SNSマーケティングがうまくいかない企業の特徴とは?
- マーケティングの概念の多くは支援会社が提唱している
- バズって売れるのは一部の商品に過ぎない
- SNSは顧客とのコミュニケーションを第一に考える
- SNSの各プラットフォームを全て効果的に活用しよう
- 顧客とのコミュニケーションを放棄してはいけない
- 経営者と現場の間でズレが生じていることが多い
- 運用に慣れた現場に委任した方が良い成果が期待できる
- SNSの事例は旬が短いので完全には参考にならない
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SNSマーケティングうまくいかない企業の特徴について、お話しします。
購入プロセスを理解していない
マーケティングの概念は、多くの場合、支援会社が提唱しています。これらの概念は、企業がマーケティング活動をより効率的に行えるように支援会社が作り出したものです。しかし、それが本当に自分たちのブランドやビジネスに適しているかどうか、再考する必要があります。
多くの企業が提唱されたマーケティング概念に基づいて動いていると思いがちですが、実際にはそうではないことが多いのではないでしょうか。企業は自社の顧客のニーズや期待に応えるために、提唱された概念に盲目的に従うのではなく、自分たちのブランドやビジネスの特性に合わせて柔軟に対応することが求められます。
そのためには、まず自分たちの顧客に対して直接インタビューやヒアリングを行い、実際の声を聞くことが大切です。顧客の意見やフィードバックを真摯に受け止め、それを基にマーケティング戦略を見直すことで、より効果的な施策を打ち出すことができます。
支援会社が提唱するマーケティング概念が必ずしも間違っているわけではありませんが、自社の状況や顧客のニーズに合致しているかどうかを見極めることが重要です。独自の視点で顧客との関係を築き、信頼を深めることで、より強固なブランドを育てることができるでしょう。
短期でバズって売れると思っている
バズって売れるのは一部の商品に過ぎません。売り場が多かったり、価格が安い商品は、確かにSNSでバズった後、そのまますぐに購入されることがあります。しかし、これはすべての商品に当てはまるわけではありません。
例えば、数十万円もするような大型家具を取り扱うブランドでは、即座に購入してもらえることは少なく、顧客が購入を決断するまでに多くの比較検討や時間が必要です。こうした高額商品は、SNSでのバズだけではなく、顧客が信頼できる情報を得ることが重要となります。
バズって売れるのは一部の商品に限定されるため、バズらせることに焦点を当てるよりも、顧客とのコミュニケーションを第一に考えることが大切です。
顧客はすぐ買うと思っている
すぐに売れるということは稀であり、SNSはあくまで顧客との一つの接点に過ぎません。顧客はSNSを利用しながら商品やサービスを比較検討し、最適な選択を求めるプロセスを経ています。
例えば、Instagram、TikTok、YouTube、X(旧Twitter)などの各SNSプラットフォームを行き来し、さらにアットコスメやLIPSなどの口コミサイトの書き込みをチェックして、他のユーザーの評価や意見を参考にします。そして最終的にGoogleやYahooといった検索エンジンで指名検索を行い、最も信頼できる情報を元に購買を決定するのが一般的です。
このように、顧客がどのタイミングで情報と接触するかによって、購入までの時間は大きく変わります。顧客が求める情報にいつでもアクセスできるようにするためには、SNSの各プラットフォームを全て効果的に活用することが重要です。各プラットフォームでの情報発信を怠らず、常に最新の情報を提供することで、顧客がどの段階においても適切な判断ができるよう支援することが求められます。これにより、顧客との信頼関係を築き、購買意欲を高めることができるでしょう。
顧客ファーストでない
自社の宣伝や売上げばかりを一番に考えて、キャンペーン告知などを行いがちですが、それは「顧客ファースト」ではありません。
さらに、顧客とのコミュニケーションを放棄している企業が多く見受けられます。SNSのアカウントでコメントやダイレクトメッセージを受け付けていないケースもあり、それではユーザーとの貴重な接点が失われてしまいます。顧客が意見や質問を発信できない環境では、企業との関係性が築かれることは難しいでしょう。
店舗に置き換えて考えてみると、SNSは1つの売り場として機能します。例えば、来店したお客様が「この服の〇サイズはありませんか?」と尋ねたときに、「申し訳ありませんが、当店ではお客様とのコミュニケーションをお断りしておりますので、お答えできません」と返答したら、お客様はその店舗に二度と来店しないでしょう。同じように、SNS上で顧客とのコミュニケーションを放棄することは、顧客に対して冷たい態度を示すことと同じです。
リソースが足りていない
SNSの担当が他の業務を兼務していることがよくあります。これは仕方ないにしても、リソースの配分が少なすぎる企業が多いようです。もっとSNSに関してリソース配分があるべきです。
SNSは直接成果が上がりづらいので、リソースを配分しづらいかもしれません。しかし、きちんとリソースを配分している企業は売上げに繋がっています。
経営と現場の足並みが揃っていない
経営側と現場との間に、重要な指標に対する認識の乖離があることがあります。特にフォロワーの意味や意図について、経営側と現場の間でズレが生じていることが多く見受けられます。例えば、40~50代のワンマン経営者の中には、フォロワーを増やせば売上も自動的に伸びると誤解している人もいます。
しかし、現在のSNSのアルゴリズムでは、単にフォロワー数を増やしても売上が伸びるわけではありません。重要なのは、ちゃんと意味のあるフォロワー、つまり実際に購買行動に繋がるフォロワーを増やすことです。
現場のスタッフはこの点を理解しているのに対し、経営側がそれを理解していないことが原因で、両者の間にギャップが生じ、足並みが揃わないことがあります。このような状況では、経営側も現場の意見をしっかりと聞き、現実に即したSNS戦略を立てることが必要です。そうすることで、より効果的なマーケティングが可能となり、最終的には売上の増加にも繋がるでしょう。
経営・マネジメント層がSNSを触っていない
「最近、自分自身でSNSに投稿していますか?」「可処分時間を費やしていますか?」といった問いです。X(旧Twitter)に触れたことがある方が多いかと思いますが、InstagramやTikTokのアカウントを自社で運用しようとするとき、自分たちで実際に使っている人はどれくらいいるでしょうか?
もし全然使っていないのであれば、経営者がSNSの運用に関する権限を持つことはおすすめできません。運用に慣れている現場に委任した方が、より良い成果が期待できるはずです。
事例記事ばかりを鵜呑みにしている
SNSの事例は一瞬で廃れてしまい、完全に参考にならないことが多いです。したがって、あくまで参考になりそうな部分のみをエッセンスとして抽出し、それに留めるべきです。
まとめ
ここまで、SNSマーケティングがうまくいかない企業の特徴を話してきました。自分たちに当てはまるところがあるかないかを検証し、もしあった場合には改善しましょう。
プロフィール
富田竜介:株式会社TaTap代表
企業様向けSNSアカウント運用代行/コンサルティング/社内化支援/社内研修承ります。
著書:「99%の経営者は知らない中小企業のための正しい SNSマーケティング」