AI時代に通用する人材になるには?
- プロンプトエンジニアがどのような仕事かわかる
- プロンプトエンジニアに必要なスキルがわかる
- プロンプトエンジニアの年収について分かる
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デジタル分野は日々大きく進歩しており、今後も成長していく事でしょう。企業ではDX(デジタルトランスフォーメーション)人材の確保が必要とされていますが、日本におけるDX人材は不足しているといわれており、生成AIが台頭している昨今では「プロントエンジニア」が注目されています。本記事では、AI時代に通用するために、日本のDX人材の現状や、注目を集めているプロントエンジニアの業務内容や年収、プロントエンジニアになるためには何が必要かを解説します。AI時代で通用する人材になるための情報を提示しておりリスキリング(学びなおし)の参考にもなるので、最後までご覧ください。
DX人材の日米比較を紹介
前述のように日本ではDX人材が不足しており、その具体的な内容はDX白書2021に記載されています。DX白書2021によると日本企業ではDXに取り組んでいるのが55.8%、そのうち全社的にDXを進めているのは21.7%となっています。
それに対してアメリカでは企業の79.2%がDXに取り組み、全社的に進めている割合が36.6%になっています。
このように日本企業のDX化は遅れていることがわかります。企業でもAIを活用する機会が急増している一方でAIを扱う人材は不足しているのが現状です。
プロンプトエンジニアとはどういう仕事か?優秀な人には高い報酬が用意されている!
プロンプトエンジニアとは、AIから最適な答えを引き出すためにメッセージやコマンド等を駆使して指示を出すエンジニアのことで、AIに対する調教師のような役割を担っています。
ChatGPTなどの生成AIで業務の効率化や新たな価値の創出を狙う企業は多く存在しており、AI人材の中でもプロンプトエンジニアの市場価値が高まっており、注目を集めています。
AIサービスは、人間のリクエストに応じたテキストや画像などのコンテンツを生成することが出来る一方で、時には想定していなかった答えが返ってきたり、イメージが伝わらなかったりする場合があります。これはAIにリクエストを送るプロンプトが最適ではないために起こります。
それらを解消し、最適なプロンプトを設計して目的のコンテンツを生成する為に、プロンプトエンジニアという職業が登場したのです。
具体的な仕事内容については以下の通りです。
プロンプトの設計、開発
プロンプトエンジニアは、目的のコンテンツ生成やタスク実行のために最適なプロンプトの設計や開発を行います。AIに的確な指示を出すことにより、回答の精度を高めることが可能です。効果的なプロンプト作成には4つのポイントがあります。
- 解決したい問題を明確にし、正確なクエリを指定する
- 具体的で理解しやすい表現を使用する
- なるべく多くの例文を与える
- トラブルが発生した際の対応を指定する
AIモデルの分析
AIサービスやAIツールはそれぞれ目的の機能を実現するためのAIモデル(数学的なモデルやアルゴリズム)が搭載されており、プロンプトの精度を向上させるためにAIモデルを分析することも重要となります。あらゆるプロンプトを用いてテストを繰り返し、客観的なデータを収集してAIモデルの傾向やパターンを把握・分析します。
プロンプトの改善
プロンプトは一度開発したら終わり、ではありません。コンテンツの生成結果を検証し、評価を行い改善することで精度を高める必要があります。AIモデルの分析結果などをもとに、よりパフォーマンスの高いプロンプトへと継続的に改良します。
また、ユーザー満足度向上のために実際にユーザーへヒアリングを行い、フィードバックを参考にプロンプトを最適化することも重要となります。
優秀な人材には高い報酬も
2023年7月のdoda求人情報によると、プロンプトエンジニアの年収は最低でも400万円、高いものだと1400万円以上のものが掲載されました。
これは日本に限った話ではなく、世界的に需要が高まっています。
