Instagramの目標設計。成果が出る企業と出ない企業では何が違うのか?
- 成果が出ない企業は、KGI(売上げ最大化)のために新規獲得数最大化を重要視しがち
- 大切なのは、アクティブフォロワーを増やすこと
- 成果が出ている企業は、既存顧客の満足度を上げることを目的に据えている
- ブランドの世界観が合った人に対して継続的にギフティングを行うことは有効
- 全体売上げや全体のROASを見て、総合的に判断することが必要
- 成果が出るブランドの組織体制は、横串で連携が行われている
- 支援会社に依頼すべきところと、自社でやるべきことを棲み分ける
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今回はInstagramで成果が出る企業と出ない企業は何が違うのかについて解説します。
Instagramの目標設計|成果が出ない企業やブランドのKGI/KPI設計
SNSアカウント運用で成果が出ない企業やブランドのKGIとKPI設計を見ていきます。
InstagramなどのSNSアカウント運用において、成果が出ない企業の場合は、KGI(売上げ最大化)のために新規獲得数最大化を重要視しがちです。
Instagramは発見のプラットフォームと呼ばれているように、認知に強いという特性はあるものの、企業が期待する新規獲得(ラストクリックのCPA/CV)はそれほど望めません。つまり、そもそもの設計が間違っているのです。
また、KPIにはフォロワーやウェブサイト遷移数の増加が設定されています。よくフォロワーを増やすための施策としてプレゼントキャンペーンなどの方法がとられますが、それは一時的な数の増加に過ぎません。大切なのは、アクティブフォロワーを増やすことです。
アクティブフォロワーが増えると、エンゲージメントが付く。エンゲージメントが付くとリーチが伸びる。リーチが伸びるとフォロワーが増える!という方式です。この手順を踏んでいない企業は、SNSアカウントで成果を出せていません。
一方、成果が出ている企業やブランドのKGIとKPI設計において、KGI(売上げ最大化)のために重要視されているのはファンの創出です。ファンの定義は企業やサービスによって異なりますが、ブランドアカウントの投稿に毎回コメントをしてくれる人、インスタライブなどを視聴したり、ライブ中にコメントをしてくれる人を指します。いわゆる、LTV最大化(既存顧客の売上最大化)を目標としているのです。
Instagramアカウントの運用は、新規獲得ではなくコミュニケーションチャンネルと位置付けるべきで、既存顧客の満足度を上げることを目的に据えることをおすすめします。
成果が出ている企業やブランドのKPIには、ブランドリーチ数、タグ付け数、ブランドハッシュタグ数が設定されています。弊社では、メディアリーチ数とブランドリーチ数は分けてカウントしていますが、メディアリーチは自社の商品が含まれていない投稿でのリーチのことを指します。例えば、「美容でおすすめなこと7選」といったものです。メディアリーチは伸びやすいのですが、自社のブランドが含まれていないため、売上げにはつながりません。つまり、ブランドに興味があるフォロワーが増えたことにはならないのです。
一方、ブランドリーチは、自社の商品を含む投稿でのリーチになります。このブランドリーチ数やブランドのタグ付け数、ブランドのハッシュタグ数をKPIに設定している企業は売上げにつながっていたり、LTVが最大化しているという結果が出ています。
Instagramの目標設計|口コミ数最大化
SNS運用で成果が出ない企業/ブランドは、ついプレゼントキャンペーン施策をやってしまいがちです。プレゼントキャンペーンで増えるフォロワーやエンゲージメントしてくれる人は、懸賞アカウント(プレゼント目的のユーザー)ですので、ブランドやサービスに興味があるわけではありません。ずばり、プレゼントキャンペーン施策は行わない方が良いでしょう。
また、代理店から提案されたメガインフルエンサーとの有償タイアップ施策について。フォロワーやアクティブユーザーを全く保有していない、ターゲットの異なるインフルエンサーにタイアップ施策をお願いしてしまうことがあります。いわゆる、低品質なインプレッションと言われるもので、数だけで見ると、成果が出ている企業と同程度のインプレッションがあるため勘違いしてしまいそうですが、実際はブランドの世界観と合わないインプレッションですので、結果的には無意味です。
