施策をやりたい」といった相談を受けた際にも、その提案やアサインは的確で頼りになります。ECモールの悩みはぜひ舟瀬さんにご相談ください。
プロフィール
富田竜介:株式会社TaTap代表
企業様向けSNSアカウント運用代行/コンサルティング/社内化支援/社内研修承ります。
著書:「99%の経営者は知らない中小企業のための正しい SNSマーケティング」