2023年5月に、Googleが出資するスタートアップ、アンスロピックの求人広告ではサンフランシスコ在勤の「プロンプトエンジニア兼司書」の年間報酬を最大33万5000ドル(日本円で約4700万円)とされたことが話題となりました。
プロンプトエンジニアになるためには何が必要か
プロンプトエンジニアになるために必要なスキルがありますのでそれらを紹介します。
AIの知識
プロンプトエンジニアには、AIに指示を出してタスクを実行するため、AIについての基礎知識は絶対不可欠となっています。AIがどのように学習を行い回答を導き出すのか、その仕組みを理解する必要があります。また、どのような種類のAIモデルが存在するか、それぞれ得意分野と苦手分野などを把握することで仕事に役立てることができます。
自然言語処理(NLP)の知識
自然言語処理(NLP:Natural Language Processing)とは、私たち人間が日常的に浸かっている言語(自然語)をコンピュータで処理・分析する技術を指し、AIが回答を生成する際にも使用されます。自然言語処理の基礎知識を習得すれば、コンピュータが自然言語を理解する仕組みが理解でき、スムーズで効果的なプロンプトの作成に活かせます。
プログラミングスキル
プロンプトエンジニアには、プログラミングスキルも要求されます。特にAI開発でよく用いられるプログラミング言語のPythonは、AIフレームワークの利用や自然言語処理の実装、データ分析などで活用されます。
また、AIは指示を受けてコードを生成したり、人間が作成したプログラミングのエラーを発見したりすることも可能です。そのため、プロンプトエンジニアにプログラミングの知識があれば、AIと対話しながらプログラムを開発・テストすることもできます。
ドメイン知識
プロンプトエンジニアには、ドメイン知識も必要です。ドメイン知識とは、特定の業界・業種に特化した事業の知見・情報のことです。
課題に対して専門性を持ったうえで、技術とドメイン知識を駆使して解決策を導き出すことが求められます。
AIを使用して企業の課題を解決するためには、その企業の事業や業務に関する深い知見が必要となりますので、プロンプトエンジニアにとってドメイン知識は必須のスキルといえるでしょう。
言語化スキル、文章スキル
プロンプトエンジニアは、AIに的確に指示をだすために思考やアイデアを正確に言語化するスキルが必要となります。合わせて、AIが理解しやすいようにテキストを組み立てる文章力も求められます。日頃から読書をし文献に触れたり、理論的に考えて言語化するなど、伝える力を高められるよう意識することが大切です。
英語力
最近では日本語に特化したAIモデルも登場していますが、AIモデルの多くは英語を中心に学習しています。そのため、英語でプロンプトを作成した方が、AIが参照する情報量が多くなるなど、より正確な回答を導き出せます。プロンプトエンジニアに英語力があれば、より高品質なコンテンツを生成しやすいため市場価値が上がるでしょう
創造力
より良いプロンプトを開発するためには、まったく新しいアイデアや発想の転換が求められます。そのため、プロンプトエンジニアには柔軟な創造力が必要となります。
固定観念にとらわれすぎず、さまざまな人の価値観や情報を取り入れ、広い視野で物事を考える力が必要でしょう。
IT技術の発展やAIの進歩により、プロンプトエンジニアの需要は今後よりいっそう高まり、将来性も増すことが予想されます。
現時点では、他のエンジニア職と比べるとプロンプトエンジニアの求人などは少ない傾向ではありますが、AIの普及とともにプロンプトエンジニアの需要は増加傾向にあり、求人数も今後伸びていく可能性があります。リスキリングでプロンプトエンジニアを目指せば、需要が増えている頃には中心的な存在になれる可能性もあるでしょう。
まとめ
AI時代に通用するであろう人材になるための一つ「プロントエンジニア」について紹介しました。高いスキルを持つ優秀な人材と評価されれば、高収入が期待できる魅力的な仕事です。近年ではスキルアップによる高待遇の職種への転職のためのリスキリングも注目されています。AI時代に通用する人材になるための第一歩といえる魅力的な職種ですので、リスキリングの候補の一つとしてプロントエンジニアに目を向けてみてはいかがでしょうか。