一方、SNS運用で成果が出ている企業/ブランドの口コミ施策としては、ブランドの世界観が合った人に対して継続的にギフティングを行っています。1回限りの投稿よりも、同じ人が何回も投稿することによって「本当に良いもの」として理解してもらえるというメリットがあります。
また、キャンペーン設計と併せたインフルエンサーとの有償タイアップを実施することにより、ブランドリーチを増やす効果があります。ブランドに興味のある人に対して、高品質なインプレッションを増やしていけたり、ブランドの購入率を上げるためのレコメンドをすることができるため、結果としてファンの数が増加したり、自然発生でのUGC、口コミ数が増えるといった成果へとつながるのです。
Instagramの目標設計|成果の出ない企業/ブランドの広告
成果の出ない企業やブランドの広告でよく目にするのは、とにかくきれいなクリエイティブです。広告CPA単体で良しあしを見ている企業がありますが、広告だけでどうにかなる時代はもう終わりました。
ブランドや企業が発信していることは信用しない、という時代に移行してきているため、成果が出る企業は、第三者の投稿(口コミ)を活用したクリエイティブやアカウント運用、口コミ施策などすべてをトータルでつなげて全体売上げや全体のROASを見て、総合的に判断しています。成果が出ていないという企業の方は、ぜひ参考にしてください。
Instagramの目標設計|成果の出ない企業/ブランドの組織体制
成果の出ない企業やブランドは、現場が分離されていることが多いようです。例えば、マーケチーム、PRチームなど。マーケチームは新規獲得数を追い、PRチームは指名検索数を追っているなど、それぞれ部分最適になっているのです。
SNS運営においては、アカウント運用、第三者の配信、広告の横串で連携していくことが多いので、見ている数字が異なってしまうと連携が取れなくなってしまいます。
マーケチームはフォロワー数、リーチ数、ウェブサイト遷移数を追うことになりますが、ウェブサイト遷移数を追ったとしても、直接遷移でコンバージョンするユーザーは全体の1割以下に過ぎません。そうなると、指名検索数を増やすための間接貢献を増やした方が良いと判断されてしまうこともあります。また、それぞれの部署で見ている数字が異なると、部署同士でぶつかり合うことにもなりかねません。
成果が出るブランドの組織体制を見ると、横串で連携が行われており、目的も共有されています。全体最適化されているため、同じ指標を追うことができるのです。そのため、チーム全体で指名検索数を追えたり、新規獲得数もチーム全体で追えるため、目指す方向がブレません。
Instagramの目標設計|SNS運用における支援会社との向き合い方
成果の出ない企業やブランドは、支援会社に丸投げで依頼してしまう傾向があります。プロに任せておけば、なんとかなるという誤解をしているのです。支援会社はビジネスのプロではありません。SNS運用のプロですので、SNSアカウントのフォロワーやリーチを伸ばすことに偏りすぎてしまいがちなところがあります。
そのため、「フォロワーは増えましたが、売上が上がりません…」ということも。なぜかというと、支援会社はSNSアカウントのフォロワーを増やすための運用しかしておらず、ブランド自身のフォロワーやリーチを増やす施策を行っていないことが多いからです。
成果が出る企業やブランドの組織体制を見ると、支援会社に依頼すべきところと、自社でやるべきことを棲み分けて実行体制を組めています。支援会社に丸投げするのではなく、一緒にやっていく方向性を、きちんと向き合って確認しながら実行していかなければ成果は出せません。ぜひ、成果が出ないとお悩みの企業やブランドの方は、成果が出る企業の組織体制を参考にしてみてください。
著者プロフィール
富田竜介:株式会社TaTap代表
企業様向けSNSアカウント運用代行/コンサルティング/社内化支援/社内研修承ります。
📚著書:「99%の経営者は知らない中小企業のための正しい SNSマーケティング」https://amzn.asia/d/jgczWfe