SNSのコンテンツ企画、ブランド起点ではなく顧客起点での企画になっているか!?
- ブランド起点でコンテンツを制作している投稿がほとんど
- 本来なら顧客起点でコンテンツは制作すべき
- すべてのSNSはエンゲージメント重視
- SNSでは顧客起点でのコンテンツ制作が最も重要
- SNSは直接的にコンバージョンを狙うものではない
- SNSの本質は顧客との関係性を築き信頼を得ること
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SNSでどのようにコンテンツを企画して投稿していけばいいですか?という質問をよくいただきます。そこで今回は、コンテンツ制作について分かりやすく解説します。
9割の人がブランド起点でコンテンツを制作している
ほぼ9割の人がやっている一般的な投稿方法は、いわゆるブランド起点でコンテンツを制作しているものです。つまり、企業やブランドが発信する内容を中心に据えてコンテンツを作り上げているということです。しかし、本来であれば、顧客起点でコンテンツは制作すべきであり、そうすることが望ましいのです。その理由は、そもそもSNSはユーザー同士、個人と個人がコミュニケーションを取るためのツールとして存在しており、企業アカウントは全体の1割にも満たないのです。SNSの本来の目的は、人々が相互に交流し、情報を共有し合う場を提供することにあるのです。その中で企業が「こういった商品を発表しました」「セール開催中です」「キャンペーン実施中です」といったブランド起点の発信をしてしまうと、それは一方通行でのコミュニケーションになってしまい、相互のやり取りや対話にはなりません。これでは、SNSの本来の意義を活かすことができず、ユーザーとのエンゲージメントも深まりません。
SNSはエンゲージメントが重視される
Instagram、YouTube、TikTokを含むSNSは現在、エンゲージメント重視で運営されています。そして、バイラルでグロースしていくアルゴリズムを採用しているため、きちんとエンゲージメントを取ることが非常に重要です。具体的には、『いいね』『コメント』『シェア』『滞在時間』がとても大切な要素です。では、ブランド起点でコンテンツを作成して投稿した場合に、これらの要素を獲得できるでしょうか?
もしも、実店舗で顧客と親密なコミュニケーションを取っているブランドの場合には、ブランド起点の発信であっても、「あ、〇〇がキャンペーンやってる」と顧客に認知され、それが拡散されたり、「このキャンペーン良さそう」と思って『いいね』を押してもらえるケースもあります。しかし、このような成功例は少数派です。実際には、ほとんどのブランドや企業はまだ広く認知されていないため、SNSを活用して認知度を高めたいと考えています。
このような状況では、エンゲージメントを高めるために顧客起点のコンテンツ制作が求められます。顧客が興味を持ち、関心を引く内容を発信することで、より多くの『いいね』『コメント』『シェア』『滞在時間』を獲得することができ、結果としてアルゴリズムによってより多くの人々にリーチすることが可能となります。そのため、SNS戦略においては、ブランド起点ではなく、顧客起点のアプローチが不可欠です。
SNSの本来の意味を再確認しよう
さて、SNSの役割とは何でしょうか?SNSはあくまでも顧客とコミュニケーションを取り、その上でエンゲージメントを獲得し、親密度を深めるためのツールです。SNSを通じて顧客と仲良くなることができれば、商品を購入する際のブランド想起に繋がり、さらに何か発信した時に「自分の好きなブランドだから」と『いいね』を押してもらえる可能性も高まります。つまり、SNSを通じて顧客からきちんと反応してもらえるようになるのです。
そのためには、まず第一に、顧客起点でコンテンツを制作することがSNSでやるべきことです。顧客が興味を持ち、共感できるコンテンツを提供することで、彼らとの絆を深めることができます。結果として、顧客はブランドに対してポジティブな感情を抱き、商品の購入やサービスの利用を検討する際に、真っ先にそのブランドを思い浮かべるようになります。これがブランド想起の力です。
また、顧客起点のコンテンツを提供することで、エンゲージメントが自然と高まり、顧客との対話が活発になります。これにより、SNS上でのブランドの存在感が強まり、新たな顧客層にもリーチすることができるようになります。結局のところ、SNS戦略においては、顧客起点でのコンテンツ制作が最も重要な要素であり、これを実践することで、長期的な成功を収めることができるのです。
顧客起点とは何なのか
では、顧客起点とは具体的にどのようなものなのでしょうか?これには大きく分けて2つの方法があります。まず1つ目は、SNS上で「どんなコンテンツを投稿して欲しいですか?」や「どんなコンテンツが見たいですか?」といった質問を投げかけ、顧客から直接フィードバックを得る方法です。例えば、Instagramのアンケート機能を活用してフォロワーに質問を投げかけることで、彼らのニーズや興味を把握することができます。また、Googleフォームなどのツールを利用して、フォロワーに対して詳細なアンケートを実施するのも良いでしょう。
2つ目の方法は、直接ユーザーインタビューを行うことです。自分たちの顧客や、最近商品を購入してくれた方々に対して謝礼を渡し、「普段、SNSでどんなコンテンツを見ていますか?」や「私たちがどんな発信をしたら見たいと思いますか?」といった具体的な質問をストレートに聞くことが重要です。この方法により、顧客が本当に興味を持っているコンテンツや情報を把握することができ、それを基にしたコンテンツ制作が可能となります。
つまり、顧客が見たいと望んでいるものをコンテンツとして発信していくことが顧客起点のアプローチです。一方で、ブランド起点とは、ブランド側が発信したいと考えている内容を発信することを指します。この二つのアプローチの違いを理解し、自分たちのコンテンツ企画がブランド起点になっていないかどうかを再確認することが不可欠です。顧客起点でしっかりとコンテンツを考えることで、SNSを通じたエンゲージメントが高まり、顧客との信頼関係もより深まることでしょう。
まとめ
あくまでもSNSは直接的にコンバージョンを狙うものではなく、顧客とコミュニケーションを取ってエンゲージメントを高め、次回商品を購入してもらえる確率を上げるためのものであると認識することが大切です。SNSの本質は、顧客との関係性を築き、信頼を得ることにあります。したがって、単に売上を伸ばすことだけを目的とするのではなく、顧客との絆を深めることに重点を置く必要があります。
このことを意識した上で、コンテンツを作成していきましょう。例えば、顧客が興味を持ちそうな情報や、役立つ知識、または楽しいエンターテインメントなど、さまざまな角度からアプローチすることで、顧客との接点を増やし、エンゲージメントを高めることができます。また、顧客の声に耳を傾け、彼らのニーズや要望を反映したコンテンツを提供することで、より一層の信頼を築くことができるでしょう。
SNSを活用する際には、常に顧客とのコミュニケーションを大切にし、エンゲージメントを高めることを念頭に置くことが成功への鍵です。
プロフィール
富田竜介:株式会社TaTap代表
企業様向けSNSアカウント運用代行/コンサルティング/社内化支援/社内研修承ります。
著書:「99%の経営者は知らない中小企業のための正しい SNSマーケティング」